得たモノ
入院中はツラかった……
約一ヶ月と三週間、精神科病棟に入院して得たモノ……無し。
自分が何の為にあそこにいたのか。自分が何の目的で入院していたのか……。それは、ボ〜っとすることを覚えるため。
対人恐怖症で人間不信の人間が、頭と身体を休める為に入院。結果、当然の如く他人である看護師に恐怖し、他の患者との関係に挙動不審になり、昼間はベッドに引きこもり、夜になると寝れずに徘徊する愚者となる。
心身共に休養するなんて事は全く出来ず、いつも他人に怯えて、いつも他人を避けて生活。
当然、睡眠導入剤など効果なし。眠る事も出来ず、看護師から「昼間はいい人なんだけどねぇ」なんて言われて、半強制的に参加した集団リハビリプログラムなんて、たったの二日で脱落。脱退。
癒しは、家族の面会と短時間の外出だけ。
朝の九時から夜の九時迄は、持ち込んだ携帯ゲーム機で遊べるものの、その他の時間は昼夜逆転を防ぐためって理由で没収。
朝食は朝六時。昼食は昼十一時半。夕食は午後六時と限定。
ボ〜っとすることよりも、ストレスを大量に抱えて退院の運びに。
カウンセリング医言わく「ストレスフリーになるための入院が裏目に出た」って事。
毎日死ぬことばかり考えて、入院中は外来受診時よりも効果の高い薬を投薬される為、どうにかして薬を溜め込めないかと考慮したりもしたが、薬は看護師立ち会いのもとで飲まなければならなかったので断念。
タオルで自分の首を絞めてみたが、一瞬意識が遠退き、痙攣をおこして暫くボケ〜っとなるだけで死ねず。
外出時は行き場も無く、二時間程ブラブラしたり、図書館で全く受け付けない活字に目を通したりするだけ。
真面目でもないくせに、不真面目になるのが嫌なのと、変な事をして入院期間が延びるのを防ぐ為に、時間内に病院へ。
当初の目的には到底到達出来ず、結局、世間から逃げる為に入院したようなもの。
「先ずはボーっとする事を覚えてください」
そう主治医とカウンセリング医は言うものの、それを入院中に出来ないのにどうしろって話。
退院してから普段の生活に逆戻りしたけど、結局、不眠は続いていて、薬の飲み忘れも多々ある。
対人恐怖症や人間不信は更にヒートアップし、妻の手を握っていないと人混みの中を歩けない。
ボーっとする事もわからないまま再受診の日を待つ。
どうしたら死ねるのか。痛くなく。ツラくなく。他人に迷惑をかけない方法で。そんなもの無いに決まってるのに。
ただ、飛び降り自殺は頭から落ちないといけないってのは、図書館で学んだ。
そうしてまた愚痴を書いていたりする。
《死にたい》のか《死にたくない》のかわからないまま……。
現在、睡眠導入剤を七錠。効果は……あまり無し。だって、眠たくならないんだもん。




