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異能力者がいる世界  作者: 雷田矛平
六章 体育祭、自覚する気持ち

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百四十八話「倉津静利1」

更新遅くなってすいません。

 コンコン。

「失礼しまーす」

 体育祭競技決め、壮絶なジャンケン勝負のあったその翌日。

 放課後になって高野彰は一人生徒会室を訪ねていた。理由は昨日決まった体育祭の競技出場者リストを届けるためだった。

 体育祭準備委員会なるものも設置されると聞いたが、どうせこの時期生徒会も他にやることがあるわけではないので業務を手伝っている。リストの管理もその一貫なのだろう。



 生徒会室に入って一番に目に着いたのは。

「お、彰くんか。久しぶりだな」

 一番奥の机に座り何やら作業している様子なのが生徒会長の毬谷千鶴。


「……学級委員長の仕事?」

 その横で補佐をしていたのが副会長の古月香苗。


「………………」

 顔も上げずに黙ったまま仕事している女生徒が……この人初めて見るな。誰だろうか?


 そして会長と向かい合って立っていたのがもう一人。計四人が生徒会室にいるようだった。

「あれ、今の声……」

 その人が振り返ると、意外なことに知り合いだったので彰は声をかける。


「なか…………西園寺さん。久しぶりです」

「中谷花です!! 今、ちゃんとした名前を言いかけましたよね!!」


 文芸部部長、彰に名前を間違えて覚えているネタでいじられている中谷花であった。






「それにしてもどうして先輩が……」

 彰の記憶が正しければ、中谷花は生徒会所属ではないはずだ。

「あ、それはですね」

「……すいません、言わなくていいです。分かりました」

「分かったんですか!?」

 いちいちリアクションの大きい花。いじりがいのある人だ。



「俺と同じで体育祭の競技出場者リストを届けに来たんでしょう? 先輩、学級委員長じゃないんですか?」

「え、そうだけど。……私が二年三組の学級委員長だって言ったっけ?」

「言ってませんけど、ほら。先輩って学級委員長向きじゃないですか」

「そ、そうかな。私ってリーダー性あるように見え……」

「押しつけられても嫌といえない、気弱な性格ですからね」

「ひどい!! ……確かに事実はそうだけど!!」

 やはり押しつけられて委員長になったようだ。 



「そういう彰くんはどうなんだ?」

 彰から体育祭の競技出場者リストを受け取りながら、毬谷が聞く。

「俺ですか? ……まあ、確かに俺も押しつけられてなりましたけど、たぶん溢れんばかりのリーダー性を見抜かれたからでしょう」

「大口を叩くねえ」

「いえいえ。俺なんてリーダー性やカリスマを持ってして一年生で生徒会長になった先輩には負けますよ」

「……急にゴマ摺ってどうしたんだ?」

「思ったことを言っただけですよ」

 ひらひらと手を振る彰。


 斉明高校では十月に前期の生徒会が解散、それと同時に生徒会長選挙が行われるのだが、それに立候補するのは例年では二年生だった。

 が、去年毬谷は一年生ながらに生徒会長に立候補、そしてそのまま選挙に勝ち会長に就任したと聞いている。

 入学して半年にしてそこまでの知名度があったのはもちろん、他の二年生候補生より支持を得たのだから恐れ入る。

 もちろん他の二年生の候補が悪かったわけでは無い。毬谷が凄すぎたのだ。


「……毬谷なら十月中にある選挙でも再選確実」

 古月が横からボソッと口を挟んでくる。

「そうだよね。普通なら三年生が引退するタイミングで行う選挙だけど、今年の会長、千鶴は二年生だからそのまま続ければいいよね」

 花の説明。

「生徒会長を一年勤めあげた実績というものは大きいですから、他に誰も立候補しないという事態も考えられますね。……まあ、もし対抗馬が出たところで先輩に敵うとは思えませんが」

「え? え? 何この誉めごろし? 私を何かの罠にひっかけようとでも思っているの?」

「素直に誉めただけなのにひどい言われようですね」

 三人から持ち上げられて何か裏があるのではないかと勘ぐる毬谷。だが、彰のセリフ通り特に何の意図もない。



「会長……さっさと仕事を終わらせましょう」

 その和気藹々ムードに水を差したのは彰が入ってきた時黙っていたもう一人の女生徒だった。

「え、……ああ。そうだな……」

 さっきから黙々と仕事をしていた部下に言われて、格好の付かない毬谷。



 だけど、何だよこいつ……感じ悪いな。

 自分が仕事をしているのに、上司である会長が私語をしていればイライラするのも分かる。……とはいえ言い方という物があるだろう。さっきの言葉は何というか……感じが悪かった、うん。

「………………」

 その女生徒を観察する彰。

 メガネの奥にあるのは勝ち気な、そして意志が強そうな目。顔立ちも良いし、それだけならモテそうな感じだが雰囲気がどこと無く剣呑している。これでは男も近寄らないに違いない。

(初めて会ったときの彩香をもう少し雰囲気きつめにしたって感じだな)


「……ねえ。その不躾な視線止めてくれる? 発情でもしているようなら先に行っておくわ。お断りよ」

 下を向いて仕事をしているため気づかれていないと思ったが違ったようだ。馬履雑言を言い立てられる。


 そんなマネをされて引き下がる彰ではない。

「ああ、すまんな。無粋なマネをするのがどんなやつかと思って気になったんだ」


「……それで観察した結果は?」

 顔を上げるその女子生徒。正面から見て改めて自分とは初対面だと確認する彰。 

「性格きつそうだな、って。まあ、言葉を交わして確信したよ」

「直接的な物言いね。オブラートに包むって知っている?」

「無駄な遠慮はしない主義なんだ。そっちから先にケンカをふっかけてきたんだろう?」

「ケンカ? 私は事実を申し立てただけよ。ジロジロと見てきたのはそっちじゃない」

「と、犯人は意味不明な供述をしており」

「あら、日本語が理解できなかったのかしら?」

「精神鑑定の必要があると見られます」

「重傷ね」


「「…………………………」」

 両者にらみ合う。




「二人ともそこまで。ちょっと落ち着きなさい」

 さらに言い合いがヒートアップしそうになったところで毬谷が介入してきた。

「私が仕事を忘れていたのが悪かったとはいえ、それを注意した君が手を止めてどうする」

「……すいません」

 生徒会長からの言葉には素直に謝るその女子生徒。

「やーい、怒られてやんの」

「頭の悪い挑発は止めなさい。……確かに彼女の方が先にふっかけてきたとはいえ、彰くんに何の非も無いとはいわせないぞ。火に油をそそいだのは君だからな」

「……すんません」

 調子に乗った彰も怒られる。


「やっぱり千鶴って威厳があるね。……千鶴だけに鶴の一声ってことかな」

「……三十点」

「け、結構厳しいね」

「……ウチはお笑いにはうるさいでー……という冗談はさておき」

「無表情のまま冗談を言われても笑いづらいよ~」

 二人とも剣幕激しい毬谷の前でも呑気だな。……まあ直接怒られてるわけじゃないし、仲良さそうだから慣れているのか?



「ところで二人って知り合い……? 何かすごくスムーズに会話が繋がってた」

 古月が淡々と聞いてくる。


「こんなやつと知り合いなんて、それこそ金をもらってもゴメンです」

「それはこっちのセリフだ」

 女子生徒、彰ともに完全否定。


「二人とも口で言って聞かないなら、実力行使に出てもいいんだぞ?」

「「………………」」

 毬谷が再度の威嚇。……怖えよ。


「それにしても学級委員長ということで何度か生徒会室を訪れている彰くんと君がこれまで初対面だったとはな。よほどタイミングが悪かったのか」

「タイミングが良いの言い間違いでは、会長」

 呆れもせず毒を吐くその女子生徒。

 ……しかし、初対面だが考えれば…………。そうか…………この女は……

。



「また君はそう口悪く……」

 注意するのも疲れた様子の毬谷。

「まあ、知らないなら紹介しておこう。こちらが生徒会役員の……」


「倉津静利だよな」

 彰が被せる。


「倉津静利(くらつしずり)で、そしてこっちが一年二組学級委員長の……」


「高野彰ですよね」

 その女子生徒、静利も被せる。


「高野彰……って、何だお互い知ってたのか?」

 毬谷が初対面じゃ無かったのか?とつぶやいた。


新キャラは毒舌キャラ。……動かしにくい…………。


次の更新は半分くらい書けているので早い予定です。

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