StoryCode:“mizyume”#1『だから僕はサッカーを選んだ』
怯えながらのスポーツなんて何が面白ぇんだよ。
StoryCode:“mizyume”#1『だから僕はサッカーを選んだ』
ここに立つと絶対に震えていた。足が、手が、心臓が⋯。身体中のあちらこちらに異変が生じ始める。自分で選んだ道なのに。ただ、やりたくてやってる訳じゃない。ここにいないと自分の居場所が"本当に"無くなってしまう気がして、怖いから。
部活動。みんなは学生時代、どんな部活に入ったのかな。僕は運動部一択だと考えていた。申し訳ないけど、文化部は有り得ないと思っている方の人間だ。今となってはとても有意義な時間だし、学生の時に好きな事をして、好きな事を共有出来る人間が集まっている所を見ると、『あー、僕も僕の気持ちに素直になっときゃ良かったなぁ』と深く思う。だけど僕にそれは無理だった。文化部は主に、放送部、吹奏楽部が中心だったかな。あとは、部員がゼロなだけで一応部活としては存在している、茶道部とか、演劇部とかもあったのかな。他にも少数の部活を入部カタログで一通り見ていたけど、僕には論外だった。
結構割かし後悔の面は大きい。本当に素直になっときゃなぁ⋯。今頃、他人の人生を揺るがすかもしれない者になれていたかもしれない。
僕はサッカー部に入部した。ガチガチのゴリゴリの運動部だ。運動部の中でも、トップクラスに人気な部活だと思う。僕はサッカーにそこまでの興味は無かった。元々無かった訳じゃ無いんだ。最初は凄く興味のあるスポーツで、小学校の時は放課後必ずと言っていいほど、友達と球を蹴りあっていた。あの時は普通に楽しく身体を動かして、全身からの汗が"歓喜の結晶"のように思えている⋯そんなスポーツマンだった。しかしそれは中学生になって終焉。
中学生になると、本格的に部活システムが生活の中に導入され、放課後は学校内でサッカーを行う事になった。それが本当に本当に本当に苦痛だった。みんな、学校外から出てサッカーをする時と、明らかに違う表情を決め込んでいるのだ。僕はそれが怖くなった。
え、、、みんな、あの時の⋯小学校の時と全然感じ方が違うんだけど⋯。
僕はテクニカルなプレイが出来ない側の人間。つまり、純粋に友達と球を蹴り合うという時間を好んでいた。しかし周りはみるみるとスキルを上げていく。リフティングも10回20回30回⋯100回⋯と、部員全員が軒並み成果をうなぎ登りに上昇させる。
僕は置いていかれた。完全に⋯。リフティングなんて、10回にも満たない。一軍メンバーになった事は一度たりともない。
“スターティングメンバー”。
そんなの、無縁だ。
そして、次々と僕から友達が消えていく。この世は実力主義の世界なのだ⋯と、中学生で思い知った。




