StoryCode:“mukyuu”#1 『あの美術科の女子高生と付き合おう』
なんで今まで知らなかったんだよ⋯⋯!
StoryCode:“mukyuu”#1 『あの美術科の女子高生と付き合おう』
俺の高校は『普通科』と『美術科』に分かれている。普通科の方が圧倒的に生徒数は多い。一学年につき、5クラスあるのに対して、美術科はたったの1クラス。しかもその1クラスの中に在籍しているのは、16名のみ。普通科と美術科は、受ける授業コマもまったく異なっている。
美術科には体育が無いらしい。普通科が体育でグラウンドを使ったり、学校内を外周したりする長距離走の時、よく美術科がデッサンしている姿が目に映る。木々や晴天を描写する授業が盛んに行われているみたい。
その他にも、美術科は“まさに美術科!”と言わしめるようなクリエイティブな学習が多く仕込まれており、なんだか楽しそうだなぁ⋯と思えてくる。けど俺にはそういった作り手の心がゼロに近い。作品を見て『スゲェ⋯』って感動したりはするけれど、『作ってみて』なんて言われたら⋯もう⋯⋯。
ムカついて、キャンパスを投げ捨てたりしちゃうかも。
美術科って、他には何してるんだろう。全然交流とかも無いしなぁ⋯。
◈
「大丈夫ですか?」
「⋯⋯⋯あ、ああ⋯大丈夫、ありが、、とう」
「気をつけてくださいね」
この人⋯赤色の上履きを履いている。この学校では学年によって色分けがなされている。
赤色は3年。緑色は2年。青色は1年。
俺は3年なので赤色という事になる。
体育での“短距離走”授業が終わって、靴から上履きに履き替えるため昇降口へ戻ろうとした時、俺は無様にもコンクリートの段差に躓いてしまった。
他のクラスメイトは全員戻り、グラウンドは俺のみだった。持参していたペットボトルをグラウンドに忘れたからだ。
遅れを取り返そうと、俺は中ダッシュして昇降口へ向かっていたのが間違いだったな⋯。その転んだ瞬間を、可愛い女の子に見られてしまう⋯。
「君⋯」
「はい⋯?どうかした??」
さっきまで敬語で対応していた彼女。振り返ると、人間性が変わったような、フランクな対応となる。
「赤色って事は⋯3学年?」
「あなたもそうなの?」
「あ、ああ⋯」
めちゃくちゃに可愛い。黒髪ロングヘアを際立たせる風のなびき。ちょうどいい風の強さだ。純白な表情に、適度なミニスカート。“大人直前”の高校生らしい清楚な彼女。慄いてしまうぐらい可愛いな。
こんな可愛い子、同じ学年で見た事無いぞ⋯。⋯⋯⋯と、彼女を少し見ていると、
「な、、何か??」
「あー!ごめんごめん!それって⋯」
「うん?これ?これは⋯スケッチブック」
「スケッチブック⋯⋯もしかして、美術科?」
「うん。そうだよ。美術科3年」
美術科にこんな可愛い子いるんだ⋯⋯知らなかったな⋯。てっきり俺は、“アレな方向の女”ばっかりかと思っていたが⋯普通にど真ん中ストレートの女の子を発見出来た。




