StoryCode:“amakiyume”#1 『僕のリアクションってそんなに価値あんの!?』
StoryCode:“amakiyume”#1 『僕のリアクションってそんなに価値あんの!?』
「んでぇ、どこに連れてってくれてるんだー?」
「ナイショナイショー」
「はぁ⋯もう⋯スっげぇ気になって、昨日から眠れなかったんだぞ?」
「え、マジで??ちょそれはごめん、、、」
そこはちゃんと誠心誠意謝るのかよ。もう⋯相変わらず彼女の感情の揺れ動きには悩まされる。ただまぁそれが可愛いところでもある。僕には勿体ないぐらいの可愛い女の子だ。
「ふんふんふふーんふんふふーん」
「ヤケにテンション高いなぁ」
「だってぇー、、ようやく予約出来たんだもん!」
「ヨーヤクヨヤク⋯??」
「うん?」
「え?」
「え?」「え??」
「ヨーヤクヨヤク⋯ってなんだ?」
「はぁ?何言ってんの??“ようやく”!“予約”って事でしょ?」
「⋯⋯⋯あ、ああ!なるほど⋯そういう事か!」
「頭バグっちゃったんじゃないの??」
「それは昨日からウズウズしてたからな」
「楽しみで?」
「まぁな」
と、言ったが、実際のところ、少々嫌な予感がしている。彼女は僕のリアクションが凄く好きで、いつもいじめてくるんだ。あ、もちろんこの“いじめ”っていうのは彼氏彼女の関係性だからこそ、やってOKなやつ。
弄ぶんだよ。彼女が⋯。
遊園地の幽霊屋敷に入った時。
「アハハハッ!ほんと面白いね!」
僕が疲弊し切っているのを横目に、感想を大にして言って、とてつもない注目を集めさせ、没落している僕にわざわざスポットライトを当てて来たり⋯
一緒に家でホラー映画を観た時。
「もう、そんな怖くないよ。ほら、みてよー」
『ほら、みてよー』と言った瞬間に、幽霊がブワァン!!と出てくるシーンを敢えて見せたり⋯
僕が苦手な動物園に強引に連れて行かされた時。
「ねぇねぇ!見て!」
「⋯?⋯!!!!」
「あ、大丈夫??」
突然背後から、ヘビのドールを僕の身体に巻き付けてきたり⋯(これはもちろん購入させて頂きました。⋯⋯『彼女がね!!!!!』)
もうほんと⋯彼女は酷いんだ!!僕の弱味を握りまくってる。
──────
「そんなところが可愛くて大好きなんだぁ」
──────
毎回、僕を驚かせた後は、必ずこんなような事を言ってくる。酷いだろ?そんな台詞、彼女から言われたら⋯また次も⋯はぁ⋯頑張らなきゃ⋯ってならざるを得ないだろうが!!
負のループ。彼女から飽きられたく無いから、僕は今日も、彼女の手のひらで踊らされに行く。
今日は、何をされるのやら⋯⋯⋯トホホ⋯⋯怖い系?ドッキリ系?キモイ系?生物系?
ぜーーーーーーーーええええんぶヤダああああ!!
「はい!着いたよ!」
「え、、ここ?」
「そ!前から来たがってたでしょ?なんと予約取れちゃいました〜♡」
「ここ⋯⋯⋯⋯」
それは、SNSで超絶話題沸騰中の高級とんかつ屋さん。
彼女は、そんなところに僕を呼んでくれた。




