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13.ヴァイス


 階段から一階の広いエントランスが見えると、そこには少年が居た。


 アルビノで魔族らしく角がある。


 魔族とは魔物の格上の存在だ。言わば魔物の統率者である。


「アイツが配下?」


「だろうな……気を抜くなよ」


「ええ……」


 勇者くん達は武器を構えて慎重に一階へ下りた。その間少年は攻撃してこなかった。うーん?罠?


 そして勇者くん達は少年と向き合う。


「君が魔王の配下?」

 と慎重に聞く。


「……そうだよ……俺が第六配下ヴァイス……」


「攫った村の娘達はどこにいる?」


「……大丈夫、殺してないから……森の別の場所に隔離しているよ」

 とどこか面倒くさそうだ。


「そうなの……」

 とハンナちゃんは息を吐く。一安心だね。


「どうして攫ったの?」


「……めんどくさいけど、魔王様に命令されたからさ……勇者を早く誘き出せってね……はぁ」

 とヴァイスはやる気が無さそうである。……本当に魔王の配下?


「君の意思じゃないんだ……。ねえ、村の娘さん達を大人しく返してくれないかな?」

 と勇者くんは言う。……ヴァイスから敵意を感じないからって交渉は無理じゃないかなぁ……。相手は勇者を憎む魔族ですよー。


「……それはムリだね……魔王様の命令は……勇者の殺害だから……」

 とヴァイスは纏う魔力を濃くさせていった。……そして、宙に巨大な両腕を出現させた。コレは魔力の塊だ。鋭い爪もある。


 両腕はヴァイスに従い、勇者くんに襲い掛かかってきた。


「っ!」

 と勇者くんは片方は俺で防ぐ。もう片方は俺の防御術発動である。


「……さあ、勇者……かかってきなよ……面倒臭いからすぐに方を付けてあげる……」

 と詠唱も開始した。同時にいけるのか……流石魔族。


「アインザー!僕達の防御任せていい?」

 とパーティ全体の防御をさせる気の様だ。


『……しゃーないなぁーOKよ』

 

 ……流石に魔王の配下だから、これぐらいはやってあげましょう。


「ありがとう!」

 と勇者くんは詠唱を中断させるべくヴァイスへと向かう。


 が、巨大な両腕はそうはさせてくれない。ヴァイスを守るように勇者くんを襲う。


 その拳が上から振り下ろされて、床にめり込む。……避けれて良かったね勇者くん。


 そしてヴァイスが詠唱を終わらせたのか、炎が舞い踊りながら襲ってきた。


 それをクラウスくんの水の魔術が相殺した。……詠唱で炎系だと分かって、相殺の為に水の詠唱をしていたのか。さっすがー!


「くっ……めんどくさいな……」

 とヴァイスはまた詠唱を始める。


 そして巨大な両腕の片方がクラウスくんとハンナちゃんの方へ行ってしまった。


「きゃあ!」

 とハンナちゃんは巨腕の攻撃を避けた。


 これじゃあ後衛の二人は詠唱出来ないぞー。と言いたいところだが、俺が付いてますので防御してあげるんだなぁー。しんどっ。


『クラウスくん、ハンナちゃん、俺が防御璧を出してあげるから安心して詠唱してねー』

 と二人を囲む様に防御璧を出現させる。


「ありがとう!アインザー」

 とハンナちゃんは詠唱し始めした。


 クラウスくんも詠唱を始めた様だ。


「ちっ、面倒臭いことをっ!」

 とヴァイスはイライラしてきた様だ。


 巨腕の片方でガンガン防御璧を殴る。……効かないよーんだ。


『勇者くん、まず目の前の巨腕をやっちゃおう』


「でも、どうやって?」

 と言いつつもちゃんと巨腕の攻撃をいなしている。上手くなってきたね!


『……勇者くんには魔力あるみたいだしー……その魔力を込めて思いっきりぶった斬ればいいよー。大切なのはイメージね!』


「え……うーん……」


『ほら!やってみるのっ!』


「分かったよ」

 と勇者くんは俺を構えた。そして勇者くんの魔力が流れ込んでくる……うん、上手い上手い。


 そして襲い来る巨腕に勇者くんが一閃を放った。その一閃は赤い巨大な斬撃となり飛び巨腕を真っ二つにした。


『おお!流石勇者くーん!』


「で、出来た……」

 とちょっとポカンとしている。


『勇者くん!勇者くん!ポカンとしてないで、本体狙わないと!』


「そ、そうだね!」

 と勇者くんはヴァイスへ駆けていく。


 それを残った巨腕の片割れが邪魔しようと迫ってくる。


「くっそ、ちょこざいなっ!」

 と巨腕が振り下ろされる。


 ……防御璧のオマケのついでにやってやるかー。そいやっ!と風の刃で両断した。


「くっそ……」


 これでヴァイスは為す術もないだろう。


 接近した勇者くんがヴァイスへ俺を振り下ろす。が、何かに止められた。ガキンッと音がエントランスに響く。


「剣?」


 そうヴァイスは剣を持っていた。禍々しい魔力で出来た剣だ。


「ここまで追い詰められるとは思ってもみなかったよ……」

 と俺を弾いて勇者くんを切りつける。


 が、俺の防御璧が勇者くんを守る。


『勇者くん反撃!反撃!』

 と勇者くん達にだけ聞こえる様に言う。


「うん」

 と勇者くんとヴァイスは何度も剣を合わせる。……ふーむ……ヴァイス優勢だな……。勇者くん押されてる……。


『……勇者くん、隙を作ってさっきの魔力の斬撃をやるんだ!クラウスくん達もそろそろ詠唱を終える筈だよ!』

 とまた勇者くん達にだけ聞こえる様に言う。


「う、うんっ」

 と勇者くんはより俺に力を込める。さーどんどんいけいけー!


 勇者くんが力強くなって、攻めに回った!よし後ちょっと、隙が……隙だけ……。


 すると、氷の刃と閃光がヴァイスを襲った。どちらもヴァイスには致命傷を与えなかったが、防御の為に体制は崩れた。


 そこへ勇者くんは魔力の斬撃を撃ち込んだ!……ヴァイスは両断され、瘴気へ還っていく。


「お、おわった……」

 と勇者くんはへたりこんでしまった。……まあ、いいだろう。


「レオン大丈夫?」

 とハンナちゃんとクラウスくんが駆けてくる。


「う、うん大丈夫……ちょっと気が抜けただけだから……」


「斬撃……凄かったな……」


「アインザーのお陰だよ……」


『いんや……勇者くんの力だよー。見事俺の力を引き出せましたーぱちぱちばちー』


「って言ってるぞ」


「うん、ありがとう」


 そうしているとヴァイスだった瘴気が形を変えて人型を成した。


『勇者くん!なんか出た!!』


「えっ?」


「ちっ……まだなのか?」


「そんなー」


 それは男性の姿をしていた、角が生え仮面をしている。服装は豪華でちょっと偉そうだ。


『見事第六配下を倒したのだな……勇者』

 と男は言う。


「何者だ!」

 と臆しないクラウスくん。


『……私は勇者に話しかけているのだがね、まあいい教えてやろう……我は魔王。この世の魔全てを束ねる者なり……。勇者よ残り五の配下を倒した時、我の居る魔王城への道は開かれるだろう……挑戦を待つ……』

 と言った後、魔王は瘴気に戻り消えた。


「あれが……魔王……」


「俺達が倒さねばならない敵か……」


「……そうだね……」


『……大丈夫、君達なら倒せるから。さて、村の娘さん達を助けに行こうかー』


「あっ!そうだね!」


 と精霊に聞いた情報で俺がナビゲートしながら村娘達が囚われている場所へ向かった。

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