12.森と館
早朝に村を出発して勇者くん達は森まで来れた。……ここからが正念場だぞ勇者くん!
「一面瘴気がかかっているな……」
「うん、吸うとまずいんだよね……」
『大丈夫!瘴気からは俺の魔術で守ってあげるから安心して進んでねー』
と三人に特殊な術を掛ける。
「ありがとう、アインザー」
と勇者くんは俺を撫でる。結構コレ好きよ。
「瘴気も解決したし進むか……」
とクラウスくんは勇者くんを見る。
「そうだね。行こう!」
と勇者くんは元気良く進み出した。リーダーシップ出てきてるねー。嬉しい!
しばらく進むと魔物が現れた、ラビットだ。……だがこちらへ攻撃せずに誘うように森の中をゆっくり進んでいく……罠か?
「罠……か?」
とクラウスくんも同じ事を思った様だ。
「……でも配下の手がかりも無いんだ……ついて行ってみよう」
と勇者くんは積極的だ。いいねぇーその姿勢!
「だ、大丈夫かな……?」
とハンナちゃんは不安そうだ。
「仕方ない……レオンに従ってみよう。罠でも突破すればいいだけだ」
とクラウスくん。……男気あるぅー。
それから勇者くん達は慎重にラビットを追いかけた。他の魔物は気配はするが出てこなかった。何でだ?
どんどん森の奥地へ誘われていく……。ふーむ……瘴気が濃くなって来ているな……案外と正解の場所へ誘ってくれているのかもしれない。
そして、森にポツンと館が立っていた。
「こ、ここが配下の居場所?」
と勇者くんは館をじっと見つめる。
『多分ねー。何かビンビン感じるわー。瘴気濃いっ!』
「入るか」
とシレッと大きな扉を開けるクラウスくん。度胸あるなぁー。
入った館の中は真っ暗だったが、ようこそ勇者……と少年の様な声がしたら一斉に灯がついた。館の主には来たことはバレバレらしい。
「どこにいる!さっさと姿を現せ!」
とクラウスくん。君ぃ勇者くんより勇者らいしねー。
しかし返事は返ってこない。
「……探してみろって事かな?」
と考える勇者くん。
「みたいね。……まどろっこしいわ」
『まあまあ、勇者と魔族と言ったらそんなもんさ、お決まり事みたいな感じさー』
「お決まりか……じゃあ、探そうか」
それから勇者くんを先頭に広い館の中を進み出した。
一階には他の部屋へ続く扉が無いので、広いエントランスから二階へと続く階段を上る。その途中には銅像が置いてあった。
ん?銅像動いた……!
『勇者くん!危ないっ!』
と勇者くんに襲い掛かる銅像に咄嗟に水の刃を放ってしまった……あー。防御で良かったかも。
銅像は真っ二つになって動かなくなってますわー。流石俺っ!
「うわっ!アインザーありがとう」
「……魔剣テメェ……攻撃魔術も出来るなら、前衛が足りない分お前も働け」
『ひいぃ……だから使いたくなかったのにぃ……ああぁ……』
「アインザー……だめ?」
とハンナちゃん……可愛い。
『ハンナちゃんの可愛さに免じて、魔術でも戦いましょう……仕方ない……』
と折れる事にした。剣は折れちゃいけないんだけどね!
「何で使いたくなかったの?」
と首を傾げる勇者くん。
『えー、だって俺が活躍し過ぎると勇者くん達の為にならないんだもーん……簡単に倒せちゃうよー』
「僕達を思っての事だったんだね」
『そゆこと。早く成長してもらわないとねー』
「ちっ……でも言ったからには魔術使えよ」
『はいはーい……分かりましたって……あーしんど。俺ってば千年以上の老体なんだからね……』
「剣だから老体も何もないだろ」
『ひどいっ……うわーん』
「ほら、アインザー……泣いてないで進むよ」
『はいよー』
それから勇者くん達は虱潰しに各部屋を当たって行った。部屋を開ける度に魔物が襲ってきた。
……勇者くんが廊下の銅像の魔物に驚いて尻もちをついた時は……本当に情けなくなった。……まだヘタレか……。
そして最上階の三階まで全ての部屋を開けた。……あれ?配下居ないな?
「……うーん……どこにもいないね……見落としでもしたかな?」
「……もういっぺん確かめるか……めんどくせぇがな」
「それしか無さそうね……」
『あれまー……ん?……一階に、めちゃくちゃ濃い瘴気を感じるんだけど……』
と身震いする。ぞぞぞー。
「一階?……そこに魔王の配下が?」
『……多分……この感じは……そうだと思う』
「一階には部屋は無かったと思うが?」
『うーん……何らかの強力な魔術で気配と姿を消していたのかも?』
……先に解析しておくべきでしたなぁ……ごめんよー。
「俺達はまんまと踊らされたわけか……」
とクラウスくんは眉間に皺を寄せる。
「やられちゃったねー……」
とため息をつくハンナちゃん。
「仕方ない……一階へ行こう……」
『待ち受けているわけだから……慎重ににね』
「うん、分かってるよ。さあ、行こう」
と一階へ向かいだした。




