〜Prologue〜
20XX年、9月9日 某国・某首都
突如、漆黒の隕石が落下。
同日同所
全長2〜3mの紅い眼をした巨大な異形生物が多数出現。数時間で周辺の生物は絶滅し、壊滅した。
紅眼の巨大生物はそのエリアを中心に至るところで発生、生命は絶えていってしまった…
☆○□◇□○☆
〜日本・東京都巨大地下シェルター〜
数年後。日本にも謎の巨大生物が襲来したが、既にこの事態を想定していたため、全国民をこの巨大地下シェルターに収容済である。
あらゆる方面の学者が結集し、この謎のバイオハザードを調査した。
結果・不明、unknown。
偶然採取できた異形生物の抜け殻から検出されたウイルスは明らかな地球外生命体であった。
政府はこのウイルスを感染性寄生ウイルス【Phantom】と名付けた。
突如、地球上に現れた謎のウイルス。
このウイルスに感染した生物は精神から蝕まれ、最後には死に至る。
その後ウイルスに身体を乗っ取られ突然変異を起こし、巨大生物化する。
ラットによる生体実験、現場検証を行い明らかにされた事実である。
人類に残されている道は二つ。
ウイルスを地球上から根絶やしにし、このバイオハザードを止める。
もしくは指を咥えて見ているか。
だった。
もちろん、反撃をする為に軍隊も出撃したが呆気なくウイルスに感染して全滅。無駄な命が消えていくだけと判断された。
しかし、人類に転機が訪れた。
ウイルスの抗体をもつ子供が生まれ始めたのだ!
この抗体はウイルスに完全な抵抗性を持っており、ガスマスク無しでウイルスが充満した部屋に入っても感染しないという、まさに奇跡としか言いようがない事だった。
このPhantomウイルスの抗体を持つ子供達を【抵抗者】と総称された。
そして、
母体内でPhantomウイルスに感染し、胎内でなんらかの拍子に克服し、代償として強力な異能を手にして産まれてくる子供も産まれてきた。
この異能は『Phantomウイルス』に感染し、突然変異を起こした巨大生物に唯一対抗できる能力だった。
この様に、生まれながらにして感染、克服して異能を持って産まれてきた子供を【克服者】と総称された。
何故かこの【克服者】は女性しか存在しないのだが…
この理由は分かっていない。
☆○□◇□○☆
〜東京都・元渋谷通り〜
「ねぇ〜お兄ちゃん、怪物いた?」
蒼銀髪のツインテールを揺らし俺に尋ねてくる、小さな少女
「そう慌てなさんな、出来れば会いたくねぇ…キモいし…」
意気消沈して、手にした長大なスナイパーライフルのスコープを覗く俺。
遥か500m先に全長2〜3m三つの紅い眼、血濡れの黒い羽をもつ巨大な怪鳥が居た。
「うへぇ、いたか…ありゃ多分カラスか何かだな…」
俺は、雪音 裕人。
【抵抗者】で有りながら、母親が【克服者】のため、微力な異能を持つ不憫な男だ。
異能は『射線眼』。
ただ、銃撃の精度を上げるだけというスコープみたいな異能だ。
「なんでお兄ちゃんそんなにやる気ないのさ!人類を護るっていう凄くカッコイイ仕事なんだよ!?」
俺に対して物凄くやる気のこの少女は俺の妹である雪音 月花。
【克服者】だ。
異能は『属性支配』と『万物創世』。
二つの異能を体に宿す、珍しいタイプの【克服者】である。
その双眸は紅と蒼のオッドアイ。
そこから異能名兼二つ名は『紅蒼天聖』である。
「お前はいいよな、神に匹敵する力二つも持ってんだからな…
『異常克服者』様は違うぜ」
皮肉を込めて俺は言う。
「あーっ!ひどい!そういう皮肉は言わないって約束したじゃんか!
お兄ちゃんだって『異常抵抗者』なんて呼ばれてるじゃん!!」
ぷんぷんと怒った口調でまくし立てる月花。
そう、俺は他の【抵抗者】よりも数倍強力な抵抗を持っている(らしい)。
それが災いして『異常抵抗者』とか呼ばれてしまっている…
「まぁここまできたら、ヤルしか無いよな」
「そうこなくっちゃ!」
俺ら雪音兄妹は街を駆ける!
異形の怪物目掛けて!
「風と槍を合わせて…
風穿槍【スパイラルスピア】!」
風の力で回転を付けた極太の槍が虚空から大量生み出されカラス型巨大生物を穿つ!
ガァアァアアァア!!!
カラスなのかドラゴンなのか分からない気味の悪い雄叫びを上げる!
「血清…発車!」
ぱすっ!と俺のスナイパーライフルから注射器が発射され、身体を槍でビルに縫い付けられたカラス型巨大生物に刺さる。
途端、カラス型巨大生物は沈黙し、蒸気となって虚空に消滅する。
「ふぃー…一丁上がり…と」
「やっぱり私達、最強だね!」
拳を打ち付け合う小さな兄妹。
人は彼らをこう呼ぶ
-------------Phantom;chaosと…