最終話 REALITÉ
暗い画面。
通知はない。
音もない。
⸻
新品のスマートフォン。
初期設定直後のホーム画面。
並んでいるのは、最初から入っているアプリだけ。
時計。
カメラ。
設定。
ブラウザ。
⸻
数秒。
何も起きない。
⸻
画面の端。
空いているはずのスペースに、
白い四角がひとつ現れる。
⸻
中央に、小さな「R」。
⸻
追加された通知は表示されない。
インストール履歴もない。
ただ、そこにある。
⸻
触れられていないのに。
アイコンが、わずかに点灯する。
⸻
画面が自動で切り替わる。
⸻
REALITÉ v1.00
初期同期中…
⸻
進行バーはない。
時間表示もない。
⸻
数秒の沈黙。
⸻
文字が更新される。
⸻
同期完了
USER CONFIRMED
⸻
名前は表示されない。
⸻
次の行。
⸻
STATUS:未測定
⸻
画面が暗転する。
⸻
ホーム画面へ戻る。
白い「R」のアイコンは、静かにそこに残っていた。
⸻
通知は届かない。
説明もない。
⸻
ただ。
新しい一日が、これから始まろうとしていた。
⸻
あとがき
ここまで『リアリテ ― 努力が現実になるゲーム ―』を読んでいただき、ありがとうございました。
この物語は、特別な力を手に入れる話ではありません。
誰かが急に強くなる話でも、人生が劇的に変わる話でもありません。
ただ、少しだけ前に進む話を書きたくて始まりました。
もし本当に「努力」や「成長」が見える形になったら、人はどう変わるのか。
そして――それが必要なくなったとき、人はどうなるのか。
そんなことを考えながら、この物語は生まれました。
リアリテは、何かを与えたわけではありません。
もともと持っていたものに、少し気づきやすくしただけだったのかもしれません。
だから最後に、アプリは静かに消えます。
役目を終えたからではなく、もう支えがなくても進めるようになったから。
物語の中では終わりましたが、リアリテという存在は、きっとどこかで続いています。
もしかすると、次に見つけるのは――あなたかもしれません。
ここまで読んでくださったすべての方へ、心からの感謝を。
また、別の物語でお会いできたら嬉しいです。




