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魔法使いにできないコト  作者: 水無雲夜斗
第四章 どうしようもなく世話焼きで、
60/75

どうしようもなく世話焼きで、 4-20

 火曜日にもなると、選挙のおおよその情勢は定まってきた。

 現在他の候補とは圧倒的な差でトップに出ているのは、サッカー部部長(名前忘れた)と、軽音部部長の相浦先輩だ。

 そしておそらくこのサッカー部の部長というのが、現運動部のトップにあたるのだろう。いや、正確には文化部に部会長の座を渡さないために運動部側が一致団結して選出した、運動部の代表といったところか。

 運動部が団結することなく票割れが起きて、結果団結している文化部が漁夫の利がごとく部会長の座をかっさらっていければそれが一番理想的なのだが、どうやらそう簡単に話は進んでくれないらしい。

 むろん、去年やそれ以前は運動部の中でのみ選挙が行われていたようなものなので、票は大きくバラけることもあったらしい。だからサッカー部部長のこの人気の理由は、単に文化部を打倒するために仕方なく、といった理由が背後に存在しているのだろう。多分くじ引きかなんかで決めたに違いないあいつら脳筋だしな。

 そこまでは予想の範疇だった。だが、ここにきてもう一つの予想外があった。

 運動部と文化部の票数が、六対四という比率になっていたことだ。

 もちろん六である運動部の優位は揺ぎ無いが、鳳城学園総部員数における運動部と文化部の比率は七対三。なので俺はこの段階での票数はまだそこから変化がないだろうと考えていたわけだが、ここにきてあと少しで互角というところまで迫るとは考えていなかったので、少々驚かされた。

 ここまで運動部との票数の差を埋められた理由が、選挙活動にある。

 放課後になって相浦先輩の選挙活動の様子を見に行ってみると、今日も予想以上の人だかりができていた。

 場所は部室棟ロビー。

 部室棟に入ってすぐ横にある休憩スペースはなかなかの広さがあるのだが、普段はテーブルやら何やらが置かれていてこれほどの人数が集まれる場所ではない。

 だが、今日に限ってはそれら全てを一時的に撤去し、スペースを作り出すことに成功していた。

 これは九の案で、こういった一時的な撤去作業などの申請は生徒会を通して行うのだが、彼女はそこに真っ先に目をつけ、凄まじい速さで結月に申請状を提出した。

 それによって月曜からそのスペースは軽音部が独占することができている。

 そしてその広さを利用して行われているのが、ミニライブだ。

 本来ライブというものは騒音などの問題で屋外で行うことは禁じられている。体育館などの場所で行うことも可能ではあるが、そんな人通りのないところで行うメリットはないし、告知をしても人が集まる可能性は低い。

 しかし人通りの多い場所であれば話は別だ。

 通りかかった場所で目立つことをしていればそれだけで通行人は興味が引かれるし、それが盛り上がっていれば自然と人だかりができて、どんどん注目度が上がっていく。

 注目度が上がればそれだけ知名度も上がり、結果「相浦聖奈」の名前は選挙にあまり関心のない者にも浸透し、「投票先決めてないけどとりあえず知ってるからこの人に入れておくか」程度の気持ちで票を入れてくれる人も出てくる。また、こういう奇抜なことをしているというだけで、「この人はおもしろそうだ」という理由で票を入れる人も出るだろう。

 選挙活動でライブというのはいかがなものか、と思わないでもないが、別にそれを禁止するようなルールはないし、実際効果が出ているのだから何も問題はない。

 この件に関しては、九の手腕を見直した。まさか正攻法ばかりの九がここまでの搦め手を取ってくるとは思っていなかったからだ。

 いや、これも正攻法と言えなくはないのか。選挙というのはどこまで知名度を上げ、期待値を上げるかということに全てがかかっている。それを決められたルールの中でどれだけ実行できるか。選挙活動とは、そういう勝負だ。

 だからこそ真正面からの勝負であれば、九の横に並ぶ者はいないだろう。なんといっても、彼女は正々堂々の勝負事に関しては、生徒会の中で一番の手腕を持ち合わせていると言っても過言ではないからだ。


 「加勢してやらないのか?」

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