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魔法使いにできないコト  作者: 水無雲夜斗
第二章 ひどく面倒くさがりで、
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ひどく面倒くさがりで、 2-8

 「あれ、弟くんだ。やっほ~」


 結月の助けで体勢を建て直しながら、ふわぽわメガネ先輩は小さく手を振って挨拶してくる。

 なんという癒しオーラだろうか。多分53万オーラくらいある。クラス中の男子の表情が緩みまくるレベルである。

 危うく俺もやられそうになったが、そこは結月の手前ということもあって、なんとか「どうも」と返しておいた。


 「それでアン、何かあった?」

 「あー、うん、急ぎの案件じゃないんだけどね。それより、弟くんとなに話してたの?」

 「例の生徒会の件。あれから一日経つし、答えを聞こうと思って」

 「結月ちゃんそれはせっかちすぎだよ~」


 どうやらふわぽわメガネ先輩も俺と同じ意見らしい。

 結月みたいなのが副会長をやっているぐらいだから、生徒会というのはいろいろ大変なメンバーが集まっているんだろうなーという印象があったが、どうやらちゃんと常識人もいるらしい。

 

 「でも、そろそろ決めないといけないよね。もう少しでゴールデンウィークに入るし」


 などと油断していると、一気に状況が傾いてしまった。

 まるで急かすかのように、結月とふわぽわメガネ先輩の視線が俺に注がれる。


 「な、なんすか」

 「う~ん、今この場で決めろとは言わないけど、今のところどっちに傾きそうなのかくらいは聞きたいかなーって」


 それは、現段階での最大限の譲歩なのだろう。

 先程、高野に聞かれた時にも考えたことだ。

 期限までもう時間はない。明日に答えを出さなければいけないということは、今日中にある程度の決定を下さなければならない。

 とはいえ、この場で俺が結論を出せないことはわかっている。よって、生徒会としては、折無武月がどちらに転びそうか、せめてそれくらいは知っておきたいのだろう。

 その返答次第で、ふわぽわメガネ先輩はある程度の準備を整えるつもりなのだ。

 きっと、生徒会は切羽詰っている。

 俺がいなくても組織自体は回るようになっていることに間違いはない。だが、人手があるとないとでは話が別だ。複数の仕事が舞い込んできて、それを分担して作業する時、猫の手でもないよりはマシという状況はある。

 俺が生徒会に入ることによって、何かの助けになることも間違いはない。

 しかし、それだけで俺が生徒会に入りたいと思う理由になるかどうかは、話が別だ。

 また、入りたくないという理由にもならない。


 「正直、まだ迷ってます」


 故に、答えがこうなるのは自然だろう。

 目を逸らして答える俺に、結月は肩を落としたように感じた。


 「それは、どちらにも傾いていないということか?」

 「そういうことになるな」


 答えを聞いて、結月は息を吐いた。

 呆れからだろうか。だが、その表情はどこか安心しているようにも見える。

 すると、ふわぽわメガネ先輩は、「そっか」と微笑んで俺の肩に手を置いた。


 「それなら良かったよ。少なくとも『入らない』方に傾いているわけじゃないなら、ね」


 言われてみてはっとする。

 そうだ、迷うということは、生徒会に入る可能性と入らない可能性、どちらも限りなく50パーセントに近い状態ということになる。

 昨日生徒会室を訪ねた時点では、俺の気持ちは入らない方にほぼ天秤が傾いていた。だが、今日はその限りではない。そのことに、生徒会の二人は安堵したのだ。


 「あとは明日までよく考えてみて。どちらに転んでも、私はキミの決断を尊重するよ」


 ふわぽわメガネ先輩はすっと俺から離れると、たたたっと小走りで教室から出ていってしまう。


 「答えを出すのは明日の放課後でいい。この話はここで終わり、呼び止めて悪かったな」


 それだけ言うと、結月は踵を返してふわぽわメガネ先輩の後に続く。

 残された俺は、複雑な心境だった。

 答えを出すのは明日だ。その時までに答えが出ない場合、俺はどちらに転べばいいのだろうか。

 考えなければいけないことはたくさんある。

 ひとまずは、にじり寄ってくるクラスメイトをなんとかしないとなぁ・・・・・・。

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