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～真実～
――そう。あの男が言う通り、俺は最低なんだよ。人の奥深いところにある感情なんて分からないし、分かろうともしない。口にしたことがすべて本音だと思ってしまう。自分がそうでないのだから、相手も同じだと分かるはずなのに。
でも、だから、菊池を傷つけた。好きな相手だったのに――なあ、菊池。お前は怒るだろうか？
「了承の返事をすれば俺とお前の関係がすぐに切れる気がして……」
あえて返事をしなかっただなんて。
断ることもしなかったのは――そうすればお前がいつまでも俺を好きでいてくれるんじゃないか？ という甘く最低な考えからだったなんて。
「普通、想像しないよな」
だからさ、菊池。
お前を傷つけた俺が言うのもお門違いってものだけど。それでも、素直な性分なのに人のことばかり思いやる不器用な君には幸せになってほしいから。
君を全力を挙げて幸せにしてくれそうな、根本の部分がひどく君と類似した素直で真っ直ぐそうな彼と幸せになってくれ。
そんな勝手なことを願うのは、好きだったにも拘わらず、君を傷つけることしか出来なかった俺の、たった一つのエゴ――
END
きっとこの後も三橋と菊池はそれぞれの道を歩む。
おそらく、菊池はあの甘いマスクの彼と幸せに。
三橋は……どうだろうか？
彼なりに真剣に菊池のことを愛してたので、彼女を越える存在が現れるか。
現れたとしても、こんな分かりにくい彼を理解してくれるのか。
もし、幸せになれるんなら可愛い子と幸せになってほしいな。
なんだかんだでどっちも大事な子供。
