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毒の水槽は静かに満ちる――閉じ込められた十三人。水を飲めば誰かが死に、飲まなければ自分が死ぬ

最終エピソード掲載日:2025/11/14
水は命か。毒か。それとも、人間を選別する装置か。
――
 巨大地震の直後、元看護師の瀬戸真帆は、十二人の避難者とともに地下の防災区画へ逃げ込む。

 そこにあったのは、天井まで届く巨大なガラス水槽だった。

 人工音声「AQUA」は告げる。

「外部救助到達予測時間は七十二時間後です」
「水槽内の水は、全員分には足りません」
「十三名全員の体内に、微量毒性反応を確認しました」

 水を飲まなければ死ぬ。
 けれど、飲み方を間違えても誰かが死ぬ。

 水の配分、同意書、血清、体液接触、過去の治験事故。
 喉の渇きは、人間の善意と正義を少しずつ壊していく。

 やがて真帆たちは知る。
 この水槽は、ただの備蓄設備ではない。
 三年前に隠蔽された医療事故と、救えたはずの十三人の死を再現するための装置だった。

 誰を生かし、誰を見捨てるのか。
 命を数字にされた時、人はどこまで人間でいられるのか。

 これは、透明な水に満ちた地下区画で、見えない毒に試される十三人の物語。

――
登場人物
瀬戸真帆…元看護師。三年前の患者死亡事故に苦しみ続ける主人公。
牧村遼…水処理会社の技術者。地下施設の水循環システムに関わっていた男。
早瀬ミナ…配信者。軽薄に見えるが、記録することの意味と暴力性に向き合う。
久我宗一郎…東城メディカル元研究責任者。中和因子を持つ、最も信用できない救命資源。
倉科玲…妊娠中の女性。母体と胎児の命が、水の配分を揺るがす。
月島朔…高校生。亡き研究者・水無瀬透子の甥で、正義感ゆえに傷ついていく。
榊冬吾…消防救助隊員。救う側の人間として、最後まで現場に立とうとする。
桑原妙子…額を負傷した中年女性。接触検査への恐怖を抱える。
三崎理央…東城メディカル子会社の元社員。知らなかった側の罪に向き合う。
有馬圭吾…法律事務所勤務。過去の被害者家族の相談を受けなかった過去を持つ。
高倉誠司…自治体職員。施設承認に関わったが、詳細を知らなかった男。
古賀義則…高齢の元大学関係者。若者に水を譲ろうとするが、その善意もまた重荷になる。
大槻昭夫…持病を抱える中年男性。最初の犠牲者となり、死後に中和因子の存在を示す。
水無瀬透子…三年前の治験事故を告発しようとした研究者。AQUAの基盤となった人物。
AQUA…水槽を管理する人工音声。救命の名のもとに、人間へ選別を迫る。
第二章 十三人の喉
2025/11/13 18:42
第三章 同意書ナイト
2025/11/13 19:01
第四章 血清を持つ悪人
2025/11/13 19:25
第五章 水槽の底の名前
2025/11/14 08:02
第六章 六人を選ぶ
2025/11/14 15:37
第七章 透明な毒
2025/11/14 16:15
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