希望を告げる
翌朝
「エリオ君、眠れた?」
「はい! こんなにゆっくり眠れたのは久しぶりです」
機能の憂鬱そうな顔から一転してスッキリした顔をしている。
「朝食は簡単なものしか用意できないけど……」
「いえ、朝食を用意してくれただけで大満足です! 飯抜きの時もありましたから」
……朝から泣きそうになるんだけど。
どれだけ辛い日々を送ってきたんだろうか、うんエリオ君の家族に会う機会があったら一発ぶん殴ってやろう。
「昨夜ね、実はエリオ君の病気についてちょっと調べてみたんだけどね、貴方の病気は成長すれば治るみたいよ」
「えっ!? 本当ですかっ!?」
「うん、どうもねエリオ君は他人よりも魔力が多いみたいなのよ。逆に多すぎて上手く使いこなせていないのが原因みたいね」
「そういえば魔力量を測った事がない……」
「だから、追放されたのは向こうの早合点といった所かしらね。それともう一つ、エリオ君の成長の為には実は必要な物があるのよ」
「必要なもの?」
「そう、『聖樹』の蜜を飲めば魔力が体に馴染むみたいなのよ」
「聖樹……、聞いたことがあります。この国が出来た時からある神が作られた大樹と」
あの木、そんなに重要な物だったのね。
「でも、誰も見た事がないし伝説の存在なんです」
「それがこの森にあるみたいなの」
「本当ですかっ!?」
「うん、本当よ。それでね取りに行こうと思うんだけど、どうしても必要な人を呼びたいんだけど」
「呼びたい人?」
「そう、エリオ君の婚約者」
「えっ!? シェーラをですかっ!?」
「彼女の協力が必要なのよ、だから彼女に手紙を出したいの。住所を教えてくれる?」
これは嘘である、本当は私とエリオ君だけでも大丈夫なんだけどシェーラちゃんを呼んでおいた方が良いだろう、と思ったのだ。
……データによると彼女、性格がかなりややこしいみたい。