鍛錬
登場人物
河島真司/ルヴァンガ この物語の狂言回し、主人公。陰キャ。【聖魔の紋章】というRPGにハマる。人間VS魔族の世界に転生し救世主と見做され、魔族との戦いに挑む
ミラ 赤いショートヘアーの西洋風の美少女。勝気な性格
お師さん 名前からするとミラの師匠か?仙人のような風貌
ヴァイス ヒゲ面の男。強面に限らず気が弱い&皮肉屋
「なかなかやるわね」
ミラの顔が引きつる。
彼女は火の玉を作りだした。炎を操るトリックはミラの魔法レパートリーのひとつだ。
その火の玉を水をイメージした魔法トリックでかき消したのだ。
「じゃあ、これならどう?」
そう言って彼女は自分の頭に手を添える。
「フンっ」
勢いよく頭髪を何本かぬいた。
「おいおい・・」
ヴァイスが呆れていた。
「女だからって・・将来ハゲないとは限らんぞ」
「黙れヴァイスっ!」
ミラは空中に髪の毛を放った。
彼女の赤い髪の毛が風にそよぐ。一本一本がミミズのようにうねり始めた。
「へぇ」
いろんな魔法が使えるんだな──ボクは感心した。
だんだんカタチを変えていく髪の毛、それぞれ絡みあいだし、格子状になっている。
「サッカー・・ゴールネット?・・」
呟くボク。
「と言うよりクモの糸ですな」
ヴァイスは干しイモを齧りながら高みの見物を決めこんでいる。
格子はフワフワとボクの頭上に移動してきた。
「むむっ!」
即座にイメージする、ネットを断ち切るトリックを──。
空中に無数のハサミが出現した。
「やはり、そう来たかっ!」
ヴァイスが干しイモを投げ捨て、両手を旋回させた。
瞬間、激しい風がまき起こる。彼は風を操る名人だ。風の勢いにのったハサミがものすごいスピードでこっちに向かってくる。
「やり過ぎだ、ヴァイス」
ミラが叫んだ。
盾を出現させる、それでハサミの攻撃を防ぐ。
そう強くイメージした。
ダメか、間にあわない!そう思った。
「おやや?」
ヴァイスが驚きの声をあげた。
「ルヴァンガ・・」心配そうなミラ。
「ココですよ・・」
樹の上から二人を見おろしていた。
「な、なんと。瞬間移動を・・」
口をだらしなく開けて、ヴァイスがボクを見あげていた。
ミラが歩いてくる。
地面に突き刺さったハサミを一本、慎重に抜いた。
「あ、アンタ、その魔法いつ覚えたの?」
ミラの表情が硬い。
頼もしい味方ができた、というよりボクの魔法の威力に怖れを抱いている、そんな顔つきだった。
「と、特になにかしたワケじゃないんだけど・・」
テレポーテーションなんか全く意識してない、ボク自身がいちばん不思議だった。
「天賦の魔法つかいってことか!」
ヒゲをいじりながらヴァイスが甲高い声で叫んだ。
モンスター結界の破壊に成功してから、ヴァイスのボクに対する態度がずいぶん変ってきた。一目おくようになった。
「そこまでっ!」
聞き覚えあるしわがれ声が響いた。
お師さんが突っ立っていた。
腕を組んで仁王立ち、鋭い眼光でみんなを睨みつけた。小柄な彼がやけに大きく見える。
「お、お師さん・・いつ来たんですか?」
ミラがあたふたしていた。
師匠に接するとき、とにかく彼女は慌てる。
「お遊びのようなトレーニングはもうやめだ」と、お師さん。
「どういうことで?」
面倒くさそうにヴァイスが訊いた。
「村が襲われた」
「えっ?」
全員、血相が変わった。
「参ったわね・・」
ミラの顔が曇った。
「とにかく全員ワシについてこい」
老人とは思えないスピードでお師さんが走りだした。
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