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醜態

登場人物








ヌーザッカ 魔族の指揮官?敗戦の責任を問われる








スグゥーエン ヌーザッカの上官。閣下と呼ばれるだけあってかなりの権力者と思われる






ジョビンポッド ヌーザッカの副官。

「なんたる有様だ・・」


 ヌーザッカが嘆く、逃げ惑うアグライドの群れを見つめながら。


「村を占領するのに半日かからないんじゃなかったか?」


 ジョビンポッドに訊く。


「あ・・」


 ジョビンポッドは言葉も出ない。


 ふだんから青白い彼の顔、血の気を失ってさらに青白かった。


「どう、どうしたものか・・」


 呟くのが精一杯だった。


「おいおい」


 二人は少し高い丘から戦況を見つめている。


 眼下の味方の敗走を見下ろしながらヌーザッカは困惑していた。


「どうしたもの?それはこっちのセリフだ」


「・・・」


「閣下に報告するのはこの私なんだぞ」


「お、仰せのとおりで・・」


「3個師団もつれてきたのに」


「多勢に無勢、戦さの鉄則。合理的な判断です」


「だがな、所詮、弱いモンをいくら集めたとて雑魚の集まりにすぎん。初めから改良型を連れてくればよかったのだ」


 ジョビンポッドの顔が赤くなった。

 感情が高揚するとすぐ顔が赤くなる。判りやすい男だ。


「お言葉ですが」


 ジョビンポッドは口を尖らせている。


「改良型は予備軍として温存したい、そう仰ったのは司令官では?」


 勝ち誇った表情で話すジョビンポッド。

 ヌーザッカは黙ってしまった。黙るしかない。最終決断をしたのは彼自身なのだ。


「クソめが・・」


 ヌーザッカは吐き捨てた。

 戦況は相変わらずひどい。


「あのヒョロヒョロした小僧に一方的にやられてるようですなぁ」


 ジョビンポッドの声が上ずっている。

 

 遥か彼方、人間どもの年齢にすれば十代?ヒョロヒョロした若者が右に左に盛んに躍動してるのが見えた。

 俊敏かつ的確な動きをする若者、そのたびにアグライドが倒され、青い血液が噴水のように飛び散った。

 魔族の血は青い、特にアグライドのそれは腐った玉ねぎのような臭いがする。悪臭が風に乗りこっちまでかおってくる。


「フンっ」


 ヌーザッカは鼻を鳴らした。


「ジョビンポッド、あのボウズどう思う?」


「どうと申しますと?」


 とぼけた顔で聞き返してくるジョビンポッド。


「雇われ冒険者にしては上出来のほうでは」


「ただの雇われ・・そう申すか」


「あの村、近頃たいそう冒険者不足のようで。自前の冒険者を育てる余裕などなく、はした金でその場しのぎに冒険者を臨時雇いしてるとのこと」


「かなり上位のレベルに見えるが」


 ジョビンポッドがニヤリとした。


「司令官には釈迦に説法ですが・・」


 ジョビンポッドはそう前置きして話を続ける、「魔法は、その潜在パワーだけでなくTPOに合わせ制御したりブーストしたり、その手綱さばきが重要」


「鉄則だな」


「あのボウズ、潜在能力はそこそこでしょうが・・あの程度のアグライドにあんな大袈裟な打撃トリックを使うなんて・・まだまだ新兵に毛が生えたようなモンですわ。後半は息切れして使い物にならんに決まってる」


 ヌーザッカの見たては違った。


「逆に言えば・・」


「逆?」


 ジョビンポッドは意外な顔をした。


「いま叩いておかないと、経験をつんだボウズはとんでもない戦力になるやもしれんということだっ!」


 ヌーザッカはそう叫ぶと、緋色のマントを翻して丘を駆け下った。

「面白い!」「続きが気になる!」「更新がんばって!」




と、思ってくださったら、




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