表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

91/92

91.最終章ラストエピソード「旅立つ君へ」

 期末テストは終了した。

 俺が作新高校に入学してから期末テストまでの長い道のり。

 

 校舎の中にある小さな掲示板。

 特別進学部の生徒に非情の通知。


 こんな紙切れ一枚で、俺たちの未来は決まる。

 S2クラス残留。

 S1クラスへの昇格。

 総合普通科への降格。


 俺が歩む未来は一体‥‥。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 甲子園地区予選決勝

 マウンドに立つ朝日太陽。

 ベンチで見守る神宮寺楓。

 

 4対3。

 作新高校1点のリード。


 9回裏。

 ツーアウト満塁。

 朝日太陽が。

 最後の一球を投げる。










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





(ピコピコ~)



「ありがとうございました~」

「‥‥」

「ちゃんと挨拶しろし」

「岬、何してんだよお前‥‥」

「何が?」

「何がじゃないよ。なんで髪の毛、黒く染めたんだって聞いてるんだよ!」

「ひひっ」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 新幹線の乗り場。

 ホームに神宮寺楓、神宮寺葵の姿。



「じゃあ‥‥ねシュドウ君。私の光源氏様」

「お前‥‥俺は光源氏じゃない。高木だぞ高木」

「う~ん‥‥そだね」

「そうだよ」



 京都にある病院。

 手術のため、しばらく地元を離れる神宮寺姉妹。



「なあ神宮寺」

「なに?」

「光源氏は、俺にとってお前だ神宮寺」

「私が光源氏?」

「お前が迎えにきてくれた。お前が楓先輩のところに、俺を導いてくれた」



(プルルルルル)




 新幹線発射のベル。


 もうすぐドアが閉まる。



「バイバイ」

「おい神宮寺」

「シュドウ‥‥くん?」

「帰ってこい。パン研のお前の席、ちゃんと残して待ってるからな」

「う~ん‥‥うん、分かった!」



 満面の笑みを浮かべる彼女を見送る。

 楓先輩は妹の神宮寺に寄り添い、2人は京都へと旅立って行った。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





(カタカタカタ カタカタカタ)



パソコンを打ち込む音。


変換される文字。


画面に表示される。




『憂鬱』




(カタカタカタ カタカタカタ)






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 あれからひと月の時が流れた。


 9月1日。

 今日は作新高校、秋の始業式。

 学校の正門から校舎までの一本道。



「シュドウ、俺たち1年生も、もう2学期の始まりだな」

「マジか。早いな」

「高木君お勉強毎日頑張ってるから、早く感じるんだよ」

「毎日バイトばっかりの間違いでしょ?」

「ははは、岬さんの言う通りだね高木守道君」

「うるさいな岬。少しは俺の努力を認めて‥‥」

「シュドウ君!」



 なんだ?

 この懐かしく感じる呼び方。



「太陽、お前いま俺の事呼んだか?」

「シュドウ‥‥」

「なんだよ太陽、そんな顔して」

「高木君、うしろ‥‥」

「後ろ?」

「早く見ろし」

「痛たたたたた!?岬、ツネるなって‥‥」

「シュドウ君!」

「ぐはぁ!?」



 急に俺の胸に飛び込んでくる白い肌の女の子。

 黒い髪がフワッと浮かぶ。

 少しずつ顔を上に上げ、視線が合う。


 誰だこの子?

 こんな美少女、俺の知り合いにはいない‥‥。



「ただいま‥‥」

「ただいま?」

「ちょっと高木君」

「成瀬の知ってる子?」

「脳みそワタアメかっつーの」

「岬も知り合いか?」

「おいシュドウ、葵さんだろ。楓先輩の妹の」

「‥‥マジか‥‥お前なんでここにいるんだよ!?美人過ぎて誰だか分からなかっただろ!?」

「えへへ」



 作新高校。

 残暑厳しい9月1日。


 校舎までの並木道。

 太陽の陽射しが木々を照らす。

 緑色の並木が、俺たちを校舎へと迎え入れる。


 桜の木。

 来春には花開くであろう、たくさんのツボミたちに見守られながら。

 6人の生徒たちが、校舎へと歩みを進める。



 



  最終章<真夏の大冒険> ~完~



【登場人物】


《主人公 高木守道かたぎもりみち

 平均以下で生きる平凡な高校男子。あだ名はシュドウ。ある事がきっかけで未来に出題される問題が表示される不思議なノートを手に入れる。作新高校特別進学部S2クラス所属。パンダ研究部に入部。生徒会長付、生徒会監査人に就任。


高木紫穂たかぎしほ

 主人公の実の妹。現在は主人公と別れて暮らす。別居してからも兄を気遣う心優しき妹。中学2年生、美術部に所属。


朝日太陽あさひたいよう

 主人公の大親友。小学校時代からの幼馴染。スポーツ万能、成績優秀。活発で明るい性格の好青年。作新高校1年生、特別進学部SAクラスに所属。甲子園常連の名門野球部に1年生として唯一1軍に抜擢される実力者。


成瀬結衣なるせゆい

 主人公、朝日とは小学校時代からの幼馴染。秀才かつ学年でトップクラスの成績を誇る。作新高校1年生、特別進学部S1クラスに所属。野球部に所属、姉と共に女子マネージャーとなる。


岬れな(みさきれな)

 作新高校1年生、特別進学部S2クラスに所属。主人公のクラスメイトかつバイト先の同僚。パンダ研究部に入部。


結城数馬ゆうきかずま

 作新高校1年生、特別進学部S1クラスに所属。生徒会長役員選挙に立候補するも落選。主人公と同じく生徒会長付、生徒会監査人に就任。


成瀬真弓なるせまゆみ

 成瀬結衣の姉。作新高校3年生。野球部のマネージャー。幼い頃から主人公の天敵。神宮司楓の親友。


神宮司葵じんぐうじあおい

 主人公と図書館で偶然知り合う。作新高校1年生、S1クラスに所属。『源氏物語』をこよなく愛する謎の美少女。


神宮司楓じんぐうじかえで

 現代に現れた大和撫子。作新高校3年生。野球部のマネージャー。誰もが憧れる絶対的美少女。神宮司葵の姉。


南夕子みなみゆうこ

 作新高校3年生。神宮司楓、成瀬真弓の親友。作新高校パンダ研究部部長。


叶美香かのうみか

 作新高校3年生。作新高校の生徒会長、現在2期目に突入。


北条郁人ほうじょういくと

 作新高校1年生。特別進学部S1クラス所属。生徒会のメンバー。


《一ノ瀬美雪いちのせみゆき

 作新高校1年生。特別進学部S1クラス所属。生徒会副生徒会長。


桐生沙羅きりゅうさら

 作新高校1年生。特別進学部S1クラス所属。生徒会の会計担当。




~~~~【あとがきアップします】~~~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ