45.第5章最終話「似た物同士」
「はぁ~」
「アホ面」
「誰がチャン・グンソクだって?」
「死ねし」
バイト先のコンビニのレジ。
今日は岬と同じシフトに入る。
俺がボディーガードをするのをいい事に、今日は学校帰りの夜の時間にもシフトを入れる岬れな。
今日もハリネズミのトゲがビシビシ刺さる。
昼間はパンダの先輩にも遭遇した。
俺の周りは動物たちで一杯だ。
仕事をしているとあっという間に時間は過ぎる。
付きまといの可能性を話してくれた事もあり、今日もバイト終わりに岬を自宅まで送って帰る事になる。
彼女の家はこのコンビニから目と鼻の先。
俺にとっても大した負担にはならない。
やはり夜道が怖いのか、俺の制服の袖を掴んで離さない岬。
彼女のこの行動はいつまで経っても慣れる事がない。
辺りに不審者らしき人影は見られない。
明るい話題を話したいと思い、昼間の部活探しの話を振る。
「部活?あんたが?」
「ああ、パン研。ちょっと迷ってる」
「そこね……」
「知ってるのか岬?」
「オリエンテーション意味不明で」
「だろ?」
「興味はあってさ」
「マジか」
驚いた。
パンダ研究部に興味を示す岬。
5月の大型連休に向けてバイトを頑張っていた岬。
次は夏に中学時代の友達との旅行に向けてバイトを続けたいと話していた。
逆に今は時間にゆとりがあり、部活に入りたいと太陽と成瀬がいる時に言っていた。
「あはは、そんな事してるの?」
「謎だろ?」
「あんた入るの?」
「検討中。部長からパンダの魅力を語りたいから日曜上野に来いって誘われててさ」
「上野って、動物園の?」
「ああ、お前も来るか?」
「う~ん……ちょっと考える」
「考えるのかよ。絶対断ると思った」
「うるさいし」
意外な答えが帰ってきた。
そういえば岬、ラインのバナーもパンダだし、スマホのストラップもパンダだな。
「お前……もしかしなくても、パンダ好きだろ?」
「知らないし」
「図書館にカンフーパンダのDVDあったぞ、今度見に行けよ」
「それ家にあるし」
「あるのかよ」
くだらない話をしていると、あっという間に岬のマンションに辿り着いた。
いつもビクビク震えて夜の道を歩いていた岬だが、今日は終始緊張がほぐれていたように感じる。
マンションの1階、エントランス。
別れ際に、岬は俺に声をかけてくる。
「今日もありがと」
「おう、じゃあ……」
「あ、あのさ」
「おう、なんだ?」
「言ってた部活。あんた、入るわけ?」
「あと1人入らないと廃部だからな……まあ、ちょっと興味はある」
「そう。じゃあね」
「おう」
「バイバイ」
岬と別れてマンションを後にする。
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「おはよ」
「おはよう岬」
「あのさ……昨日の話」
「昨日の話?ああ、カンフーパンダ貸してくれるのか?悪いけど俺の家DVD見る機械無いからさ」
「そっちじゃないし。それに貸すわけないっしょ」
「ないのかよ」
「部活……ちょっと良いかもって」
「嘘だろ岬」
S2クラスで朝挨拶を交わすようになった俺と岬。
2人ともアベコベで、性格は正反対。
それでも俺たちはどこか気が合う。
2人の奇妙な関係。
今日の授業が終わり次第、あの先輩の元へ向かう約束を交わす、俺たち2人の姿がそこにあった。
第5章<奇妙な関係> ~完~
【登場人物】
《主人公 高木守道》
平均以下で生きる平凡な高校男子。あだ名はシュドウ。ある事がきっかけで未来に出題される問題が表示される不思議なノートを手に入れる。県下随一の進学校、作新高校特別進学部S2クラスへの入学を果たす。
《高木紫穂》
主人公の実の妹。ある理由により現在は主人公と別れて暮らす。別居してからも兄を気遣う心優しき妹。中学2年生。
《朝日太陽》
主人公の大親友。小学校時代からの幼馴染。スポーツ万能、成績優秀。活発で明るい性格の好青年。作新高校1年生、特別進学部SAクラスに所属。甲子園常連の名門野球部に1年生として唯一1軍に抜擢される実力者。
《成瀬結衣》
主人公、朝日とは小学校時代からの幼馴染。秀才かつ学年でトップクラスの成績を誇る。作新高校1年生、特別進学部S1クラスに所属。
《岬れな》
作新高校1年生、特別進学部S2クラスに所属する。主人公のクラスメイトかつバイト先の同僚。
《成瀬真弓》
成瀬結衣の姉。作新高校3年生。野球部のマネージャー。幼い頃から主人公の天敵。神宮司楓の親友。
《神宮司葵》
主人公と図書館で偶然知り合う。作新高校1年生、S1クラスに所属。『源氏物語』をこよなく愛する謎の美少女。
《神宮司楓》
現代に現れた大和撫子。作新高校3年生。野球部のマネージャー。誰もが憧れる絶対的美少女。神宮司葵の姉。
《南夕子》
作新高校3年生。神宮司楓、成瀬真弓の親友。作新高校パンダ研究部部長。




