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双華のディヴィーナ  作者: 賀田 希道
白夜来日編――Nebula ,she is
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アンエクスペクテッド・インターナショナル・ステューデント

 「留学生、ですか?」

 俺の素っ頓狂な声が部屋に響いた。


 俺が今いるのは遠海学園統括委員会会長、暁泉の執務室だ。その部屋の主である泉さんは、俺の表情が面白いのか、クスクス笑っていた。

 若干イラッとくる人だが、こういう性格の人なのだから、上手く付き合ってくしかない。


 「ええ、実はつい一週間前に先方の学園からそのいう要請がありまして……」

 泉さんはとても柔らかい、オブラートのような声で俺に言外で、飛び入り参加です、と訴えた。


 「ちなみにどこの学生ですか?イタリアですか、ロシアですか?」


 現在、世界には四つ、魔導師のが学校があり、それらは日本、イタリア、ロシア、そしてアメリカにそれぞれある。中でもイタリアはダンテ出生の国である、ということから最も権威が強かった。


 「イタリアですよ。私立ミラノ魔導師学園の高等部一年です」

 「へー」


 高等部一年、ということは雫李と同い年か。留学してくるくらいなんだから、そこそこ優秀なんだろうけど……、なんで今なんだろう。


 「今の時期に留学って珍しですよね」

 「まぁ、そうですね。先方は夏休みを抜いた三ヶ月間を留学期間、としているそうですが」


 今は五月の終わりごろだから、留学期間は六月、九月、十月か。だとしても、六月に来る意味は無いだろう。友人関係を築いたり、とかかな?

 だとしてもおかしい。中途半端過ぎる。

 間に長期夏休みを挟む、というのはちょっとだけ常識的ではない。


 「ちなみに、その学生っていうのは誰ですか?」

 「一応プロフィールなら持っています」


 泉さんは丁寧な手つきで引き出しから一枚の用紙を取り出した。そこには一人の女子学生の写真と、彼女の経歴が貼られていた。

 それを見て、すぐに俺は驚いた。


 それはそれは驚いた。もうそれこそ、このまま全速力で飛鳥島を十八周して、思いっきり眼下の海に命綱を付けずに飛び込んでもいいぐらいに驚いていた。

 まぁ、それは冗談として、普通に驚いていた。


 その人物は俺がよく知る、というよりも知らなくてはおかしい人物だったからだ。

 その学生の名前は『茨木氷空(そら)』。俺茨木千乱(せんら)の実の妹だったからだ。


 魔導師の中でも超が付くだけの美貌を有し、それでいて魔法の才は俺に及ばずとも、知識は俺よりもある。俺はまだ、氷空が本気で戦闘をした様を見たことはないが、多分俺に匹敵するだけの力は有している。ちなみに魔導師としての階位は世界で十人といない、第九層魔導師だ。


 彼女の容姿を一言で説明するなら、白、という言葉がふさわしい。

 彼女は日本人であるというのに、肌は純白のようで、体の体毛も真っ白だった。髪型は三束ほどを左右結び、結んでいない箇所背中の半分辺りまで伸ばしている。


 単純なストレートでない所が実に良い。

 我が妹ながらグレイトだ。

 スタイルに関してはできれば伏せておきたい。日本人特有の慎ましやかさ、というべきかほどおく鍛えられた肉体をしている。


 「なんで、氷空が……」


 ポツリと俺は呟いた。

 あいつがミラノにいることは知っている。でも、なんであいつが留学してくるのかがわからなかった。というか、留学の必要性ないでしょ、あいつは。


 聞いた話では、あいつは中等部の時点でミラノ学園で序列3位だったらしい。それ以降は序列は全く上がっていないが、今では将来を期待されている魔導師の一人だ。

 いわゆる時の人、という奴だ。


 「彼女の留学希望理由はこうです。極東の魔法文化に触れることで、より自分の魔法研究を躍進させたい、と。一々皮肉めいた言葉を垂らすのが苛つきますね」


 いっつもニコニコ泉さんがイラつくとは珍しい。さすが、俺以上に人を怒らせることに長けている女だ。いらない才能だけどね。


 「ただでさえイタリアは俺らぽっと出の魔導師を嫌う傾向にありますからね」

 「ええ、厄介なところです」


 永らくキリスト教を拝し、異教を信じていた日本の魔導師を、他国は嫌う傾向にある。こっちとしてはいい迷惑だが、事実だからしょうがない。

 だから、ミラノ学園も遠海学園(うち)に対して無茶な要求ができるのだ。


 「で、氷空はいつ遠海に?」

 「予定では五日後、だそうです。でも、ミラノは汚いですからね。ひょっとしたらそれよりも早く来るかもしれません。ですので、今急ピッチで準備を進めています」


 準備というのは氷空の所属クラスだったり、宿泊する寮のことだろう。向こうが序列3位、ということで寮は俺が下宿している『暗夜荘』を使えばいいとして、クラス選びはかなりきつい。

 担当教員だって、いい顔はしないだろう。


 「ま、いざとなれば適当なクラスに組み込むんですけどね」

 「それで、責任全部担当教員に丸被せですか?悪い人ですね」


 俺の言葉に泉さんは微笑を浮かべる。あ、これ少しだけ気分悪くしたな。笑顔が滅茶苦茶こえーわ。


 「それで、俺を呼んだのはその話を学園中に広めてほしいからですか?」

 「まさか!そんな訳ないですよ。ここからが本題です」


 また厄介事押し付けられるんだろうなー。言ってしまえばさ、俺ってこのひとの犬以外の何者でもないんじゃないの?ほんと、やになっちゃうなー。

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