行間5
リィンとハロルドは必死に逃げているところで追手が緩んでいることに気づき背後を少し向くと驚いた。
「いつの間にか一人になっていますね」
追ってきていたものらは七人はいたはずなのだがいつの間にか一人を残して誰もいなくなっていた。
「逃げやすくていいじゃないか。一番厄介そうなのが残ったみたいだが」
ハロルドは人混みに向かうようにリィンに指示する。さすがに通勤ラッシュの人混みの中で戦闘を行うとは思わないからだ。そして人混みならば追跡が難しくなることも理由の一つ一つではあった。追ってきている男はそれに気づいて速度を上げる。
「このままじゃ追いつかれるよ」
「そのようだな。仕方が無いこちらも速度を上げるぞ」
ラストスパートとばかり速度を上げる二人。しかしどうにも不可解だ。なぜだが前に進んでいる気がしない。
「どういうことだ?」
「恐らくは幻覚系の異能でしょう。もしかしたら距離の感覚を狂わせたのかも」
「ならどうしたらいい。このままだと追いつかれるぞ」
「そこのビルに入りましょう。屋上に向かってください」
「袋小路にならないか?」
「いざとなったら飛び移ればいいと思います。さぁ行った行った」
ハロルドはリィンに押される感じでビルに入る。地下にあるというのに十五階まである。エレベーターはなぜかない。なのでリィンたちは全力で階段を上がることになった。また少ししてわかるが人がいない。廃ビルなのだろうか」
「これは年寄りにはキツイっての!」
「今五階。後十階よ」
「過酷な現実は伝えないでくれないか?」
リィンは涼しい顔で階段を駆け上がる。細い体のどこにそんな体力があるのかとハロルドは不思議でしょうがない。相手も疲れてきているのか徐々に速度が落ちてきている。ハロルドはこれを気にと懐から小さなメタルボールを三個取り出した。リィンはそんなものを持っているから疲れるているんじゃないかと心から思う。
「緊急事態用に一応持ってきた簡易爆弾。スイッチ押して五秒後に爆発する」
「建物内で使うには危険すぎない」
「なんとかなるだろ。それにそんなやわな建物じやないさ」
そう言ったハロルドがスイッチを押して爆弾を下の階に放り投げる。きっかり五秒で爆発。下の階は瓦礫の山とかした。
「これで時間は稼げるだろ」
「随分と派手に壊したものね」
「大丈夫だろ。少なくとも非常事態だからな」
「それで済むわけが」
「なんだこれは、道が塞がれているだと。……そうかさっきの爆発!」
「……取り急ぎ逃げましょう」
「了解だ」
「あっ、てめぇら。そこにいやがるのか。くそ、別の道はないのか」
リィンはハロルドに合わせて階段を登る。慌てる必要がなくなったのだ。実はこのビルについて地図に書かれていたものである。セレストルビル。かつて新世界委員会ジュネシオンが使っていた防犯上による階段を一つしか建造していない特別設計のビルである。監視カメラはすでに機能は停止している。もう使われていないのだから当然だ。
リィンたちは屋上の扉の前についた。ハロルドは扉のドアノブに手をかけるが鍵がかかっている。
「今時鍵式とか古いマンションとか物好きの一軒家みたいだ」
「どいてください。こういうのは壊した方が早いですよ」
リィンが人差し指を伸ばす。ハロルドは人差し指て何をするつもりかなどと見ているとリィンの指先に赤い光が収束しているのがわかった。
「ここをこうしてこうです」
リィンは人差し指でドアを端と端を四角く素早くなぞる。そして蹴り飛ばすと扉は倒れる結果となった。
「……ワイルドだな」
「効率重視と言って、逃げ切るよ」
「まだそれは不可能だ」
「なっ」
いつの間にか追ってきた男が屋上で待機していた。ハロルドは驚いたがリィンは冷静に分析する。
「どうやってきたのかは大体想像はできますが……あなたの異能は磁力の類ですよね。間違いはないはずです」
「ほう、よくわかるな。さすが元神様。能力の特性くらい理解しているってか。でとこらへんで気づいた?」
「まずこのビルは風通しが非常に悪いこれにより風を操るには良い環境ではありません。そして外も同様です。奥窓しかなく周りからは風のほとんどか流れてきません。で登れる場所があるとしたならばそこは」
「奥窓から見える上まで続いている鉄のパイプってか。なるほどな、頭が柔らかい。捕まえるのも相当苦労するはずだ」
男はフード付きのコートを放り投げる。そこに現れたのは眼帯を付けた男。身長は約172センチ。痩せ型でありながら筋肉質が目立っているその体は脈動している。
「俺の名は陸前 徳治。さっさとお前を捕まえて帰らせてもらうぞ」
陸前がリィンたちの方にどんどんににじり寄ってくる。リィンは後ろを見ず後退していく。ハロルドはあまり気にせずビルの端により下を見ていた。
「ふっ、お前は見逃してやるつもりだがなにをしている。行動によっては」
「今だ! リィン、こっちに来い」
リィンはハロルドの言葉に従い全力で近づく。一瞬陸前は戸惑う。その隙をついてハロルドは近づいたリィンの腕を取り。
「どっせい」
リィンをビルの外に放り投げた。
「ちょっとおおおおお!!!」
リィンは叫びながら下を見た。そこには一人の学生服を着た少年。ハロルドはこの男に助けてもらおうと考えたのだろう。
「助けてください」
リィンは声を大きく出す。まだ相手に聞こえていないようだ。
「そこの人、そこの人、そこの人!」
声の限り張り叫ぶ。やっと気づいたのか少年は上を見上げる。その姿は驚いた様子もない。リィンは直感した。この人ならば問題なく助けてくれるのではないのか、と。
「そこの人、うまく受け止めて!!」
リィンは一瞬目をつぶって助けの一瞬を待ったのだった。