↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?  作者: 島ノ松月
地球転生編第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/543

地球転生編 2-39 最神玲、物部かすみの誕生日を祝う (前編)

最神玲、物部かすみの誕生日を祝う (前編)


6月上旬のある日曜日の昼過ぎ。実はこの日は、物部かすみの誕生日の前日にあたる。そう、クリスマスで言う所の「イブ」である。そして今、最神玲は明日のかすみの誕生日に何をプレゼントしようかと自室で悩んでいた。実は昨年のこの時期、玲は実家で療養中でかすみの誕生日を祝うことが出来なかったため、今年は何かお祝いをと考えたのだ。だがかすみが好きそうな物はと言うと、洋服とか化粧品とかであり、しかもかなりの拘りがある。そのため、ファッション音痴の玲ことカーンとすると、迂闊に変な物をプレゼントする訳には行かない(下手をすると毎日冷たい目で見られることになりかねない)。そこで、困ったときのではないが、自分よりも人生経験豊富なタチアナにメールで相談した。すると、早速返事が届いた。


  [レイ君

  カスミさんの誕生日のプレゼントだけど、

  確かに洋服とか化粧品とかは

  その人の個性と言うか好みが出るので、

  選ぶのは難しいと思うよ。

  そんなときは、今彼女に必要な物をプレゼントしたら

  良いのではと思うのよね]


うーん、かすみが今必要としている物か…そう言えば、今も暇さえあれば創成召喚をやっているけど、何か新しい術式でもあげた方が良いのかな、などと考える玲であるが、まだかすみの召喚エネルギーではそこまでは無理がある。その時、「ん?そうか、召喚エネルギー増やすのは良さそうだ」と考えるに至ったのだが、そうするとどうやって増やすのかとなる。残念ながら玲にはその知識はない。だが、増やせなくても補う物ならあるいはと思いながら、またしてもタチアナにメールで相談した。するとタチアナから思いもよらぬ提案が齎(もたら)された。しかも、直接本人がやって来てである。


  「うわ、び、びっくりした、タチアナさん。

   転移で来るなら先に言ってくださいよ」


  「あら、ゴメンねレイ君。

   でもね、大切なカスミさんの

   誕生日プレゼントのためでしょ?

   これくらいは我慢しないとね」


といきなり転移して玲の部屋に現れたタチアナであるが、そんなことはお構いなしに、玲に語りかけた。ちなみに、今フランスは朝の7時を少し回った頃だが、早速


  「ところで、レイ君、

   召喚エネルギーなら多少であれば増やせるわよ」


  「え、そんなこと出来るんですか?」


  「と言うか、あなた自身も

   そうなったんじゃなくって?」


ん?…あー、あれの事か?そう、ケンタリアに居た時のカーンフェルト少年がうっかり迷い込んだ地下室で見つけた、串焼きのオブジェ。あれって、そもそも何なのか?と言う疑問をタチアナにぶつけた。すると、


  「あれはね、私達というか、

   ロムリアの召喚術師の間では、

   エンペリアンと呼ばれる、

   何と言うか召喚エネルギーの貯金箱と言うか、

   まあ回復装置にもなるのかな。

   ちなみに、それを開発したのは

   私の師匠であるエンペラール先生なの。

   だからその名にちなんで、

   エンペリアンと名付けられたんだけど、

   まあそれは置いといて…」


そうか、あれは召喚エネルギー用のバッテリーというところか、と納得する玲である。そしてタチアナの説明による、暫くの間召喚エネルギーを使うことがなければ、自分に溜まっている召喚エネルギーをエンペリアンに触れて預けておく。そして、召喚エネルギーが不足した時に、エンペリアンに触れて補充する。これを何回も繰り返して使用できる物がエンペリアンということのようだ。


  「ただね、充填された状態で長期間未使用だと、

   どういう影響が出るのかは

   全く分からなかったのよね」


え、実はかなり危ない物なんですか、タチアナさん、と驚きの余り目を見開いて彼女を見つめる玲である。よくそんな物に触れて無事だったな僕は、と内心ほっとしているかどうかは定かではないが。


  「ただね、あなたの話を聞く限り、

   どうやら召喚エネルギーを

   増やすことも出来るみたいなのよね。例えば、…」


と言うことで、要するに玲が自分の召喚エネルギーをそのエンペリアンに充填しておき、その後でかすみがそれに触れると、普通は召喚エネルギーを回復するだけとなる。ところがもし大量の召喚エネルギーが充填された場合は、かすみの召喚エネルギーが増大する可能性が高くなるようだ。ちなみに、エンペリアンの容量は好みに合わせて調整できるらしいので、今のかすみの召喚エネルギー量の5割増し位を想定して作ったらどうかというアドバイスをタチアナからもらった。ただし、玲も直ぐに作れるかどうか分からないが、そもそも必要な材料がこの地球にあるのかという、根本的な疑問が生じた。すると、タチアナは


  「まあ何とかね。100%の再現性は出来なかったけど、

   90%以上の再現性は確認済みよ。

   あとは、私の別荘の地下室知ってるでしょ?

   あそこに必要な材料は揃っているから、

   良かったら作ってみない?」


と勧められて、二つ返事で即答する玲である。そして、早速タチアナの別荘へ二人は転移して行った。実は丁度その時、かすみはトイレに行こうとして玲の部屋の前に来ていたのだが、何やらタチアナの声がするぞ、え、今ここに来ているの?と疑問に思ったのでノックもせず玲の部屋に入ったのだが、そこには誰もいなかった。「あっ、玲の奴、自分だけでどこかに転移して行ったな。私に一言の断りもなく」とかすみは憤慨するのだった。



 カーンは召喚術に関する知識は深く豊富だが、召喚術に関するアイテムやアーティファクトに対する知識や造詣には残念ながら深くはない。ちなみに、ケンタリアの召喚技術研究所の第4部が召喚術関係のアイテムを研究する部署であるが、カーンとの節点は殆どなかった。さて、このような制作知識の皆無な玲ことカーンが果たしてかすみ専用のエンペリアンを作れるのか、甚だ怪しいところがあるので、結局はタチアナことセラスティナが1から指導して作ることになった。


  「すいません、タチアナさん。

   忙しい時に僕の工作につき合わせてしまって」


  「いいのよ、そんなこと気にしないで。

   それよりもね、ここの施設だけど、

   もし私がロムリアに帰還することになったら、

   レイ君、あなたに使って欲しいのよね。どう?」


え、この別荘ですか?とは、流石の玲も驚くしかない。


  「どのみち、あなたならここへ転移で来ることは

   簡単なんだし、かと言ってこれを赤の他人の目に

   触れさせるわけにもいかないしね」


何やら怪しげな実験か黒魔術みたいなことをしていたのではと変な噂が立ちそうだし、と思う玲である。


  「ゲラルドさんなら、

   確かタチアナさんのお弟子さんですよね。

   彼に管理を頼んだ方が良いのでは?」


タチアナも当初はゲラルドにお願いしたのだが、地球に転移してから余り召喚術の研究とかは行っていないため、私では管理なんてできません、と断られたのだという。そうすると、タチアナの信頼に足る有能な召喚術師は玲ことカーンだけになったのだ。そのようなことをタチアナから説得され、また「カスミさんのエンペリアン作るのを手伝ったんだから、貰って頂戴ね」と謎の逆提案をされてしまい、結局この施設の譲渡を受け入れてしまった。だが後日、やはり貰い過ぎじゃないか、と頭を抱えるのであったが。



 さて、エンペリアンであるがタチアナの指導の元、何とかそれらしい物が完成した。ちなみに、かすみ用のエンペリアンは、カーン少年が見たような屋台の串焼き型ではなく、卓上式の地球儀に似た形をしているのだが、タチアナが言うには串焼き型は複数人での使用を考慮したタイプとのことで、個人は大体この卓上用を使用するらしい。そしてこのエンペリアンは、実は構造的に凄く単純で、丁度地球儀の赤道に沿って割ると、その断面は北半球がペンタグラム型、南半球がアニュラス型の模様になっている。そしてそれらの模様を構成するのが様々な水晶と純度が99%以上の銅塊である。本来は銅ではなく金であるべきなのだが、サモナルドでは金は希少性が余りないため問題なく使用できるものの、地球では金の希少性からエンペリアンに使う金塊は結構な金額となってしまう。そのため、代替品としてタチアナが探していた時に、銅塊が比較的金塊に近い数値を示すことが分かったので、これを使うようにしたということだ。そして、水晶と銅塊をある大きさにカットしてそれを敷き詰めて、それぞれの模様にすることでエンペリアンが完成する。ちなみに、エンペリアンに蓄える召喚エネルギー量は、エンペリアン自体の大きさで調整するのではなく、中に詰められる水晶の質と量で調整するという。従って、更にパワーアップを望む場合は、エンペリアンの中身を置き換えるだけで済むという、以外と経済的な構造になっている。そして、タチアナの地下室にはそこら中にエンペリアン関係の部品が転がっているので、作る方としては以外と楽なのであった。なお、召喚エネルギーの出し入れは、エンペリアンに直接出すか入れるかの術式を書き込むだけで済むらしい、至ってシンプルな仕様になっていた。


  「ところで、タチアナさん。

   かすみがこれで召喚エネルギーを

   アップできたとして、

   更にアップしたいとなった時、

   サイズはこのままで中身を増やしたり、

   水晶を交換すれは良いんですよね?」


  「ええ、そうよ。

   ただし、連続使用でのパワーアップは絶対ダメよ。

   自身の召喚エネルギーがアップしても、

   それが体に馴染むまでには大体半年以上かかるの」


ちなみに、タチアナの言う半年はサモナルドのことであり、地球ならその倍の約1年は間を開けないと駄目だ、と言うことを玲は理解した。


  「それと、上げ幅は5割増しにしておくこと。

   そうしないと極稀にだけど

   死を招くこともあるようなので、

   気を付ける必要はあるわよ。


うわー、僕もそうなっていたかも、と玲は思った途端、腕に鳥肌が立ってきた。そしてタチアナは、そうそう、それとね、と言って


  「一人の召喚術師がパワーアップできるのは

   精々3回までみたいなのよ。

   それ以上やっても恐らく効果はないからね」


と言うことである。要するに無限にパワーアップは出来ないらしい。さて、エンペリアンも出来たので再び転移で戻ることになったが、タチアナは直接自分のオフィスに戻るという。日曜日なのに仕事なんですか?と呑気に問いかける玲であるが、「ロムリアの経営者となれば、週末は関係なくなるの」とタチアナから軽い説教をされて冷や汗をかく玲であった。


  「タチアナさん、色々とお手伝い頂いて

   有難うございます。

   かすみも喜ぶと思います。

   本当に有難うございました」


  「いいのよ、気にしないで。

   あなたの役に立てられて、私も嬉しいわ。

   じゃあ、私はこれで戻るわね。

   あっ、この施設そのまま好きに使ってもいいわよ。

   じゃあね」


と言ってタチアナは転移して行った。一人残された玲も、一旦自分の部屋に戻るべく転移門を作成して転移していった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。