地球転生編 2-18 最神玲と物部かすみ、クリスマスを祝う
最神玲と物部かすみ、クリスマスを祝う
12月に入ると、街はクリスマスイルミネーションで華やぐが、その華やかさも今夜24日でピークを迎える。最神玲と物部かすみは、クリスマスイルミネーションに照らされた大通りを歩いている。ただし、周りのカップルとは少し異なり、二人は手を繋ぐことなく、ましてやカップルがよく行う腕を絡ませることもなく、普段通りに並んで歩いている。そんな雰囲気に飲まれたのか、突然玲が
「かすみ、僕らも手を繋いでみる?」
とかすみに声を掛けたところ、速攻で
「無理。玲、何考えてるのよ、
全く、厭らしい!」
と拒絶される始末。流石の玲もかなり凹んでしまったが、かすみの本心は手を繋ぎたいし、何なら腕を絡ませたい。ところが、その心構えが出来ていない状態で突然手を繋ぐかと聞かれたから、いつもの癖で速攻拒絶してしまった。そのため、この後のかすみは少し、いやかなり不機嫌になるのだったが、玲は自分が無理強いしたことで怒らせたかと勘違いしてしまった。そんな気まずい雰囲気の中、以前立ち寄った「エスタシア」で予約したクリスマス用のホールケーキを受け取り、その後チキン専門店で予約しておいたフライドチキンの詰め合わせを持ち帰り、これから二人で玲の下宿に向かった。その間、二人の間に会話はなく、ただ黙々と歩くだけだった。
「ただいま」
と誰もいない室内に向けて、つい癖でそうしゃべってしまう玲であるが、何かただいまの言葉もどこか寂しさを感じてしまう。とりあえず、買ってきた物を台所のテーブルにおいて、居間にある暖房をつけて部屋を暖めている間にノートパソコンを起動してメールをチェックしていた時、見慣れた言葉で書かれた[メリークリスマス]の表題が目についた。そう、タチアナからのメールである。早速開いて確認すると、そこには玲とかすみが驚くプレゼントが用意されていた。
「かすみ、ちょっとこっちに来て!
早く、早く!」
「はあ、何ですか、急に呼び出して。もう」
とぶつくさ文句を言い出すかすみ。丁度、買ってきた品々を皿に盛りつけていたところで、玲に突然呼び出されたのである。
「このメール、タチアナさんからなんだけど、
僕らにクリスマスプレゼントがあるって」
と言って、サモナルド語で書かれたメッセージを読み上げる玲。
[レイ君、かすみさん、メリークリスマス。
先日は楽しいひと時をありがとうね。
さて、このメールを見ているあなた達に、
私からプレゼントがあります。
それは、来年3月にパリで開催される
パリ・ファションウィークに
あなた達二人をゲストとして招待します。
どうか期待して待っていてくださいね。
正式な招待状は後日玲君の自宅宛てに送りますので、
連絡先を後で教えてね。
それと、往復の旅費と宿泊代も全てこちらで
負担するので安心して来てください。
また会える日を楽しみにしています。
じゃあね]
暫し二人は沈黙する。そして、二人お互いに見合って、
「うっそー、マジ、えっパリに行けるの?」
と突然大声で吠え出すかすみ。先程の不機嫌さはどこに行ってしまったのか。
「しかも、しかも旅費と宿泊費も
タチアナさんが負担するということ?
ねぇ、玲、これって嘘じゃないよね。
今日ってエイプリルフールじゃないよね?」
と言って、なぜか玲の頬を抓るかすみ。
「痛っ、て、もうかすみ、
何で僕の頬を抓るんだよ」
いやー、夢じゃないことを確認するためだと言うけど、だったら自分の頬を抓ろよ、と抗議する玲であるがその抗議はかすみには全く届かず、今は馬の耳に念仏状態。
「そっか、そっか、パリかー。
花の都パリーー。
あっでも玲なら、転移で行けるんだよね」
そう、今の玲なら転移でパリに行くことは問題ない。問題ないが、それは不法入国になるため、ホテル等への宿泊は出来なくなる。それどころか、警察に捕まって強制帰国させられるが、尤もこちらに転移すれば現地の宿泊は不要となるので、実はその点も問題ない。すると、かすみの質問の意図は何だ?
「かすみ、もしかして転移で
下見に行くとかじゃないだろうね?」
「いや、単に聞いてみただけ」
なんじゃそれ、と突っ込みたくなる玲である。ちなみに、かすみならそう言うなり、頭に一発お見舞いするだろう。さて、早速玲はタチアナに招待へのお礼の返事と、家の住所を添えてメールを送信した。
タチアナからのサプライズ的なクリスマスプレゼントで大盛り上がりをする玲とかすみであった。その後気持ちを切り替えて自分達だけのクリスマスパーティーをして、イブの夜を過ごしたのだった。




