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召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?  作者: 島ノ松月
地球転生編第二部

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地球転生編 2-14 物部かすみ、降霊術師の特訓を始める

物部かすみ、降霊術師の特訓を始める


タチアナ・エグリスコバとの対話を行った翌日曜日の昼前。漸く最神玲は寝床から起き出してきた。ところで、その間物部かすみは何をしていたかと言うと、お腹が空いたので玲の下宿近くのコンビニに弁当と飲み物を買い出しに行っていた。そして、今は玲と一緒に遅い朝食、というか朝昼兼用の食事を台所のテーブルで取っている。昨晩はそこに豪勢なディナーで彩られていた同じテーブルで。そして、とりあえずお腹が一杯になったところで、自分の身近に起きていた怪異と言うか霊体験のことを玲に相談した。


  「そう言うことがあったのなら、

   もっと早く僕に相談してほしかったな」


とぼやく玲である。まあ、彼の言うことも尤もであり、その点はかすみも反省しているのではあるが。ただ、


  「でも玲って、降霊召喚出来ないんだよね。

   だとしたら、相談しても何も解決できないと

   思うけどね」


とは身も蓋もないかすみの言い分。本来の玲であれば、これ以上何も言い返せないのだが、今日は少し違った。そして玲の口から出た言葉は、かすみを驚かせるのに十分なインパクトを与えた。


  「いや、僕も使えるようになったみたい」


何かサラッと言ってのけてるようだが、その意味は重大である。


  「えー、嘘。でも昨日言ってたよね。

   自分出来ないって」


正確には出来ないというよりも試してなかったの方が正解だろう。最神玲ことカーンの常識としては、契約及び創成召喚と降霊召喚は別物の認識があり、それを疑うことなく生きて来たのである。ところが、昨晩のタチアナとの会話で、タチアナことセラスティナは全ての召喚術を扱えること、そして彼女の居た時代の召喚術師は大抵全ての召喚術が使えることを玲に話した。この時、玲の心の中では自分の持つ召喚術の常識の崩壊が始まっており、最後にはもしかして自分も降霊召喚できるかもと言う期待と確信に変わったのであった。そこで、寝る前に台所で降霊召喚門を試しに作成したところ上手く機能することを発見したのであった。そんなことをかすみに話すと


  「じゃあ、玲も私も、今は降霊召喚術師としては

   初心者なんだよね。

   そしたら、どちらが先にマスターするか

   競争しない?」


とは何とも無謀な提案をするかすみである。方やぽっと出のミュータント、方や時代が生んだ召喚術の天才、どちらが勝つかは目に見えて明らかなのだが。


  「勝負する以上何か賭けるのかい?」


  「うん、そうね、こんなのはどう。

   1日限定で、負けた方は勝った方の

   言うことを聞くというのは?」


  「へー、良いけど。例えば、僕がかすみに、

   そこで裸踊りしろって命令しても、知らないよ」


  「はあ?

   何、そんなスケベなこと考えてるんだ、君は!

   まぁ、私が負けることは無いだろうけどね」


と偉く自身満々なかすみである。一体どこからその根拠が生まれたのやら。こうして、玲とかすみの世紀の対決(?)が始まったのである。



 さて、対決の前にルールを決める必要が当然あるが、一番白黒はっきりつき易い浮遊霊を時間内に何体霊界に送れたかで競うこととなった。ただし、問題はどうやってカウントするか?実はここでもタチアナから面白い物が転移(正確には創成転移)でその日の夕方に送られてきた。ところで、どうしてタチアナが彼らの競争を知ることになったのか?その経緯はと言うと、玲が昨晩の対話のお礼をタチアナにメールで伝えようとした時、かすみも何か一言お礼を言いたいということで、翻訳アプリで日本語をフランス語に変換して一緒に送信してもらうことに。ちなみに、玲はそもそもフランス語はおろか日本語で書くことにはまだ不慣れなため、タチアナに教えてもらったように手書きのサモナルド語をスキャンして、それを張り付けてメールを送っている。そんな中、かすみは件の玲との降霊召喚術師対決のことを書き送ってしまい、なぜかタチアナのツボに嵌ったというか、対決に興味が湧いたので、二人の対決で役立つ物を送ってくれたのである。送ってくれた物それは、野球ボールくらいの大きさの球体に何やら数字が書かれたパネルがはめ込まれているだけの、極めてシンプルな物。一見、100円ショップとかで売ってそうなボール型置時計にも見えなくはないが、タチアナからのメールでは、どうやら霊体をカウントできる装置らしい。正確には、霊体そのものではなく、転移や召喚で門を通過した物をカウントするカウンターらしい。ちなみに、このカウンターは、商品を転移で輸送する際に正しい個数が送られたどうかをチェックするための装置のようで、ロムリアでは一般的に使われている物だそうである。これは、品物だけでなく門を通過したあらゆる物をカウントするため、霊体も例外なくカウント対象となる。故に、これを使ってカウントすれば白黒はっきりするよ、と添え書きもされていた。こんな簡単なことを行う装置とかロムリアには驚く物が溢れているんだろうな、と想像する玲であった。



 さて、霊体のカウンターも手に入ったので、即対決と行きたいところだが、実は玲もかすみもまだ霊体を霊界に送った経験がない。そこで、ここは一つお互いどこかで共同練習しようではないか、とのかすみの提案で、かすみが良く霊の目撃をする公園に向かうことにした。時刻は夕方5時過ぎ。丁度日が沈む頃の黄昏時で、人の顔が見分け難くなり生者なのかそれとも死者なのかの区別すら出来なくなる時間帯でもある。この公園は中央に噴水があったり、少し離れたところでは芝生広場があったりと、休日には家族連れなどで賑わうところであるが、今この時間には殆ど人影はみられない。否、あってもそれが生者なのだろうか。そんな公園にある公衆トイレの近くで、かすみは霊を目撃したのである。そして、この日も


  「うわー、やっぱいたわ。

   こうしてじっくり見ると、

   人の形をした何かと言う表現だね」


そう、それはそこにいた。丁度トイレの建物の裏手の空き地になったところに、元は若いOL風の女性だったものが揺蕩っていた。かすみが調べたところでは、どうもそのトイレで過去に女性が自殺したらしく、それでそのトイレには女性の幽霊がよく目撃されるそうで、地元のちょっとした心霊スポットになっているとのこと。ちなみに、心霊サークルでは、新入部員歓迎会でこのトイレで肝試しを毎年するそうである。



 ところで、降霊召喚術師はどのように霊体を霊界に送るのか?それは、神官や僧侶といった聖職者のように祝詞や経を唱えるでもなく、自称霊媒師のように何やら怪しい呪文を唱えるでもない。実は降霊召喚術師は何もしない。ただそこに召喚門を設置し、最後に「召喚」と叫ぶか唱えるだけ。至ってシンプルである。これは降霊召喚も契約・創成召喚と同様に、召喚門を通じて何かを出し入れすることから、容易に想像できよう。ただし、契約や創成召喚の場合は、召喚門から出すことしか出来ないが、降霊召喚の場合、召喚門から出すことと入れることの両方が出来る。従って、召喚門に記述する術式には、[入れる]か[出す]かを指定する必要がある。そして、この違い故に、降霊召喚は召喚門の設置においてのみ、召喚エネルギーを多く消費するのである。


 早速、かすみは件の霊体の傍に降霊召喚門を設置し、[入れる]の術式を記入して、「召喚!」と叫んだ。すると、その霊体は掃除機で吸い込まれる埃の如く、召喚門の中に吸い込まれていった。


  「うわー、すごー。何か簡単に出来ちゃった。

   ここに天才美少女召喚術師が誕生したら、

   どうしよう」


などと変な妄想を膨らませるかすみである。ちなみに、玲は、えっ美少女か?と思ったが、決して口には出さず、黙って頷くのであった。でも、かすみではないが、えらく簡単に事が済んだのには、流石の玲も驚いた。ところで、


  「ねぇ、かすみ。タチアナさんがくれた

   召喚エネルギー測定器、

   ちゃんと着けてるよね?」


  「勿の論よ。ここにあるでしょう。

   って、あれ、赤くなってる」


  「あー、やっぱりね。

   かすみは召喚エネルギー量が少ないから、

   1回降霊召喚を行うと、

   半分近くエネルギーを

   消費しちゃうんじゃないかな」


  「えっ、本当!それやったら、

   あんたとの競争にめっちゃ不利なんとちゃうん?

   何かハンディ付けてもらわへんと、不公平やわ」


と、またかすみの謎の方言が出てくるが、確かにまともに対決しても結果は火を見るよりも明らか。仕方ない、少しハンディを上げますか。


  「分かったよ。じゃあ、僕は1時間でカウント。

   かすみは1日でカウントと言うのはどうだい?」


  「うーん、どうだろう。

   あっ、ねぇ、ちなみに、

   エネルギーの回復って

   どれくらい時間がかかるの?」


  「まぁ、それは、個人差があるね。

   今のかすみの場合は、1~2時間ってところかな。

   まぁ、こまめに測定器を見ておいたら

   いいんじゃないの」


うん、わかった、と言って、その後は測定器をこまめにチェックするのであった。それと、かすみにはもう一つ気になることが。


  「あっ、玲、この召喚門だけど、

   これって霊体1体だけにしか使えないの?」


  「いや、そんなことは無いよ。

   降霊召喚門は門を設置するのに

   召喚エネルギーを消費するけど、

   その後は召喚解除しない限りそのまま使えるよ。

   勿論、その時は自分の召喚エネルギーは

   全く消費しないけどね」


  「と言うことは、霊がうじゃうじゃいるところに

   召喚門を設置すれば、どんどん吸い取ってくれる

   ということになるの?」


まるで、Gを集めるGホイホイみたいな調子で話すかすみである。まあ、理屈の上ではそう言うことになる。それを聞いて、かすみは勝利を確信したかのようにニンマリとするのであった。



 さて、玲とかすみによる、霊体捕獲対決、果たしてどちらが勝ったのか。実は意外と僅差の勝負になって、3体ほど多く捕獲したのがかすみであった。かすみの裸踊りを期待していた方には、残念としか言いようがない。ではかすみにとって何が勝因だったのか?それは、例の霊体ホイホイ。あれが見事に嵌ったのであった。実はかすみは、街中で霊体を目撃するようになった頃に多くの霊体が集まりやすい場所を何カ所か見つけていた。ただその時は怖くてそこに近寄らないようにしていたのだが、今回の対決ではむしろ好都合な場所だと目を向けて、早速その場所に網ならぬ召喚門を設置したのであった。そして見事かすみの策は大成功に終わったのである。ちなみに、玲はそのような場所に心当たりがないため、最初はどこにしようか探し回ることになったが、心霊スポットに行けばあるいはと期待し、かつ転移術の練習もしておこうということで、少し遠方にある心霊スポットへ足を運んで、かすみと同様霊体ホイホイを設置して捕獲したのである。ただし、それでもかすみの捕獲数には届かず。かすみの結果を聞いた玲は、「うそー」と叫んだとか。逆に、かすみは「よっしゃー」と叫んだとか。さて、かすみは玲にどんな命令をするのだろうか。残念ながら、これは二人の秘密ということ(決して裸踊りではないことは確かだが)。

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