サモナルド編2-2 ラーゲルの思惑
ラーゲルの思惑
サリが第一部に転属になってから暫く、見た目は特に変わらず何時も通りに仕事をこなすラーゲル。でも、内心はカーンへの憎悪で煮えたぎっている。何で、あいつは何時も俺からサリを奪うんだ? 俺とサリは許嫁同士なんだぞ。お前が割り込む隙は1ミリも無いというのに。
そして、カーン運命の日の後、ラーゲルの執務室で彼は気でも触れたかのように泣き笑いながら、机の上の書類を辺り一面に撒き散らしていたのである。やっぱり、最後に正義は勝つ、などと叫びながら。もしここに部下の誰かが入ってきたら、狂気に満ちた上司を目の当たりにして、速攻で辞表を提出したであろう。ただ、この時間、もう直ぐ日付が変わろうとする頃に、残業代欲しさに居残る部下はこの世界には存在しない。ラーゲルも普段ならもう自宅で寛いでいる頃ではあるが(と言っても、ここ数日は寛げる余裕はなかったが)。この日は、第一部を誰が運営していくのかについての会議が朝から延々と行われていた。出席者は、研究所のトップであるクライフェルト・トーラス以下、各研究部のトップである上席研究員である。結局、暫定的に第二部の上席研究員が暫くの間第一部も兼任することを決めて会議は一旦打ち切られたが、終わったのは今から1時間程前のこと。と言うことで、上席研究員組だけが残業となったのである。
少し落ち着きを取り戻したラーゲルは、次はサリをどう取り戻すか、と言うことに思案を巡らす。今は第一部所属であるが、そもそもサリ自身は、自分と同様、降霊召喚以外は使えない。従って、今のまま第一部にいても何もすること出来ないだろうから、そのうち元の第五部に再転属させればいいか、などと心に少し余裕が出て来た。まぁ、何事も焦らず、何時でも戻ってきていいよ、みたいな雰囲気を少しずつでも醸しだすようにすれば、自分から転属願をしてくれるかも、などと想像したりする。まぁ、とにかく焦らないこと。




