食堂
食堂に入ると中には修道服を着た、シスターやシスター見習いでいっぱいだ。
「まずはこっちで手を洗ってから、各自決められた場所の手伝いをするわ。今日は初日だから、私と一緒に配膳の手伝いをしましょう。」
「「「はいっ」」」
3人でミナが教えてくれた通り、食器とカトラリーを準備する。孤児院でもやっていた事だから手順は慣れている。
準備が終わると、手伝いが終わった人達から配膳に並ぶらしい。何だか本当に学校だ。給食を思い出す。学校と違うのは、配膳係が給食着を着ていないことぐらいだろうか。あと、マスクも。
さっきから聞き覚えのあるような、無いようなワードが頭に浮かんでくる。
朝から本当におかしい。学校や、給食ってそもそも何なんだろうか。私は頭がおかしくなってしまったのだろうか。
そんな事ないよと、頭の中の自分が答えてくるが気のせいと頭を振り払い、配膳に並ぶ。
今日のメニューは、具材がたっぷりのスープと、白パンだった。こんなにゴロゴロと野菜やお肉が入ったスープは、クリスマスや誰かの誕生日ぐらいだったからとても嬉しい。思わず頬を緩めてしまう。
ミナと、エマ、セイラと席に着くと、皆静かに食事前のお祈りをして、シスターの声の元食べ始める。
「美味しいっ!」
エマの言葉に、首を縦に強く振る。本当に美味しい。こんな美味しい食事がとれるなら、毎日幸せだ。
「今日だけよ、ふふっ」
ミナが微笑ましそうに私たちをみてくる。少し恥ずかしい。
セイラは背筋を真っ直ぐに、姿勢良く何処か優雅に食事をしている。セイラは貴族の生まれなのだろうか。
「セイラは貴族の生まれなの?」
思わず声に出してしまうと、セイラは違うと首を横に振る。
「商人の出なの。貴族の前にも出るから、昔から厳しく躾けられたわ。残念ながら私がシスターを目指すことになり、父はとても寂しがっていたわ」
そう話すセイラの顔は、家族を恋しがる顔をしていた。
「セイラは、お父さんのこと大好きなんだねっ」
「そんな事ないわよ!」
顔を赤くしてそっぽを向くセイラが、とても可愛らしかった。
「エマは、どんな所で生活していたの?」
「私は、山しかなかったよ。あと、山羊さん。山羊のミルクはとっても美味しいんだよ!」
エマはまるで昨日のことのように目を輝かせる。とても無邪気だ。いつか私も行ってみたいな。
「ミナ先輩は、何年目なんですか?」
「3年目かな。まだ怒られることも多いよ。ようやく配属場所の仕事を覚えてきたから、毎日大変だけど、その分やりがいもあるわ。」
「そうなんですね!私たちはこれからだねっ。3人で頑張ろう。」
「うんっ」
「そうね」
そうして、4人での楽しいお昼時間はあっという間に過ぎていった。この後はミナの話によると、私たちの部屋に連れて行ってくれるらしい。あと、制服が貰えるらしく、一年目は無地の修道服らしいが、二年目から襟の部分にラインが増えていくらしい。
確かにミナの襟のところには、3本の青いラインがついている。可愛くて羨ましい。
一年目の修道服。
今日から本当に、私の新しい生活が始まるんだ。
その時の私は、まだ知らなかった。
この教会で過ごす日々が。
エマとセイラとの出会いが。
そして、あの日拾った小さな石が。
私の運命を、大きく変えていくことを。




