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一匹狼クール系女子がなぜか俺に構ってくる件  作者: たかはし
一年生編

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48.めちゃくちゃ念押ししてくるやん

「ついに今日を迎えちまったか……」


 かったるい。何故かって? この後、賀東先輩とデートに、行かなくてはならないからだ。あー、せっかくの休みだったけど、その一日がそれで潰れるのか?


「はぁ……」


 俺は思い切り溜め息を吐く。なんでこんなに俺の心は暗いのに、太陽……なんでお前は燦々と輝いてんだよ?


「ま、ウダウダ考えても仕方ないか」


 俺は気持ちを切り替えて、今日のデート? の服装と髪型を考える。うーん……一応、ある程度の身だしなみは、した方が良いのか?


「……でもなあ」


 ぶっちゃけ、仲良くしたいと思ってる相手じゃないんだよなぁ。それに


「あの髪型は、神崎さん……本人の前でしか、しちゃ駄目って約束したしな」


 うん。約束したんだから、それは守らないとだよな。となると


「いつも通りの俺でいいか」


 俺は、衣装棚の前に移動して、着慣れてる服を取り出す。まあ、休みの日は黒のフード付きパーカーに、黒のジーンズなんだよな。髪型はセットしなくて良いから、逆に楽ではあるか。


 俺は寝間着から、今取り出した普段着に、着替える。あー、これだけでも怠いなぁ。そう思ってた時に、布団の傍に放置していたスマホから、ピコンと音が鳴り響く。遂に来たか……。


「えっ」


 俺が溜め息を吐く暇もなく、テレテレテレレンと、スマホから一定のリズムで繰り返し、流される。 俺は、鳴り響くスマホの元へ急ぐ。おいおい、通話とかマジかよ?ディスプレイを覗き込んで、俺はさらに驚く。


「神崎さんっ!?」


 俺は即座に、通話ボタンを押して、耳にスマホを押し当てる。


「も、もしもし」


 うわ、めっちゃくちゃ声上擦ってる。神崎さんに今の引かれたか……不安だ。


『おはよう、悟』


 向こうも緊張しているのか、いつもより控え目な声。


「おはよう。ど、どうしたの?」

『うん、忠告しておこうと思って』

「忠告?」


 俺、忠告されるような事したっけか?


『今日の賀東先輩とのデートで、オシャレして行ったら駄目だよ?』


 うん? 今まさに、そう考えて普段着にしてるんだけどさ。


『あと、モテる行動も禁止っ』

「はい?」

 

 モテる行動ってなんだ? 俺そんな事した覚えないぞ。と言うか、それが出来てるなら今頃、モッテモテだと思う。


『禁止って言ったら禁止なのっ。返事はっ!?』

「は、はい」


 なんか分かんないけど、神崎さん怒ってる。語気荒すぎて恐いわ。


『で、これが一番重要な事だけど』


 そう言うと、神崎さんが黙り込む。スマホから、彼女の息遣いだけが流れる。え、なにっ? いきなり黙り込まれると、こっち不安すぎるんだがっ!? 


 とりあえず、何言われても良いように、心の壁を強化しとこう……衝撃に備えなければ。うん、安全第一。


『その……私以外の女の子に、目移りしないでね?』


 おっと……予想していたのと、大分違うぞ。どういう意味だ? 考えろ、考えるんだ俺。こんな時こそ、灰色の脳細胞フル活用だっ……あ、そう言うことかっ。


「大丈夫。俺、勘違いしないから」


 そもそも論、俺は身の程を自分なりに弁えてるつもりだしな。美少女やギャルに、俺なんかが恋心を抱いた所で、それ叶わないの確定だから、うん。


『絶対に分かってないでしょ』


 スマホから、神崎さんの呆れたようにも、拗ねた時のようにも、聞こえる声が流れる。え、今の解答じゃ駄目だったか?


『もう……今から、賀東先輩や他の女の子に目移りしないための、お呪いを掛けます』

「お呪い?」


 お呪いって何? 俺これから呪われんのか?


『悟……スマホ画面を見て』

「う、うん」


 神崎さん、何故にそんな指示を? 俺は疑問に思いながら、耳元からスマホを離して、ディスプレイを覗き込む。そして俺は驚愕のあまり、呼吸が止まる。


 そこには、神崎さんが映っていた。多分ビデオ通話に切り替えたんだ。そこまでは良い。問題は、彼女の服装だ。


『えっと……()()()成功、したかな?』

「えっ……あ、あぁ」


 俺は神崎さんに問い掛けられて、それまで止めていた呼吸を再開する。いや、質問するのは良いけど、耳元まで真っ赤にするくらいなら、その格好止めれば良かったのに。


 ディスプレイに、映し出されている神崎さんは、黒のキャミソール……いわゆる肌着、下着姿だ。シンプルな素材で、余計なデザインがない。


 それに普通、胸の部分は胸を大きくする為に盛られてたりするけど、それが全くなく神崎さんの胸部はビデオ越しでも分かる、崖そのもの。だからこそ、美しくて……なんかエロい。


『そ、そんなに見ないでっ』


 神崎さんはそう言うが、画面を手で塞ぐことも、自分から目を閉じることもしない。いや俺にどうして欲しいのよ?


「ご、ごめん。あ、俺がカメラオフにすれば良い話だっ」


 俺はそう言って、カメラをオフにしようとする。


『それはダメ……だって、私は見えてないのに、悟だけ今の私を見てるって想像したら……変な気分になるから』


 いやいやっ。もうすでに限界よっ。上半身だけとはいえ、露出の多いキャミソール姿。しかも、銀髪に合わせてるのだろう、黒色。バランスが絶妙すぎて、なんも言えねぇ。


『お呪い、効果……ありそう?』


 林檎のような真っ赤な顔で、はみかみながら尋ねる神崎さん。


「それはもう……効果絶大です」

『そう、良かったっ。これで、賀東先輩や他の女の子に目移りしたら、許さないからね?』


 さっきから思ってたけど、めちゃくちゃ念押ししてくるやん。どうした神崎さん?


「うん、大丈夫だよ」


 とりあえず、変に刺激しないように、無難な対応を取っておこう。


『賀東先輩とのデート終わったら、次は私とだからね?』

「次ってどういう意味?」


 俺が意味が分からず尋ねると


『次に、会うときまでの宿題っ。ちゃんと考えてねっ。またね~っ』


 手を振りながら、神崎さんが言い終えると、彼女は自分のスマホに手を差し伸べて、その瞬間通話が終わりを告げる。


「なんだったんだよ。今の時間」


 いやまあ、朝からいろんな意味で楽しかったけれどもっ。非常に眼福だったけどもっ。


「これから、賀東先輩とお出かけなんだよなぁ」


 俺は複雑な気持ちで、玄関へと向かうのだった。


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