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蒼色の恋に。  作者: ひろねる


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152/152

151 仕舞い込んでいた思い

「おい」

低い声。

掴まれた胸ぐら。

……は?」

蒼が戸惑う。

「蒼、お前いい加減にしろよ」

その言葉に、蒼の表情が固まる。

「な、なんだよ急に」

「急にじゃねぇだろ」

太陽の声は、抑えているのに強かった。

「お前のその中途半端な態度で」

一瞬、言葉を詰める。

「愛菜がどれだけ苦しんでるか、分かってんのか?」

……っ」

蒼は、何も言えない。

ただ、見返すことしかできない。

「俺はな」

太陽が続ける。

「お前のこと、高校のときからずっと見てきた」

「バッテリーとしても、親友としてもな」

少しだけ力が強くなる。

「でもな」

その言葉のあと、少しだけ間が空く。

「俺は、愛菜のことを中学から見てきたんだよ」

……え」

蒼の表情が揺れる。

「お前、まさか——」

その言葉の先を、太陽は遮らない。

ただ、少しだけ視線を逸らす。

……あぁ」

短く、答える。

「そうだよ」

もう一度、視線を戻す。

「俺はずっと前から」

「お前が付き合う前から」

「愛菜が好きだったよ」

その言葉は、静かだった。

でも——

重かった。

蒼の思考が、一瞬止まる。

何も言えない。

「だからな」

太陽が続ける。

「お前と愛菜が付き合ったときも」

「正直、何も言えなかった」

……」

「でも」

少しだけ、息を吐く。

「相手がお前なら、文句はなかったよ」

その言葉に、嘘はなかった。

「だけど」

そのあとに続く言葉は、少しだけ強くなる。

「お前が肩を壊して」

……」

「お前の、どうしようもない気持ちも分かる」

「それくらいはな」

静かに言う。

「でもさ」

一瞬、言葉を詰める。

「それでも」

少しだけ、目を伏せる。

「ずっと辛そうな顔してる愛菜を見るのも」

顔を上げる。

……きつかったんだよ」

その言葉だけが、夜に落ちる。

蒼は、何も言えなかった。

ただ——

話を聞くことしか、できなかった。

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