消えた記憶と愛する人の嘘 46 【満たされた時間】
「ふぅ~、お腹いっぱい!」
店を出た途端、まいが満足そうにお腹をさすりながら大きく伸びをする。
「そんなに食ったか?」
「うん!だってお寿司めっちゃ美味しかったし、デザートまでしっかり食べちゃったもん!」
「確かに、最後のプリン、めちゃくちゃ嬉しそうに食ってたな」
「だってあれ、美味しそうだったんだもん!」
まいは悪びれることもなく、無邪気に笑う。その笑顔を見ていると、こっちまで楽しくなってくる。
「ま、満足してくれたならよかったよ」
「謙も楽しかった?」
「うん、久しぶりにこんなゆっくり食事した気がする」
「でしょでしょ!じゃあ、また今度も美味しいもの食べに行こうね!」
「おいおい、もう次の話かよ」
そんなふうに笑い合いながら、俺たちは並んで歩いた。
少しして、ふと友達のことを思い出す。
「そういえばさ、まい。友達の名刺って家に置いてあるんだっけ?」
「うん、そうだよ。ちゃんとテーブルの上に置いといたから、帰ったらすぐ分かるよ」
「そっか……ありがとな」
「えへへ~」
まいはちょっと得意げに笑いながら、俺の腕に軽くしがみつく。
家に帰ったら少し休んで、それから電話してみるか……。そんなことを考えながら歩いていると、まいが突然「ねえねえ!」と元気よく声を上げた。
「ん?」
「謙、これからの予定どうする?何かしたいことある?」
「うーん……正直、記憶がないからな。何をしたいかもよく分からない」
「そっかぁ……じゃあ、私が考えていい?」
「いいよ。まいが決めてくれ」
「やったー!じゃあ、めちゃくちゃ楽しい予定を考えるね!」
まいは子供のように無邪気にはしゃぎながら、あれこれとプランを考え始める。そんな彼女を見ていると、俺も自然と笑みがこぼれた。
こうして、俺たちは楽しげな会話を交わしながら、繁華街を歩いて帰っていった。