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こんなのチートですわ

 キャロット城周辺の戦場にて、圧倒的暴力が巻き起こされていた。


「あ、あー、まさかこんな事になるとはな」


 右に左に吹っ飛ぶ戦車を見ながら俺は溜息を吐く。

 残った戦車に視線を向けると、圧倒的2歳児が瞬間移動したかのように現れる。


「えい、たあ」


 短い掛け声と共に、再び戦車が兵が宙を舞う。

 魔王さーたん、数多くのパパさん達により最強レベルとは聞いていたが、まさかこれほどとは。

 うわ、ようじょつよい。


「なにが、何が起きているというのだ!?」


 焦った声をあげるのはキャロットに侵略してきたピトラー、いや俺もドン引きしてるんだよ、悪かったって。


「スーモデス!あれを何とかしろ!」

「・・・」


 スーモデスだと?ここに来てるのか?

 ピトラーの視線の先を見ると、いつぞやの黒ずくめが見える。

 あーあいつが、スーモじゃなくスーモデスだったんだな。


 スーモデスは何か小さく呟くと、魔王さーたんの前に躍り出る。


「・・・魔王様」

「えい」


 再び兵が宙を舞う。


「魔王様!」

「たあ」


 戦車が宙を舞う。


「魔王様ぁぁぁぁぁ!」

「やあ」


 ピトラーの軍の半分が消え去る。

 スーモデスは一通り叫び終えると、くるりと180度回転する。


「我は魔王軍が宰相にして魔王軍が幹部スーモデス、デス」

「おのれ!裏切るか!」


 スーモデスから現れた黒い闇がピトラーに襲い掛かり、それに応戦するようにピトラーが四本アームで宙に浮かぶ。

 再び交戦状態となるピトラー、が、それはまぁどうでも良い。

 アズリエルさんは別動隊で動いてるし・・・とりあえずこっちが優先か。


 俺はカツラに語り掛ける。


「なあカツラ、こいつどうすれば良い?」


 俺は仰向けに倒れたまま、だが俺に敵意を向けるトリスタンを見下ろす。


「うぐああ・・・ぐうう!」

「おっと、どうどう」


 まるで猛獣だが、何かこのシチュエーションに興奮してきた。


『俺様に任せろって、嬢ちゃんの(ツボ)を刺激して薬物を抜き去ってみるぜ・・・少しだけ時間をくれ』

「おk把握、さーたん!ちょっとこっちこい」


 俺はさーたんを呼ぶと、恐る恐るカツラをトリスタンに乗せる。


「うぐああああああ!」

「うおおお!?」


 それと同時に青い稲妻が走り、俺は後方に吹っ飛ぶ。

 だがトリスタンが剣を振り切る前に、さーたんが剣を受け止める。

 その勢いで地面にクレーターが出来る。


 トリスタンが剣をふるい、さーたんがそれを止める。

 それだけで恐ろしい衝撃がガンガン飛んでくる。


 うわ・・・魔王対勇者やべえ。

 ここはさーたんに任せよう。


 俺は再びピトラー対スーモデスに視線を向ける。

 決してこっちの方が楽そうだとかそういった理由ではない、こっちの方が重大なんだ。


「ふはははは!もう良い、私が全て滅ぼしてやる!」

「あらら、上手く避けるもんデス」


 見た感じスーモデスが劣勢、多分さーたんがいる事で俺達の味方についてる筈。

 ピトラーが笑みを濃くすると、数十にも及ぶ軍刀が宙に浮かび、スーモデスの体をずたずたにする。


「これは中々・・・手ごわいデス」


 ずたずたになった体が闇に溶け、別の方角に現れる。

 その闇からスーモデスが現れる、おいおい無傷かよ・・・いや、怪我は治っているようだが、ダメージは少なからず受けている。

 このままだと押し切られるな。

 俺はスーモデスの横に並び立ち、片手剣を構える。


「おいスーモデス!俺は何をすれば良い!」

「邪魔デス、何もしなくて良いデス」

「つっても押されてんじゃねぇか」


 確かに何も出来ないけどさ。

 ピトラーの背中のアームが一本俺目掛けて振り下ろされ、HPが若干減っていく。

 減っていくHPゲージを見ていると、視界の先に見慣れた白いふわふわ頭が見える。


「おっとっと、ボクもそろそろ仲間に入れてもらおうかナ!」


 カフェインはそう言いながら黒い塊を放り投げると、名状しがたき槍に変形させる。


「ようカフェイン、アズリエルさんの方は大丈夫か?」

「全く問題ないサ!むしろボクの出番がないくらいだヨ」


 カフェインの槍がありえない軌道でピトラーを襲う。


「っちい!雑魚がどれだけ集まろうと私には敵わん!」


 ピトラーはアームの一本で槍の相手をしながら、もう一本で俺を攻撃、残りの二本でスーモデスを牽制している。

 さーたんとトリスタンほどじゃないがこいつも大概ヤバイやつって訳ね。


「ふはは!ふははははは!無駄だ無駄だ無駄だ!私にはまだ奥の手が残っている!」


 ピトラーはそう言いながら懐をまさぐると、白い注射器を取り出し、自分の首に突き刺す。


「オールハイル凸トツ凸!」


 ピトラーの目が血走り、アームの火力が更に上がる。

 このままじゃ流石にやばいな・・・。


「ふははははははははは!・・・は?」


 しかしそんなピトラーのアームの一つを誰かが掴む。

 全員の視線の先には幼女の姿。


「えい」

「!?」


 ボキッという音と共にアームが一本折れる。

 それと同時に青い稲妻が走り、更にアームの一本を吹っ飛ばす。

 稲妻を放ったトリスタンが怒りに髪を逆立てている。


「あ」


 誰の声だっただろうか、その声と共に、ピトラーのHPが0になるのであった。


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