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ブライト・ジュエル+P《プリンス》 上

 闇を切り裂きかける二つの影、難攻不落、捕縛不可能、不可侵にして不防の怪盗ブライト・ジュエル。彼女達の素顔を知るものが居るとしたらただ一人……


――R‐18規制中――


「って……いきなりこの展開ってどういうことよ!」

 月明かりの下で抱き散らかされた体をぷよぷよと揺すって、スラ子は怒りを露にしていた。

 液質の弾力に顔を埋めて満足そうにため息をつくユリヲは大人の姿で、シーツ一枚でだらしなく肌を隠しただけの寝乱れた姿だ。ナニをしていたかなど明らか過ぎる。

「スラ子、喜悦」

「うう、そりゃあ、よかったけど……」

 ぽっと外皮を染めるいじましさに、ユリヲが身を乗り出した。

「恥じらい、可愛い」

「ちょっと、待って。無理、これ以上は無理だってば~」

 愛すべき柔らかな女を捕まえようと手が伸ばされる。

そのとき雲が月影を遮った。

 しゅおっと音を立ててユリヲの姿が小さくなる。

「呪い、不便」

 そこには大きすぎるシーツに骨ばった細い体を囚われ、小さく唇を尖らせた少年の姿があった。

「私は好きだけどね、その姿も可愛いし」

 よしよしと頭を撫でる腕液を払いのけ、ユリヲが上目にスライムを睨む。

「結婚、出来ない」

「あら、いっちょ前にそんなことを考えてるの」

「相手、スラ子、希望」

「え? あ……そう……」

 ぷるんとうれしそうに彼女が揺れる。それを見たユリヲは短い手足をばたつかせた。

「呪い、解く、絶対!」


……と、言うことで……ユリヲは意気揚々と洞窟の前に立っていた。

 その後ろには美女に姿を変えたスラ子と、多少呆れ顔のヤヲ子が並んでいる。

「いいですね、お子様は元気で」

「ヤヲ子っ! 確かに見た目はあれだけど、ユリヲは子供じゃないから!」

「そうですね、あなたの大事なカレシですものね」

「カレシって言うか……うん、キライじゃないけど……ショタだし……」

 もじもじと身をひねって俯く姿にユリヲが地団太を踏む。

「呪い、解く、早く!」

「でも、本当にこんな洞窟に『解呪の宝玉』があるの?」

「古文書、記録」

「ま、もぐってみればいいだけの話よね」

 洞窟に足を踏み入れようとしたスライムたちは、既に一人の男が薄暗がりの中に立っていることに気づいた。褐色の肌にエメラルドの瞳も美しい彼は……

「またあなたですか、ミョーネ隊長? よく飽きませんね」

 肩をすくめて首を振るヤヲ子に、その男は片手を上げて魔弾を構える。

「今日こそユリヲ様を返してもらうよ」

「本人が帰りたくないと言っているのですが」

「どうやって言いくるめたか知らないが、ユリヲ様がそんなことを言うわけがない!」

 激高したミョーネがいきなり詠唱を始める。

「流れ荒ぶる濁流よ! カ=ツヒ=ジト」

 ごうと音を立てて水が押し寄せる音に、ヤヲ子が悲鳴にも似た叫びを上げた。

「ばかっ! そんなところで豪流の呪なんか使ったら……」

 時空を割って現れた水の流れが洞窟内に流れ込み、ミョーネを押し流す。

「ああああ、もう! バカなんだから!」

 ヤヲ子が濁流に飛び込んだ。

 駆け出すユリヲをスラ子が羽交いに締める。

「あんたまで行ってどうしようって言うのよ!」

「ヤヲ子、ミョーネ、助ける! ユリヲ、男!」

 精一杯に胸を張るそのプライドがいじましくて……スラ子はユリヲをきゅうっと抱きしめた。

「あんたが誰よりも男だってのは、私が知ってるわ。だから、私を守って?」

「スラ子、守る、当然」

「隊長ドノのことはヤヲ子に任せておきなさい。神出鬼没の大怪盗ブライト・ジュエル様に、ね」

「子供、不便」

 未だ水の流れ込む洞口を覗き込んで、ユリヲがぎりっと歯噛みした。


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