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エピローグ 灰色のあと
翌朝も、慎平は地下二階にいた。
蛍光灯は相変わらず唸り、書類は相変わらず湿っていた。昼はコンビニのカップ麺。湯を入れすぎて、スープはぬるかった。日常は、何も変わっていない。
それでも、ひとつだけ違っていた。
(俺は、誰かの未来を、守った)
役に立たないと思っていた技術で。ゴミだと思っていた自分の人生で。ひとりの人が、これから、温かいご飯を食べられるようになった。
昼休み、慎平は、ビルの外階段に出た。久しぶりに見上げた空は、ぬけるように青かった。
どこかの遠い街の窓辺で、青いランプが、ひとつ、灯っている気がした。
慎平は、声を出さずに、少し笑った。
もう、自分を「ゴミ」とは呼ばなかった。
―― 了




