↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/24

転職要希望!

貴族大連合軍との決戦に備えて、反乱軍は慌ただしく奇襲の準備を進めていた。

王都の民の犠牲を前提とした作戦の準備を…。

貴族軍を内部分裂させ、争わせる戦場が王都となれば、そこが大殺戮の現場となるのは確実だった。

官僚たちの間では表立った批判こそ無かったが、今回の作戦への不満は高まっていた。


■


そんな中、少年が執務室から離れ、廊下で一人佇んでいる姿がよく目撃されるようになった。

一方、執務室では少年に代わって、リオウが指示を出す姿が日常のものとなり始めていた。

その姿を見た官僚は、今回の作戦はリオウの独断ではないかと思った。

だからこそあのような非情かつ危険な作戦が立てられたに違いない…と。

王不在の間にNo.2としての立場を確立させたリオウが、更なる権力を狙って王を孤立化させている…という噂が蔓延するには、それほど時を必要としなかった。



実際には、少年とリオウの仲に揺らぎは全く無かった。

そもそも少年は、平穏無事という言葉を崇拝しているくらいで、権力に興味はなかった。

一方リオウは、少年以外に興味を持てる事がなかった。

少年が創るどんな未来もリオウには楽しみで仕方が無かった。

2人には対立する理由がなかったし、リオウは破滅と分かった道でも共に逝く覚悟をもっていた。


少年が執務室を離れる理由の1つは、ぼーっとしたいがためであった。

誰が引きとめようとも「全てリオウの判断に任せる」の一言で出ていき、惰眠を貪るのはしょっちゅうだった。

惰眠を貪りながら待っていた。

そう、彼が執務室から遠ざかる最大の理由は、ある男の帰りを待っているからだった。


■


う~ん、トムに丸投げしたのはまずかったかなぁ。

なかなか帰ってこないもんなぁ…。

やっぱり「王都の民を守りたい」なんて無理難題だったか。

なんだか凄い自信ありそうだったし、『お任せ下さい!』って言ってたけど…。


あー、奇襲作戦の準備は着実に進んでいるし…このままじゃまずいよな。

でも、俺には代案を思いつく頭脳はないし、下手に止めれば貴族軍が俺を殺しにくるからな!

とりあえずリオウに軍の統率を任せて、最低限の命の保証は得ておきたいのだ。


でもこのまま放置すれば、いつの日か生き残ってた王都の民が、俺を殺すために人生を捧げかねない!!

そんな恐ろしい未来も勘弁してほしいのだ…が、とりあえず今は目の前の威圧感を何とかしてほしい。


なぜだか分からないのだが、レオンが無表情で俺の行く手を阻んでいるのだ…怖いよ!

俺が何かしたか?

自慢じゃないが、最近の俺は、起きている時間より寝ている時間のほうが多いくらいだぞ。

くそ!なんでこの廊下には人の影さえも見えないんだ…誰か通りかかってくれ。


緊急事態発生、今すぐ帰ってきてくれ、トム!!

威圧感に、君の主君は失神寸前ですよ!


■


「陛下があの噂をご存知であったとは驚きました。」

何のことですか…とは言わせない重苦しい雰囲気に俺、死にそうです。

とりあえず、執務室まで逃げてリオウに助けてもらおう!

…!

執務室に行くにはレオンを押しのけないとだめじゃん。

なんでそんな所にあるんだ、執務室!今すぐに動くんだ!!


動いた気配が全く伝わってこないので、もう溜息をつくしかありませんでした…はぁ。

俺が脱出を諦めたことは、どうやらレオンに伝わったらしい。

奴は、限りなく命令形に近いお願いを繰り出してきた。


「共に来て頂けますね?」

「…!執務室になら行くぞ。」


俺の最後の足掻きとして言い放った言葉は、レオンをも満足させるものだったらしい。

なぜか軽く一礼されると、そのまま手を掴まれて執務室に向かうこととなった。

まぁいいさ!執務室には無二の親友がいるはずだからな!


■


ルドヴィークはあの噂が流れ始めた時「困ったもんだねぇ」とケラケラ笑っていた。

あれは陛下が目覚められる前日のことだったと思う、軍部でひとつの悪質な噂が蔓延した。


「リオウは敵と内通し、情報を流している」


正直俺には噂を笑い飛ばす余裕はなく、リオウを問いただし、必要ならば殺そうと思っていた。

だがリオウはどの質問に対しても無視し続け、馬鹿らしいとばかりに勝手に部屋を出ようとした。

慌てて止めた俺を一瞥したリオウは、一言だけ静かに呟いた。


「たった一人の友を裏切って歩く道に、どんな価値があるんだ?」


結局噂の真偽を確かめることはおろか、鎮めることさえ出来ず、陛下の耳にも入ってしまったようだ。

突然、陛下がすべての案件をリオウに任せ、執務室にさえ立ち入らない日が増えた。

リオウは膨大な量を処理しなければならないのに、文句ひとつ言わず見事期待に応えた。

その2人の様子は徐々に軍部に浸透していき、噂はあっという間に終息した。

証拠は何もない、でもリオウを疑うつもりは欠片もないんだよ…そんな陛下の声が聞こえた気がした。


何も言わず、誰も罰さずに兵の心を一つにまとめた陛下の手腕には頭が下がる思いであった。


恐らく、既に陛下の耳には官僚たちの間で蔓延した新しい噂も入っているに違いない。

またしても噂を抑えることが出来ず、陛下を頼るしか無い俺を、ため息一つで流してくれるお優しさ!

きっと俺の浅はかな考えは、見透かされているのだろうな。

だから、資料の豊富な執務室をあえて指定してくれたのだろう。

今の時間はリオウが会議で席を外していることは周知の事実であるし、作戦をたてるには最良の場所だ。


俺が噂を鎮めるために、陛下のご出陣を望んでいることを知っていて、全てを受け入れてくれる。

これほど勇敢で、人の心を読むのに長けた方など他にはいないだろう!

やはりわが主君こそ王に相応しい!


■


頼りの親友は何故だか不在!

レオンの威圧感はやっぱり健在!!…うん。俺が1人で対抗できる相手ではないよね。


うわーん!どうしてこうなるんだ!

俺って一応王様だよね?!死んだらまずいでしょ!

なんで俺が貴族軍に奇襲するんだ、しかも作戦は、時間が無いから俺任せ?

部隊全滅させるぞ!!とか色々ぶちまけたかったのですが…。


「陛下のご出陣なくして、反乱軍が生き残る道はございません!」

レオンさん、それ、どちらにしろ俺死ぬんじゃないでしょうか…。

息の根が止まる3秒前!というほどに追い詰められた俺は一言だけ搾り出す他になかった。


「…分かった。」

たぶん、YESって言わなければ殺られていたと思います。

そのくらいレオンさんの目はマジでした!


王様って退職出来ないかのか?

切実に安全保障してくれる職場に転職したいです。

イラついた部下に刺されたりしない所、要希望です!!




時は止まらない。

過去に戻ることもできない。

常に歩み続けるしかないのだ。










最近忙しくて更新が遅れ気味になってしまい、すみません…。

とりあえず、必死に頑張って書きます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。