1300.ノトン山からサルキス高原へ
「疲れたのです」
アリスのアリスさんが肩を落として息を吐く。
ノトン山登ってからずっと山登りだもんな。
そろそろ頂上に着くから、その後は山脈越えて山下りだぜ。
「さすがに徒歩だと時間かかるわね。これで戦闘までこなしてたらと思うと、ノトン山越えってプレイヤーには向かないんじゃない?」
確かに、これだったらセレファイスからインクァノク辺りに出てる帆船にでも乗った方がよかったな。
せっかくだしドリームランド見回ろう、と徒歩での行動をするべきじゃなかった。
意外と広いし山が面倒だ。
しかもノトン山越えた後はサルキス高原が続き、カディフォネク山を越えることになる。
いや、上手くいけばディアコスの廃墟からサルキス高原越えてオラトーエまで行けるか?
とはいえ、時間的に今回はオラトーエまでは行けそうにないな。
ちょっと早くなるけど、ディアコス着いたら休めそうな場所でドリームランドからログアウトするしかないな。
方法としては……UFO、使うか。ポコロット星人のUFOが使えるはずだ。
さすがにここにはナスの谷みたいな場所はないからナイトゴーントたちに破壊されることも……
「どうしたヒロキ?」
「ナイトゴーントは居ない、しかしシャンタク鳥がいるんだよなぁ」
「あー。前回のアレな。でもよ、今回はシャンタク鳥が奉仕種族化してるニャルさんがいるだろ?」
「普通にニャルさん居ても襲い掛かって来てるんだが?」
不安材料だなぁ。
仕方ないディアコスの廃墟で屋根がある場所にでもUFOを出そう。そうすりゃ空から引っ張り出されて破壊されることもあるまい。
「それにしても、この辺りまで来るとだいぶ雪景色ですね」
「上空だから、って訳じゃないわね。ついさっきの中腹まではこんなに積もってなかったわ」
どうやらドリームランドの北側、氷雪地帯へとついに足を踏み入れたようだ。
ここから先の大地は基本的に凍てつく大地である。
「滑落に気を付けろよ。さすがに咄嗟だとヌトセさんやハニエルさんも反応してくれない可能性があるからな」
「そういう奴が大抵足踏み外すのよ、ねぇ!?」
あー、マイネさんが滑落したよ。
すぐ後ろにクティーラさんが居たからとっさに触手に絡めとられて逆さま片足ぷらーん状態で最悪の事態は免れたが。
パンツ、見えちゃったよオイ。これはただの事故だからね。バンバン様ステイ。
「何してんだよったく」
「あはは、マイネさん滑落してるある」
「パンツ丸出しなのー、なのなのなの」
「なのですー、えっと、なのですなのですなのです?」
なのさんのは笑い声なのだろうか? アリアリさんは真似しなくてもいいんだぞ。
「下山も滑落の危機があるのか。魔界とは違うな」
魔界はそもそも真っ暗じゃん。絶対こういうところのクレバスみたいな裂け目はあるだろ。
「あ、やべ!?」
未知なるモノさんがクレバスにずぼっと入り込む。
頭の上に咲いた植物? だけが外に出た状態で止まった。
「おーい、生きてるー?」
「すまん、自力で出れそうにねぇ」
仕方ない奴だな。とヌトセさんが無理矢理引っこ抜く。
わざわざ頭を持って引っこ抜いたのは植物を千切らないためかな?
というか、未知なるモノさん、この植物。ダイラス・リーンで頭に出現した奴だよな。まだご丁寧に頭の上占拠させてたのか。
「ひでぇ目にあった……」
「ちょっと、未知なるモノさん首伸びてない?」
「引っこ抜くとき力入れすぎたかな?」
若干のトラブルはあったものの、そこから先はかなり順調だった。
特に、板上の何かに座って橇のようにする方法を考え出してからは一気に距離を稼げた。
何しろ山を下るだけだからな。滑って降りれば一瞬よ。
さすがにジェットコースター並みにやっべぇ並木ステージは死ぬかと思ったけど。
「スキーもいいわね!」
「どっかスキー場とかねぇかな?」
雪山での楽しみを見つけたマイネさんたちがとんでもないことを言う。
そろそろ第四回イベントあるはずだし、ソレが終ってから探せば?
あ、いや、案内人君がどこがいいかな、とか呟いてるからすぐに予定組みそうだな。
俺らは行かんぞ。予定が詰まってんだ。
ノトン山を下り、ようやくサルキス高原へと辿り着く。
おー、なんか変な生物闊歩してるぞ。
「アレは多分クモイヌじゃないか? この辺にもいるのか」
「北側の雪原地帯には結構いるみたいだな」
クリーチャーたちも雪原仕様が多いな。
おー、クリスタルゴーレムみたいなのがいるぞ。
アレ多分氷の巨人とかだろ。
「いや、本体はあの中心部にある玉のような生物だ。氷を人型に生成して鎧として纏うのだ」
「面倒だし、焼くか」
クトゥグアさんの炎はさすがに耐え切れんだろ。
あー、可哀想に、瞬殺だったわ。




