1130.天界裁判19
「では、メタトロン。自らの正義を突き詰めた余り、裁判長として行うべきではない審判を複数行い、無数の天使たちを堕天させた罪はあまりに重い。しかし、改心の気配が見えたお前を堕天させるのもまた違うだろう。妥当な罪は「お、お待ちくだされ!」なんだアクニエル」
「べ、弁護側として主張いたします! メタトロン様の審判に瑕疵はなかった、と! ええ。ですので私の告発にも罪はなく、間違った判断は一切ありませんでしたぞ!!」
お、ようやく小悪党としてのエンジンかかって来たか。
それでこそ潰しがいがあるってもんだ。
ピキ
そうそう、ピキってな……?
今なんか変な音聞こえたような?
ま、気のせいか。とりあえず、そろそろ上手い具合に収束させねぇとな。
メタトロンが救いない位に悪党だったらアクニエル共々ぶっ潰すべきだと思ったけど、マイネさん同様正義の暴走ってならまだ救済はあるだろ。貴重なドール用戦力だし。どうにかタダで参加させたいな。
「アクニエルの告発は既に原告側が罪ありきと主張しているはずですが。まぁそこはいいや。メタトロンの罰に関して、一部は罰ではなく恩赦というのは如何でしょう」
「恩赦?」
「つまりメタトロンとアクニエルの時に堕天の審判を受けた者たちの再審、あるいは無罪放免。できませんかね?」
ざわつく天使たち。
堕天の罪を、無しにする!?
そんな想定外的なざわつきだ。
おそらく前例がないんだろうな。堕天した存在が天界に戻ることなどありえない。ってところか。
「彼らの恩赦ができるならば、彼らにはなんら咎がないわけですから、天使に戻れる可能性はあるのでは、と」
「し、しかし、彼らは魔界に追放されている。連絡すら取れない状態でどうやって!?」
「原告側は方法はあると主張します。呼び戻すことは可能、しかしながら天使に戻せるかどうかが不明」
「ミカエル、どうかな?」
「堕天したものを戻す、か。神ならばともかく我々では……」
「ガブリエルよ」
不意に、ヤアスリエルが声を出す。
珍しい天使の発言に、場が一瞬で静まった。
「神より連絡があった。堕天したものが現在も罪を犯してないのだとすれば堕天の罰を解く、と」
「なんと! それは確かに僥倖だ!」
「ラドゥエリエルとサラカエルは堕天した天使の把握を。ヒロキ、本当に呼び戻せるのか!」
「あー。一つだけ。約束があります」
「約束?」
「今からとある人物を呼びます。その人物を天界に呼ぶことをご了承ください。今から召喚陣を書きますのでその場から出ないようにさせます。攻撃などは一切不可、約束いただけますか?」
四大天使長が相談を始める。
嫌な予感がするぞ、とウリエルさんが言っているけど、仮にもルースさんがテイムされている存在がそんなヤバい者を呼び出すとは思えん。そんな話が漏れてくる。
「ち、ちなみに、誰を呼び出す気だ?」
「え、言わなきゃダメですか? 言ったら反対されそうなので。言いません」
「おい、これ絶対ヤバい奴だす気だぞ」
「しかしその人物が堕天した天使たちの居場所を知っているのだろう?」
「あー、一応おそらく、ですね。人間界に帰れば知ってる人は居ると思うので聞けると思うんだけど。天界でってなるとその人に聞くわけ行かないんで。ここで聞くなら、って前提です。どうします?」
「むー、ヒロキよ、その者は、安全か? 我らに敵意を持ったり天界を攻撃したりは?」
「召喚された相手は召喚主の願いを叶えるために生贄がいるんですが、アイテムの熊肉とか宇宙肉があるんで。テイムキャラではないので、周囲への攻撃に関してはダメそうなら契約不履行で潰すので」
絶対ヤバい奴だ。
それはわかるが堕天した天使たちを呼び寄せられるならば、と四人は必死に相談する。
「ヤアスリエル、神から何かお言葉は?」
「……面白そうだから四人が許可するなら許可する、と」
おー、神様意外とおちゃめさんか?
これなら神の許可下りたも同然だな。後はミカエルさんたち次第だ。
「最後に、そいつなら確実に、堕天した天使たちを見つけてくるのだな?」
「ほぼ確実に」
さすがに実証がないから確定は出来ないけど、俺は出来ると思ってる。そしてその思いに対し幸運さんの邪魔が入ってこないということは、幸運さんも問題はないと太鼓判押してくれていると思っていいだろう。
ピシ
つーわけで。許可が出次第ピシっとバシッと交渉しちまおう。
「いいだろう。四大天使長が許可する。その人物を呼び出すがいい」
んじゃ、召喚スキル起動。
「エロイムエッサイムエロイムエッサイム、えーっと我は求め訴えたりー、だったかな?」
召喚の呪文を告げていく。
徐々に光輝いていく魔法陣に、天使たちがざわつきだす。
魔法陣の紋章に見覚えがある天使があいつ何召喚してんだ!? と叫んでいるが、許可でたもんね。




