第9話 ペットは躾(しつけ)が大事?
私とルーカスはお風呂での攻防がまだ続いていた。
「ルーカス、あなた根本的に間違ってるわ。私とあなたは…そう、契約で結ばれただけで恋人じゃないわ!」
よっしゃ。はっきり言ってやったぞ。
いきなりさっきみたいに変身されたらたまんないけど、私は傷つけないって言ってたもの。
きっと大丈夫。うん。大丈夫。
ちらっと覗き込むようにルーカスを見た。
「じゃあ、アリーは誰にでもああいうキスをするのか?」
「えっ?いや、それはないけど。」
「じゃあ俺の初めてを奪った責任、あるよね?」
俺の初めてを奪った責任?
何かちょっと私が悪者みたいなんですけど。
というより、私だってこの体では初めてなんですけど。
「いや、それとこれとは…。」
「どう違うんだ?アリーは俺がカッコイイんだろ?」
いや、それはもう。
超絶イケメンです。
「…カッコイイけど。だからそうじゃなくて。」
「俺もアリーが可愛い。すごく可愛い。さっきから美味しそうでたまらないんだ。」
そう言うとルーカスはまたぎゅうっと抱きしめ、私の耳をペロっと舐めた。
「ひゃあ!ちょっと!」
「照れちゃって、可愛い!俺、そろそろ子どもが欲しかったんだよね。最低でも5匹はほしいな。」
ちょっと待てい!
子ども?子どもとか言ったよね!
しかも5匹?5人じゃなくて?その上、多っ!
私にドラゴン生めってか?無理無理無理無理。
エイリアンじゃあるまいし、腹引き裂かれたらどうすんの!
突っ込みどころ満載すぎてヤバすぎる。
とにかく、落ち着いて。冷静に対処するのよ!
私は一旦ルーカスを引き離した。
「ルーカス…私は人間。あなたは魔物。子どもなんてまず無理でしょ。」
よし。我ながらナイスな反論。
普通、種族が違えばこういうのは無理なのよ。
虎とウサギが無理なように人間と魔物も無理に決まって…。
「そんな心配してたのか!それなら全然問題ないよ。俺の親父は立派な龍族だけど、母さんは人間だったからな。俺の親父が言ってたんだ。見たら分かるって!」
ええい!
ふざけんな。そんなのあってたまるか、ボケぃ!
そうしてる間にも今度は私の右手にキスをしてハムハムし始めた。
「俺、自分の刻印初めて見た。こんな感じなんだな。」
ルーカスはうっとりしながら私を見ていたが、私の心臓は別の意味でバクバクしていた。
ヤバい…。
このままだと本当に一緒にお風呂に入って、しまいには食われる!
そして無駄にカッコイイから騙されそうになってるけど、コイツは魔物!
魔物なのよ!
まったく、これだから盛りのついた雄は…!
と思った瞬間思いついた。
そうだ!これよ!
「ルーカス…残念だけどまだ子どもは無理だわ。」
「えっ、なぜ?」
「実は私まだ16歳なの。その…子ども作ったりするのも、そうゆう大人の関係になるのもまだ早すぎるの。不純異性交遊って言って人間は18歳までそうゆうことするのは禁止されているのよ!」
「つまりどういうこと?」
「つまり18歳まで無理ってこと!」
彼はガクッと腰から崩れるようにその場にへたり込んだ。
おいおい、そんなにかい。
本当に感情表現が激しいヤツ。
「わかった。あと2年待てばいいんだね。」
「そうそう、あと2年…。」
って何言ってんの?私。
これじゃあ2年後にしますって言ってるのと同じじゃない!
ルーカスは座ったままグイっと私を引っ張りぎゅうっと抱きついた。
丁度その位置は彼の頭が私の胸くらいの位置だった。
そして私の顔を見上げニッコリと笑った。
「まぁ、もうちょっと胸も大きい方がいいし、丁度いいか。」
私はボコッとまた一発くれてやった。
取りあえず2年は安泰である。
コイツの躾はその間に何とかするとして、何でもいいからもう早くお風呂に入りたい。
はぁ…と私はため息をついた。
「ところでアリー、風呂はいつになったら入るんだ?」
ああ、本当に。
コイツをちゃんと躾ねば。
「今からよ!」
とは言ったものの、一体どうしたものか…。
ドキドキお風呂タイムはまだまだ続きそうだ。




