婚約者と聖女3
短いです
最近、嫌な夢を見て目を覚ます。
どんな夢を見ていたのかは、まったく覚えていない。
けれど、悔しくて、悲しくて、寂しくて、憎くて、胸を掻きみしるくらい苦しい夢だ。
そして、隣に眠る彼女を見るとホッとする。
その可愛らしい寝息を感じ、その温もりを腕の中に閉じ込めると自分が生きていると思える。
幸せすぎてどうにかなってしまったのだろうか?
この時、彼女は私の腕の中にいなかった
今ある幸せに酔いたい。酔ってこのままどうにかなってしまいたい。
「う・・ん・・?」
起こしてしまった?
けれど、声が聞けて嬉しい。
「うん?ヒロト様?」
名前を呼んでくれたね。
愛しさが膨れ上がる。
まだ寝ぼけてる?
ぼーとして、私を見てふにゃりと笑う。
その笑顔に癒される。
「シャル、愛してる。」
起きてもらうよ、彼女をしっかり感じたい。
学園の卒業式まで指で数えることができるようになった。
立太式で着る服が出来てきた。
最終の確認だ。
華美の装飾がついた白い服。
大きな金ボタンには王家の紋章が描かれ、これ一つで平民の小さな家が一つ買える。
権力を象徴するのかもしれないが、金をかけすぎだと思う。
彼女は、惚けた顔で私を見ていた。
「シャル、どう?」
声をかけるとボッと真っ赤になった。
見とれていた?
「かっこ・・・いいです。」
横を向きながら真っ赤になって言われると、こちらも顔に熱が集まってくる。
彼女から視線を外し、口元を思わず隠してしまう。
彼女に誉められるのは嬉しいけど、恥ずかしいものでもあるのだね。
私が彼女のウェディングドレス姿に惚れ直したみたいに、彼女も私の姿に惚れ直してくれただろうか?
そうならなおのこと嬉しい。
この服に重たい真紅の長い重たいマントを羽織らなければならない。
装飾とマントが邪魔で動きにくい服装だ。
発言が許されるなら、もっと楽な服にしてほしい。
真っ白な服にポツポツと血が飛んで・・・
なんだ?頭に浮かんだのは?
私は、行事の時以外は白の服は着ない。
だから、飛び散った血がかかるなどと・・・、彼女の血が飛び散るなどありえない。
何故、そんなことを考える?
ありえないことを。
そんなこと、私が許さない。
そんなこと、私がさせない。
最近、おかしい。
何も見えない闇の中を歩いているような不安に駈られることがある。
彼女が側にいて、こんなに幸せなのに。
彼女が側にいて、こんなに満ち足りているのに。
腕の中にしっかり閉じ込めていた彼女が突然いなくなってしまうような恐怖を感じていた。
花嫁が花婿まで歩く道をヴァージンロードというのだね。
純真無垢な花嫁が通る道。
ああ、彼女の無垢は私が美味しくいただいてしまった。
とてもとても美味だったよ。
それでも彼女は穢れなく美しい。美しすぎる。
眩しいくらいに。
幸せになろう。




