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婚約者と聖女4

悪夢は、毎晩、何回も見るようになった。

彼女に揺り起こされる時も出てきた。

心配そうに私を覗き込んでいる彼女を見て、すぐさま抱き締める。。

彼(・)女(・)は(・)側(・)に(・)い(・)る(・)

大丈夫。ま(・)た(・)失(・)っ(・)て(・)い(・)な(・)い(・)

卒業式は、もう明後日に迫っている。

乙女ゲームなら、卒業の記念パーティーで婚約者に婚約破棄を言い渡す日。

乙女ゲームなら、混乱させたとスマラタ(ヒロイン)に処罰を言い渡す日。

もう関係ないはずだ、私には。

私は、本(・)当(・)に(・)欲(・)し(・)か(・)っ(・)た(・)も(・)の(・)を(・)手(・)に(・)入(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)

今(・)回(・)は(・)全てうまくいく。

間(・)違(・)え(・)て(・)いない。

だが、沸き上がる不安は消えない。

彼女の温もりだけが私を繋ぎ止めている。


ラーシナカ伯爵が言っていた従僕の神官を調べてみた。

右手に切られた跡がある。

神官兵というものもあるが・・・、それらしき職にいた経歴もない。

それに動きが妙だ。

目立たないが、私とマリークライスが関わっている時に必ず姿がある。ポンデ教司がいなくても。

マリークライス付きではないのは、調べがついている。

ポンデ教司に頼まれた?にしては、遠目で見ている傍観者だ。

もし、同一人物なら、歳をとっていないのは何故だ?

何が目的なのか?

また一つ謎が出来てしまった。

執務室を出るとマリークライスがいた。

軟禁が解けたとは聞いていない。

無理矢理、脱け出してきたのだろう。

「レオン様、お慕いしております。だから、どうか・・・。」

私か彼女が聖人・聖女の認定をされてしまうと、マリークライスに妃の座は完全に回ってこない。

あの氷を消した者は、マリークライスより上位になるからだ。

焦りが頂点に達したのだろう。

だからって、今さら何を?

こいつが過去から今に至るまで彼女にしたことは、許していない。

消してしまいたい存在、いずれ消してしまう存在。

あ(・)の(・)時(・)も(・)分かったと言いながら、彼女に牙を向けた。

修(・)道(・)院(・)に(・)逃(・)が(・)し(・)た(・)スマラタ(ヒロイン)を毒殺した。

彼(・)女(・)を(・)救(・)う(・)には、スマラタ(ヒロイン)の力が必要だったのに。

マリークライスの目に怯えが映る。

幾つもの大罪を犯したお前を決して許しはしない。

今までで一番惨めな末路にしてやろう。

真っ青になり震えだしたマリークライスの姿に溜飲をさげ、私は彼女の元に急いだ。

何度も悪夢で目覚め、何度も求めてしまった。

動けなくなるくらい。

もうそろそろ起きているかな?

無性に彼女の声が聞きたい。

まだ、ベッドの上で微睡んでいる彼女の姿があった。


緑の大地の上、横たわる彼女。

赤く染まっていく大地。

彼女の胸には・・・。


なんだ?今のは。

あり得ない、そうならないようにしてきた。

必死で呼吸を整える。

大丈夫、大丈夫、大丈夫。

彼女は生きて(ここに)いる。

「シャル。」

普通の声が出たことにホッとする。

瞼が震え、ゆっくりと青い瞳が姿を現す。

「・・・。」

焦点を結び私をはっきり認識したら、布団の中に潜ってしまった。

ねえ、誘っている?

残念なことにまだ公務(しごと)があるのだよ。

「シャル、起きて。お昼になるよ。」

「お昼になったのは、ヒロト様のせいです。」

布団の中から、拗ねた声がする。

うん、私のせいと言われると私のせいだけど、可愛い過ぎる彼女も悪いと思うよ。

無意識に煽ってくれるから、止められなくなる。

だから、二人のせいだね。そういうことにしておこう。

ウェディングケーキをどうする?

初めての共同作業でケーキに入刀して、参列者に振る舞うのだったよね?

聳え立つ何段ものケーキも切り分ける大きなケーキもどちらでも作れるよ。

けど・・・。

異世界の何処かの国の何年後かに家族で食べるケーキもいいね。

そこまでケーキが腐らずにあるってことが凄いし。

えっ?ホールを一人で食べたい?

別にいいよ。ちゃんと食べさせてあげるから。

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