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婚約者と波紋

私が学園に着いた時、彼女は中庭のベンチに座っていた。

少し疲れた顔をしていた。

()()言われたのだろう。

マリークライスの取り巻きたちが、また動きだしているのは知っている。

「シャル。」

隣に座って抱き寄せる。自然な形で私の肩に頭を委ねてくる彼女が愛しい。

もう相思相愛と言っていいよね?

彼女から″言葉″は言われてないけど、自信を持っていいよね?

「大丈夫?」

「はい、ありがとうございます。」

見上げてくる彼女が可愛くて、つい額に唇を落としてしまう。

すぐに真っ赤になるね。

「レオン様!」

上目遣いで睨んでくるのは、逆効果だからね。

煽っているようにしか見えないから。

彼女の髪を撫でながら、暖をとるのに抱き寄せる。

身体が冷えている。

寒い冬に外にいなければならないほど、校舎の中は居心地が悪いということだ。

授業開始前のベルがなったから彼女を立たせて教室まで送る。

回りから何か言いたげな視線を感じるが無視する。

()()()()()()()()

これが事実で真実だ。

それを分かろうとしない者が多いのが残念だ。

「シャル、また後で。」

彼女が無事席についたのを見届けてから、私も自分の教室に向かう。

席について考える。

昨日、私たちが講堂から去ってから、神殿から新しく来た神官、エマコトオ司祭が呟いたそうだ。

『ここまで神殿を虚仮にされると。』

()()神殿を虚仮にしているのかは言わなかったらしいけどね。

だが、この言葉で学園での彼女の立場がますます悪くなった。

学園(ここ)では誰も私を悪く言えない。

悪意は立場の弱い者へ向かう。

乙女ゲームのヒロイン、元シャリーブロン子爵令嬢のスマラタなら今の状態について何か知っているかもしれない。

乙女ゲームの影響を恐れて十分な聞き取りが行われなかったからね。

まあ、単純に乙女ゲーム通りに動いていたことを認めたくなくて、議会がさせなかったというのが真実かな。

無駄な自尊心だけ高いから。

スマラタもゲームがエンドになるまでは強制力が働くらしく、しどろもどろでしか話すことが出来なかったけど。

個人的に聞き取りはしたが、ゲームの終了は私の卒業だった。

その間のイベントは、悪役令嬢から虐げられることがメインでこんな国政に関わるような出来事はなかったと言っていた。

作られる予定(作られていた?)のゲームのほうか?

スマラタに話を聞きに行きたいが、辺境の修道院に送られた。

すぐに行って帰ってくるわけにいかない。

早馬で駆けても往復で十日はかかるだろう。

こんな状況で彼女を残して行くことは出来ない。

だか、彼女をそんな強行な旅に連れていけない。

情報は少しでも多いほうがいいが、今回は諦めるしかない。

キャスター・ユインスキーが、私の前に来ると封書を置いて、脱兎のごとく去っていく。

彼もいい加減疲れないのかな?

私は人食い鬼ではないよ。目の前にいても君を食べないよ。

それに食べたいのは、決まっているからね。

封書を開ける。

この前頼んだ宝飾の見積りだ。中にまだ入っているが、それは今は開けられない。

「キャスター・ユインスキー。これで頼む。」

ビクッと肩を揺らして、コクコクと首肯く様子は私が苛めているようにみえるじゃないか。

一度しっかり話さないといけないね。

私は、学園内にある私用の部屋に来ると、封書から残りの紙を取り出す。

キャスター・ユインスキーの婚約者は、とても優秀な者のようだ。

彼女の側近となり彼女を支えて欲しいと思えるくらい。

昨日のことが書かれていた。

エマコトオ司祭は、まずポンデ教司を問いただしていたそうだ。

何故、息子神の力が手に残っているのか?

何故、聖女の手に宿る娘神の力を手に持っているのか?

ポンデ教司は、アタフタしていて答えられなかった。

聖女に娘神の力を手に戻すように言ったが、マリークライスは怯えた表情でそれをしようとしなかった。

そうこうしているうちにポンデ教司の掌にあった炎は消えた。

それと同時にマリークライスが倒れた。

騒ぎになり、エマコトオ司祭の質問に答えられる者はいなかった。

そこでエマコトオ司祭は、件のセリフを吐いた。

『ここまで神殿を虚仮にされると。』

この流れでいくとこのセリフが、誰に向かって放たれたものかは分かるだろう。

誰かが、ボソッと言った。

私が出した氷も炎もマリークライスが預けていたものだったら良かったのに、と。

何処をどう見ればそんな風に考えられるのか、頭の中を疑ってしまう。

だが、それが形を変えて学園内に広がりつつあると書いてあった。

そういえば・・・。

彼女から、"言葉"を貰っていない。

私は愛の言葉を彼女に捧げているけれど。

ねぇ、唇を許してくれたのだから、

そう、抱きしめても逃げなくなっているのだから、

うん、通じ合っていると思っていいよね?

違っていても逃がさないけど。

絆されてでもいいい。

仕方なくでもいい。

彼女からの言葉が欲しい。

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