表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

エピローグ

最終話です。あっ、見てわかるって?ああ。そっかエピローグって書いてあるしね。やるなお前!!笑

それは青い。

そして今日もまた青く、どこまでも続いている。

鳥が飛んでいて風が吹いている。

何も変わらない。

空の果て。

僕はその空を眺めながら寝転がっていた。

今いる場所は学校の屋上である。

僕は久しぶりに授業を抜け出てここにいる。

普通の学生の生活。

穏やか風に満たされた、作られた日常。

僕はその中にいる。

その空の下で風に包まれている。

嘘ではない。


しかし、つい一週間くらい前におかしなことに巻き込まれていた。

しかし、事件も無事に終わり、今にいたる。


「ん……………?」

すると急に僕をかぶさるような影ができた。

「ちぃす、白澤。」

影を作った人物が僕の名を呼んだ。

「深雪か…………。」

僕は彼女の名を呼び返した。

「めずらしいね。さぼり?」

「いや、休憩。」

「ん?今って休み時間だっけ?」

「いいんや。」

僕は寝そべったまま首を振った。

「だよね。なら授業中じゃん。」

「うん。」

今度は首をうん、うんと二回縦に振る。

「ならさぼりじゃん!」

「いや。休憩。僕は授業をできるなら受けたいけど体がだるいし、保健室に行きたいけど人が多いしからね。」

僕は笑顔でいった。

「うわぁ………屁理屈ね。」

確かに…………。

ごもっともだ。

「そういやさ!」

すると、嬉しそうな顔で深雪は話題を振ろうとしてくる。

対して。

「ごめん。君の話は聞いてられない。」

僕は嫌な顔でこたえる。

「なんでよ!」

「嫌な予感がするから」

そう言った。

すると、殴られた。

だってあの笑顔はかわいいのだけど逆に恐いだから仕方ないじゃないか。

「どういう意味で言っているのかしらね?白澤くん……………。」

笑顔で深雪は言った。

いや、殴る前に理由を聞くだろうに。

順番が逆じゃないか?

しかし、僕は笑顔の裏の燃え立つ何かを感じて身を縮めた。

「……………。えっと…………。どうぞお話ください。」

「あら、そう?」

「………………。」

何で僕が下手に出ないといけないのか。

不満を抱いたが、まあ……………仕方がない。

「ねえ、この前の事件のことなんだけど」

「ん、それがどうかしたか?」

少々意外な話題に僕は驚いた。

深雪のことだから

「新婚旅行はやっぱりヨーロッパよね」や

「結婚式は協会よりもお城がいい」とか言いだすものばかりと考えていた。

それに、あの先週に起きた三日ばかりの出来事はあれから一度も話題として触れていなかった。

おそらく深雪も僕も話題として話したくなかったのだろう。

だから、先週の出来事は忘れられたもののように記憶の片隅に入れてある。

それを今更話題にしようとしているのを不思議と思った。

「えっとね。そうじゃないのよ。」

「何が?」

「先週の出来事の話しなんだけど、先週の出来事の内容じゃあないみたいな………………。」

何を伝えたいのか、よく判らない。

しかし、どうやら深雪の様子もおかしい。

なんだか白く綺麗な顔が薄紅色の林檎の様になってきた。

「ま…………いいから話せよ。」

「うん。あのね…………。えっと、キリナちゃんが死んだ日のことは覚えているよね。」

この時点で深雪の様子は変であるのはわかった。

いつもの強きな口調では無くなっている。

嫌々ながら、僕は言われたとおりにキリナの死んだ日を思い出した。

「………………。」

うん。

確かに記憶にはなんとか残っているようだ。

僕的には、あまり思い出したくないが。

僕は

「ああ」と短く答えた。

「えっと…………それでね。キリナちゃんが死ぬ前、つまり戦う前の出来事なんだけど…………。」

深雪は恥ずかしそうに話す。

僕は何がいったい恥ずかしいのか判らない。

なので、過去を回想してみた。

何宮優氏に殺されかけて、なんとか傷を負いながらも殺して、それで………………。

ああ………………。

なるほど。

彼女が言いたいのはこれか。

「愛しているって言ったよね。」

「………………。」

僕は冷や汗をかいた。

このプレッシャーは何宮優氏の時よりも数倍強い。

彼女からオーラが感じられる。

殺られる!?

僕は恐る恐ると首を振った。

「キスしたよね。」

「………………。」

でもあれはね。

ほら、場面上の勢いというか。

物語を台本どおりにすすめていったらキスシーンはあるでしょう?

仕方がないんだよ。

声に出ない抗議の声を訴える。

ま、声で出してないから意味はない。

「舌いれたよね。」

「!?」

僕は驚く。

何故なら記憶に無いからだ。

「入れてません!!」

もちろん、これには猛絶反論。

「手で胸を揉んでなかったけ?」

「どこの空想話なんだ?それは?」

もちろん、そんなことはしてない。

けど、キスをしたのは事実。

「えっと…………。あれは仕方ないじゃん。だから無効ってことで」

もう、メチャクチャ下手にでて媚を売るような口調でいった。

「へえー。そんなことを言うのか?誰のおかげで傷を癒すことが出来たんだっけ?」

わざとの様に挑発的に言う深雪。

ま、結果としては深雪のお陰もある。

でも………………。

「とにかく、過ぎたことはもう忘れよう!」

「無理。だってファーストキスだったし」

速答で帰ってきたのは爆弾にリボンを綺麗に巻いたようなものだった。

「………………。」

「女のファーストキスは海の底よりも深くて地球よりも重いのよ。」

そんな馬鹿なっ!!

よりによってファーストキスだと?

いや、これは嘘だ。

僕は魔女に嘘を言われているのだ。

しっかりしろ白澤朝奈!

僕は洗脳を自らの洗脳で解き放つ。

「それに私の家計では初めて口付けをした人を婿、または夫とする掟があるのよ」

いやいや、なんだ?

そんな古風的な風流を持つ家計は!?

てか、あからさまに嘘をつくな!

「くっ!……………で、お前は僕に何が言いたいんだ!?」

「決まっているじゃない。私の欲しいのは、この世で一つよ!し・ら・さ・わ・あ・さ・なよ!!」

フルネームで呼ばれた。

一文字、一文字をフォルテッシモで。

「………………。」

僕は長考する。

「ねっ、白澤。」

深雪の髪が風になびく。

さらさらした髪が心地よく流れる。

思わず、ぐっと来てしまいそうである。

「白澤…………。」

甘えた口調で喋りかけてくる。

思わず、ぐっと来てしまいそうである。

「………………。はあ………………。」

どうやら今回ばかりは負けてしまった。

ぐっと、来てしまったのだ。

我ながらになんとも情けない。

こんな変態で変人を一瞬足りと、好きになってしまったようだ。

「仕方ない。しばらく、付き合うだけだぞ。」

僕はそう言った。

対して……………。

「えへへっ!白澤討ち取ったり!!」

満面の笑みで嬉しがる深雪。

まったく、洒落にならない。

本当に討ち取られた気分だ。

「よし!次の目標は寝取ることね。」

ちゃっかり次の目標を立てやがった。

これでは、うかうかと昼寝も出来やしないではないか。

「はあ……………。」

僕は溜息をついた。

「ところで、白澤。」

「なんだ?」

「このアングルだと、さっきら見えているでしょ?さっきら反応してないけど、もしかして、ずっと見ときたいかな?」

そう……………。

さっきら、ずっと言うか言わまいかと迷っていた。

このアングル。

僕が仰向けで寝ていて、顔元で深雪が立っている状態。

実際に彼女のスカートの中は丸見えだった。

「………………。」

無言で起き上がった。

「あれ?見たいなら、まだ見ていてもいいのに?なんなら触ってみても…………………」

深雪がなんか言っているが無視した。

そして屋上のフェンスに手をかけて空を見上げる。


ああ………………。

大変だな。

僕は青空の下に立っている。

これは偽りではない。

僕はここにいる。

偽りではない。

僕は深雪が好きなんだ。

これは偽りではない…………………とは言いきれない。

偽りのような綺麗な空。

そして、それはどこまでも続いている。

赤色の世界は虚言の世界である。

赤色の空の下は偽りの世界である。

赤色の空の果ては……………………。


嘘無き世界。


……………実際は、そんなものは無いのかもしれない。

僕は嘘をついていきている。

でも実際は嘘無き青空の世界を望んでいるのかもしれない。

………………。

ま、それも嘘かもしれないがね。



僕は深雪の手をそっと握ってみたのだった。

いつもの僕ではまずしないような行動。

これは夢なんだ。


嘘のような奇跡のよいな夢のような偶然のような……………………嘘のよう……な。


真実である。


「ねっ、白澤?結婚しようか?」

「断る。…………。」

はい。これにて『赤色の空の果て』は終了!!長い話でした。毎日、学校から帰って書きました。大変だったかも。ま、終わりよければすべてよし!?かな?とにかく呼んでくれた人たち感謝です。今後も次回作を書くので是非呼んでくれたらうれしいです。山中松竹の『赤色の空の果て』でした。         漢

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ