5話 計画は念入りに
時は少し遡り、冒険者ギルド本部にて。
レベルⅤのダンジョン攻略後、俺は激痛に苛まれる身体を無理矢理動かしながら俺を裏切ったクソ野郎共に復讐する為の根回しを行う為に密かに動き出していた。
そして現在、俺はとある人物と共に冒険者ギルド本部へと赴いていた。
俺の正面には、女性が2人。
一人は、銀髪のロングヘアに凛々しい顔立ち。
冒険者ギルドの印が入ったスーツとミニスカートに黒タイツ。
彼女は、この帝国に多く存在する冒険者ギルドを纏めるギルド長メトーデ。
そんな大物をこの場に呼べたのは他でもない、師匠の名があってこそだろう。
彼女は、かつて師匠と同じ冒険師団のメンバーだったEXランクの化け物だ。
まぁ、そんな立場の人間が胸元を大きく開けているのはどうかと思うが。
そして、その隣に座っているのは茶髪に丸メガネが良く似合いギルド長とは対照的にスーツをビッシリと着た女性。
彼女の名は、リリアーナと言い俺が裏切られた『希望の灯火』の専属受付嬢だ。
隣のギルド長とは打って変わって、その表情は酷く強張りこの場から早く逃げ出したいという気持ちが嫌と言うほどに伝わる。
無理もないだろう。
さらに、俺の隣に居るのも大物。
肩辺りまで伸ばされた赤髪、何処までも冷酷な瞳。顔や胸元には痛々しい傷痕が残っている。
豊満な身体にワンピース型の軍服に黒タイツ。
彼女の名はアルレッキーノ・アルカポネ。
この帝国、いや他国でも強大な組織力を持つ最恐最悪の指定暴力団モレヴッチ・ファミリアの大幹部兼アルカポネ組の首領。
帝国でモレヴッチ・ファミリアに次いで有名な暴力団と言っても過言ではない。
「まさか、貴殿までこの場に現れるとは思いもしなかったよ。」
ギルド長である、メトーデがそう言って俺の隣に座るアルレッキーノに目を向ける。
その目には、明確な敵意が含まれていた。
無理もない、冒険者ギルドが正義の立場だとするのなら暴力団は間違いなく悪の立場に立つもの。
理由はそれだけではないが、今は語る必要もない。
「私とてこんな騒々しい子供の遊戯場に自ら脚を運ぶほど暇ではない。」
「遊戯場、それはこの冒険者ギルドを揶揄しているのかな?まぁ君には、泥生臭いゴミ捨て場に居る方がお似合いだろうからな。」
「ほうそれは面白い表現だ。どうやら、貴様は死にたいらしいな。」
「貴様こそ、今ここで跡形も無く消し去ってやろうか。」
化け物同士による、凄まじい殺気が衝突し合う。
そんな異様な状況に、リリアーナは既に放心状態で萎縮した猫の様に縮んでいる。
これ以上、この二人を野放しにした不味いと思った俺は口を開く。
「さぁ、旧友との再会を喜ぶ時間はそれまでにして欲しい。そろそろ、本題に入りたいんだが良いか?」
「ああ、そうだったな。」
「私の記憶では、君はレベルⅤの大穴で死亡したと報告が上がっていたのだが…はて、今私が目にしているフェル・アルゴメリアは偽物かな?」
「いいや違うぜギルド長、今あんたの前に座っている男は確かにあの大英雄の弟子フェル・アルゴメリアだぜ。ああ、でも自分を偽る事はやめたのさ。」
そう、もう俺は俺の実力を偽る事はやめた。
リスクを恐れ、己の能力を隠蔽した。だからこそ、舐められた。
冒険者は、舐められては生きていけない。
誰よりも誇り高くなくてはならない。
「そうか…やはり貴様はあの女の弟子だな。初めて会った時と同じ目をしている。
それでは改めて聞こう、何があった?」
俺は、彼女達にあの日ーーレベルⅤの大穴で何が起きたのかを一言一句、違える事なく全てを話す。
レベルⅤのボス、デッドワイバーンと遭遇しメンバーの治癒士アリアが重傷を負い意識不明となった。
このままでは、彼女の命と自分達の命が危ないと悟ったリーダーの剣士アルトがその剣で俺の背中を斬り付け、更には戦士ラーズが俺の腹を何度も蹴り上げデッドワイバーンの囮にし、自分達は冒険者学校の卒業生に与えられた魔導具『転移結晶』を使用して大穴を去っていった。
その後、俺はこれまで隠し続けていた魔眼の全能力を解放しデッドワイバーンを討ち取り帰還した。
そして、自分を裏切った希望の灯火メンバーへの報復をする為の布石を打つ為にやって来た。
「ーーと言う訳さ。」
真実を知った3人には、驚愕の表情が見てとれた。
リリアーナに至っては、「そ、そんな…」という風に顔が青ざめ今にも倒れそうになっていた。
無理もない、自分が担当していた冒険者達が冒険者にとって絶対に犯してはならないタブーを犯してしまったのだから。
冒険者のルールとして、冒険者パーティー内の裏切り行為は例えどのような理由があったとしても行ってはならない。
裏切り行為と判断するに至る材料が判明した場合、冒険者ギルドより厳しい処罰の対象となる。
これらの裏切り行為は基本的にこうして発覚する確率は非常に少ない。
何故なら、裏切られた者の殆どが裏切った者に殺される或いは殺された後に大穴内に捨てら魔物達の餌となり骨も残らずに消えてしまう。
そうなった場合、確実な証拠が無いので数週間の謹慎などという軽い罰で済んでしまう。
だが、今回は違う。
裏切り行為を受けた張本人がこの場に現れたのだ。
「ふむ、もし仮にそれが本当の話であれば只事で済む話ではないな。
もし、本当であるのならな。」
来た、これこそがこの告発の不安定要素。
例え、裏切られた本人がその場で起きた事を告発したとしても物的証拠などと言った根拠が無ければ大抵は水に流される。
普通ならな…たが、俺には揺るがない証拠をこの手に残している。
「ああ、あるぜとっておきの証拠がな!」
「ほう、ではそれを見せて貰おうか。」
「一つだけ、これから俺がやる事はまだ他言しないで欲しい。」
「約束しよう。」
確証が得られた。
俺は、魔眼を開眼する。
その色はーー蒼。
その力は、【傲慢の魔眼】そして権能『盗映』を発動する。
すると、俺達の中心に大きな映像が映し出される。
そこに映っている人物は、5人。
紛れもない『希望の灯火』の面々だ。
それから暫くして映像が進み遂にその時が訪れる。
俺がアルトに背を向けた瞬間ーーアルトの顔が歪み、俺の背中を思いっきり斬り裂いた。
そして最後に、ラーズが俺の腹を蹴り上げ挙げ句の果てには、俺を陥れる様な言葉を吐き捨ててそのまま転移結晶で消えていった。
そこで映像は終了した。
「ギルド長…」
「これは紛れもない裏切り行為だな。それもかなり悪質だ…認めよう。
それで?君は私にどうして欲しいのかな?」
「俺はこれから、俺を陥れた奴らに報復する。そこに同情も躊躇いもない、俺は裏切り者には容赦しない。」
そう容赦しない、俺を舐めた奴は許さない。
「君には同情するが…彼等は冒険者だ。そして私は、その彼らを纏めるギルド長。」
「ああ。」
「私には全ての冒険者を管理し、そして守る役目がある…つまりだ。
私が黙って、これから行われる凄惨な復讐を黙って見過ごすとでも?」
「ーーッ」
強烈な悪寒が全身を駆け巡る。
身体中から冷や汗が流れる…息が張り詰めそうな程に鋭い殺気。
まるで全身に刃物を突き付けられているような…流石は、EXランクの元英雄。
だが、ここで引けばそれこそ俺は臆病者の腰抜けで終わる。
そしてこの復讐劇は俺が頂点に登り詰める為に絶対に必要な儀式だ。
「まぁ君ならこうなる事が分かっていたんだろ?それで、私にどうして欲しい?」
「俺の要求はただ一つ。奴らの冒険者資格の剥奪それだけだ。」
「!」
「フッ。」
その一言に、メトーデの目の色が変わる。
「奴らが冒険者としての資格を失えば、冒険者と冒険者ギルドとは無縁の人間になる。
そうすれば、アンタらはもう干渉する事はないし出来ない。そして、俺は何の気兼ねなく奴らに復讐する事が出来るって事さ。」
流石に、今の俺が冒険者ギルドを敵に回せば命はない。
そもそも、敵に回すつもりもないしな。
だからこそ、今回の条件は俺以外の希望の灯火メンバーの冒険者資格を剥奪させ、ただの一般人となった奴らに復讐する。までがプロセスだ。
なんとしても、この条件を満たす必要がある。
「断る。」
「当然だな?だから、一つ賭けをしないか?」
「賭け?」
「ああ、俺の予想なら奴らは明日の朝…この帝国を去り、他国に亡命する。」
「その根拠とは。」
「ない。」
今は、な。
「だが、俺はそう確信している。そこでだ!もし明日、俺の予想が現実の物となった場合、賭けは俺の勝ち。
その場合、アンタは奴らの冒険者資格剥奪をしろ。」
「もし、私が賭けに勝ったら?」
「俺が負ければ、俺の冒険者資格の剥奪…そして2度と帝国の地に足を踏み入れる事は出来ない。そして、他国で冒険者になる事も禁ずる。ってのはどうだ?」
「ふっ、ふはははははは!面白い!良いだろう、その賭け乗ってやる!」
「なら、契約は成立だな。」
「ああ!」
契約、成立か…俺は安堵の息を漏らす。
死ぬほど緊張した…師匠から聞いていた通りメトーデは人生を賭けた賭事が好きと言うのは本当だった。
これで、肩の荷が降りたな。
「疑問だが、我々を其方に引き入れるという考えは理解出来た。が、なぜ貴様の復讐にアルカポネ組が関わる?」
「簡単な話だ、こう言った非人道的な物事の処理にはその道のプロが必要だろ?」
俺がそう言って見せると、メトーデはなるほどなと納得した様子で笑う。
「フッ、明日…楽しみに待っているぞ。」
「ああ。」
話し合いが終わり、冒険者ギルド本部を離れた。
「今日は助かったよ、感謝する。」
「感謝は要らん。貴様は精々、この私を愉しませてくれれば良い。」
「ああ、俺と居る限りアンタに退屈はさせない。」
思えば、コイツの引き込みも随分と苦労したしな。
ーー
ギルドを訪れる数時間前。
俺が最初に訪れたのは、とある館。
帝都の外れにある比較的に治安が悪いスラム街と言う名にはとてもそぐわない大きな館が聳え立っていた。
貴族や王族が住まうような煌びやかな雰囲気とは違い、空気は乾いている。
何処か殺伐としていて、人一人気配はない。
スラム街の人間なら誰もが強盗に入りそうな館だというのに、此処には誰一人として近付かない。
皆知っているのだ、ここは死地。
遊び心で足を踏み入れれば最後、そこには死よりも恐ろしい恐怖が待っている。
ここは、この帝国内でも皇帝や冒険者ギルドに次ぐ権力を持ち、圧倒的な規模を誇る指定暴力団モレヴッチ・ファミリア大幹部にして派生組織アルカポネ組の根城なのだから。
そして俺は、これから行う復讐の下準備の為にこの場に訪れていた。
館の巨大門に辿り着くと、扉の前には複数の屈強な男女が立ち塞がった。
「止まれ小僧。」
「お前、ここが何処だか分かってるのか?」
「ああ、アンタらのボスに会いに来た。」
俺がそう言うと、護衛と思われる構成員達の威圧感と殺気がより一層強く跳ね上がって来る。
流石と言うべきか…俺を含めた希望の灯火メンバーで立ち向かおうとしても返り討ちに遭ってしまうな。
「今なら見逃してやる。とっとと消えろ。」
「断る。雑魚に用はない。早くお前らのボスと会わせろ、それが無理ならアンタらの飼い主に仇敵の弟子が会いに来てやったと伝えろ。」
「おい。」
「は!」
俺が生半可な覚悟でこの場に来たのではないと理解した構成員の男が他の構成員に指示を出した。
その数分後ーー俺はようやくアルカポネ組の敷居を跨ぐことを許された。
巨大な門を潜り、館の中に入る。
正面の大きく長い階段を登り終え、そのすぐ正面にある首領室へと通された。
構成員の一人が、その扉を開く。
中で待ち構えて居たのは、3人の男女。
一人は、2メートルを超える長身の男。
黒のサングラスに全身を黒スーツで統一。筋骨隆々の身体。
椅子に腰を掛ける女の左側に控え、此方を見据えている。
一人は、女性。
紫色の髪を腰辺りまで伸ばし、男と同じように黒のサングラスと黒のスーツを見事に着こなし。
容姿は端麗。彼女は女の右側に控え此方の様子をじっくりと伺っている。
そして…
肩辺りまで伸ばされた赤髪、何処までも冷酷な瞳。顔や胸元には痛々しい傷痕が残っている。
豊満な身体にワンピース型の軍服に黒タイツ。
そして、その妖艶な脚を組み椅子に腰を掛ける女こそアルカポネ組の首領・アルレッキーノ・アルカポネ。
「ようこそ、フェル・アルゴメリア。そして、何しに此処へやって来た?」
ガラリと空気が変わる。
気が付いた時には、四方八方から構成員が構えた魔銃の銃口が全て俺に向けられていた。
これは脅しじゃない、少しでも選択肢を違えればあの引き金は弾かれ俺は蜂の巣になるだろう。
「おいおい、いきなりそんな危ない武器を俺に向けるなよ…なぁ?」
桃色に煌めく瞳がその力を解放した時ーー俺に銃口を向けていた構成員達の様子が打って変わり、何かに操られているかの様に自分の意思とは関係なく自分の頭にその銃口を押し付ける。
「貴様、何をした。」
アルレッキーノの側に控えていた大男が、その重たい口を開く。
「おっと、動くなよ?アンタが妙な動きを見せれば、すぐにコイツらを殺す。」
「我々に勝てるとでも?」
「無理だな、だが…出来る限り多くの構成員を道連れにして死んでやるよ。ほら、どうした殺してみろよ!」
「ふぅぅ…お前達、銃を降ろしな。」
「ですが…「2度も言わせるな。銃を下せ。」
ドスの効いた低い声で、彼女は警告する。
俺もまた、魔眼の力を解除して彼等を解放する。
「で、何しに此処へ来た?生憎、私は貴様に構ってやるほど暇じゃ無い。
つまらない話しであれば、すぐに殺すぞ。」
「簡単な話さ、俺の復讐に協力しろ。」
「下らん、帰れ。」
「これはアンタにとって悪い話でもないぜ?」
その一言に、退屈そうな彼女の瞳に僅かな興味の色が映る。
「アンタ、長持ちする豚奴隷が足りないって言ってたよな?俺さ、アンタが気に入る様な良い奴隷を知ってるんだ。」
「ほう?」
「俺はこれから、希望の灯火メンバーに復讐する。これから俺がやる事は非人道的な方法だ。
この復讐が露呈すれば俺は間違いなく、多くの人間を敵に回すだろう。
そうなった時、俺一人でその全てに対処するなんて無理だ、だから強力な後ろ盾が必要なんだ。」
「それで我々が君の後ろ盾になれと?」
「ああ、それに今の内に俺と言う男に取り入っていた方がアンタらにとって利益になると思うぜ?」
「その根拠は?」
アルレッキーノは、この状況を楽しんでいるが他の構成員達はもう既に怒りが頂点に達している。
無理もない、ただの一介の冒険者風情が自分達の絶対なる頂点に何の敬意もなく取り入ろうとしてるんだからな。
俺だって、そんな舐めた奴が居たら間違いなくぶっ殺している。
「俺はいずれ、すべての冒険者の頂点に立つ男だ。そんな未来の英雄の頂点たる俺に取り入ればアンタもまた、全てのマフィアの頂点に立つ事が出来る。」
「……」
「知ってるぜ?アンタ。モレヴッチ・ファミリアの後継者争いで数多のマフィアと揉めてるんだろ?噂に寄れば、最近…モレヴッチ・ファミリア首領コロンビーナ・モレヴイッチの親族、妹の息子が後継者争い筆頭候補に躍り出たってな!しかも、その男はその首領の甥と言う立場を利用してやりたい放題らしいじゃねぇか?違法の人身売買、不正の薬取引、堅気への悪質な略奪行為?他にも数え切れないほど知ってるぜ?」
これは、俺が懇意にしている凄腕の情報屋から取り入れた情報だ。
聞いた時は、流石の俺でも引いたぜ。
モレヴイッチ・ファミリアは、確かに凶悪で正義とは真反対の方向に居る組織だがコロンビーナ・モレヴイッチは優れた人格者である。
それ故に、今回次々にその名を汚すような行為を繰り返すクズが次期後継者筆頭となっている事をよく思っておらず後継者に名を連ねる大幹部及び他のマフィア達はどうにかして蹴り落とそうと動き出している。
それは、ここに居るアルレッキーノも例外ではない。
むしろ、此度の件で一番怒りを露わにしているのが彼女だ。
だから、俺はそこに漬け込む。
「そんな仁義に外れた行為を、【闇夜の支配者】を執心するアンタが許すはずがないよな?アンタは今すぐにでも、奴を潰して彼女の忠犬で有り続けたいと願っている!違うか?」
「それで?」
「だが、アレは腐っても彼女の親族に当たる人物。そして、お前達はモレヴイッチ・ファミリアの盃を交わした家族だ。簡単に手出しは出来ない、そんな事をすれば本家を裏切ったと同義。アンタは2度と、愛してやまない飼い主様の側に居られなくなる事は愚か、始末されるだろう。」
「…それと、お前がどう関係する?」
こんなにも死を覚悟する問答をするのは初めてだな。
喉元に刃物を突き付けられている感覚、少しでも選択肢を間違えれば殺される。
「俺がそのキッカケを作ってやると言ったらどうする?」
「……」
「アンタが手出し出来ない代わりに、俺が奴を筆頭候補から外す手伝いをしてやるんだよ。
その方法は、アンタがこの俺に協力するって約束するなら教えてやっても良い。」
「強情な奴だな。」
「アンタ程じゃないさ。」
「それでも断ると言ったら?」
「いいや、アンタはこの提案を呑むだろう。いや、呑まざる得ない。
でなければ、手遅れになっちまうからな…さぁ、どうする?
俺と手を組むか…それとも、ここで殺し合うか。」
俺は、彼女の目をジッと見る。
身体中から冷や汗が流れる。
彼女の、冷酷な瞳が俺を見据える。
そして…
「フッ、フハハハハハ!面白い!やはり貴様はこの私が見込んだ通りの人間らしい。」
豪快に笑い飛ばしながら、灰皿に吸っていた煙草を置くと彼女は立ち上がり俺の方へ近づく。
そして、俺の顎に指を添え自分の顔の近くまで俺の顔を近付けると…不適な笑みを浮かべる。
その微笑みは、何処か無邪気でそれでいて妖艶でもあった。
「良かろう、このアルレッキーノ・アルカポネはお前の提案を受け入れよう。
これからは、この私とアルカポネ組がお前の後ろ盾となってやる。
だが…貴様に利用価値が無くなったと判断した時、お前の命はこの私の好きにさせて貰う。」
「ああ、構わない。アンタを退屈はさせないぜ。」
「その言葉、努努忘れる事は許さんぞ。」
契約は成立した。
これで一つ、俺の覇道への計画が進んだ。
これは簡単に言えば、悪魔との契約に等しい。
俺は常に彼女に、利益を与え続けなければならない…今はな。
だがまだ、気を抜いてはならない。
次の目的地は、冒険者ギルドだ。
それにしても、アルレッキーノ…良い女だな。
色欲の瞳が疼いて止まない…いつか、彼女を俺のモノにしてやる。
師匠は言っていた、手に入れたい女はどんな手段を持ってでも自分のモノにしろと。
さてと…待ってろよ。
お前達の破滅はすぐそこだ。
この俺を舐めた事、後悔させてやる。
人物紹介
メトーデ・サンダルフォン (29)
性別:女
種族:人族
身長:176cm
性格:冷静、真面目
職能:不明
職能ランク:EXランク
総合能力:測定不可(EXランク)
《概要》帝国に数多く存在する冒険者ギルドの全てを統括するギルド長。
かつて『雷霆の魔女』と呼ばれたEXランクの冒険者として活躍していた大英雄。
実力は勿論、彼女は人材育成などの能力にも優れており引退後はその功績を見込まれ冒険者ギルド長の位を譲り受けた。
アルレッキーノ・アルカポネ (28)
性別:女
種族:人族
身長:195cm
性格:冷酷
職能:銃神
ランク:EXランク
総合能力:測定不能(EXランク)
《概要》帝国に於いて、あらゆる犯罪組織を取り仕切る指定暴力団の頂点に君臨する【世界最悪の殺戮集団】《モレヴッチ・ファミリア》の大幹部にして派生組織アルカポネ組を取り仕切る首領。
元々は軍人であり顔や身体に残る数多の傷は、その時に出来た物。
その後は、軍人を辞め路頭に迷っていた時にモレヴッチ組の現当主に拾われ中世を誓うことにした。
敵対した者には容赦なく、まるで血に飢えた凶犬の様に全てを残虐するその様から【血塗れの凶剣】《マッドサーベラス》と呼ばれ裏社会や冒険者達の間では恐れられている。
好きな異性のタイプは、自分を愉しませてくれる人間。
裏設定:これまで、戦いに明け暮れていた事や自身の性格から一度も異性との交際経験は無く婚期を逃し焦っている。




