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パタつかせてペン生~異世界ペンギンの軌跡~  作者: あげいんすと
第二章 ペンずる者は掬われる
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パタつかせて腹減り

お待たせしました。二章スタートです。

 

 拝啓、限りなく遠い世界の両親へ。


 元気でやっているだろうか。


 俺の死をどう思ってくれているだろうか。


 伝えられるなら、伝えたい。


 俺は元気だと。新しい生活を頑張っていると。伝えたい。



「くっ、この気配は……まさか、奴が復活するというのか!?」


「ふははー、えっと、ふははー!! そのとおりだー!! おそかったなー!!」



 前世とは何もかもが違う場所だけど、俺は(おおむ)ね元気だと思います。



「何という事だ。このままでは世界が滅びてしまう。いったいどうすればいいんだ……」


「ぜつぼーしろ!! おまえたちにはそれがおにあいだー!! ねぇ、メア。ぜつぼーってなんだっけ?」


「凄く辛いって事。くっ、だが私は諦めない。これまで出会ってきた仲間の為に、平和を望む皆の為に……剣にかけて誓おう!!」



 こちらの世界は、何もかもが初めてのことばかりですが、前世で父さんや母さん、短いウン十年から学んだ事を活かしていきたいと思います。



「はたして、その……メア、なんだっけ?」


「まったく……果たして、その強がりがいつまで保つか。楽しみだな!! 来るなら来い!! 復活せし禁断の存在……ペンギン王ソラよ!!」


 あぁ、結局二役やるのね。



 父さん、母さん。


 そういえば俺、ペンギンになりました。


 今、姉と兄と遊んでます。ふたりは、ひよこです。意味が判らないよね。俺も時々わからない。



「……ソラ。出番だぞ」


「あぁ、悪い。えっと、我が名はペンギン王ソラ。がおー、食べちゃうぞー」


「もっとやる気を出せ!! ジョニー、今度は私の味方役だ!!」


「えー、もうやだつまんないー」


「頼む、もう少しだけ、あと少しでいいんだ……!!」


「ジョニー、しょうがない。遊んでやろうぜ? お兄ちゃんだからさ」


「うん、ジョニーはおにいちゃんだからね!!おっけー!!」


「ふたりともありがとう……!! 大魔王ソラ!! お前に私の必殺魔法をお見舞いしてやる!! 名付けて、【†死の代償(クロス オーバー)†】!!」



 おい、剣に誓った矢先に必殺魔法ってなんだよ。あとクロス オーバーって何? 絶対意訳ってレベルじゃないよな。



「説明しよう!!」


「あ、お願いします」


ナレーションまでするんですね。お忙しいこと。


「【†死の代償(クロス オーバー)†】とは、味方の命と引き換えに相手を殺す。永遠不変の愛が産んだ勇者の必殺魔法なのだっ!!」


「おかしい、メアリー待って、色々おかしい」


「黙れ、私はメアリーではない。前勇者と前魔王を親に持つ絶対存在を前世に持つ女子高生の魂を持った選ばれし存在……!!」



 どこから突っ込んでいいのか判らないよ。ジョニー、寝ないでくれ。俺も非常に面倒なんだから。つか寝て良い? 天気もいいんだし。



「というわけでくたばれペンギン王!! 【†死の代償(クロス オーバー)†】!!」


「うわー、やーらーれーたー」


必殺魔法?いやぁ、強かった。俺も抵抗したけど流石勇者と魔王がせっせとこさえただけあるわー。おかげで茶番も終了(ハッピーエンドだ。



「やったか!? いや、これは……変身だと……!?」



 勘弁してください。ガチで。



 ◇ ◇



「なんだ、ふたりしてつまらないって……ここから凄い展開になるというのに――」


「あー、腹減ったー」


 適当な所で小芝居を終わらせると、腹時計が体感的に昼食を告げる。


 ……が、しかし。ママ鳥は不在でミルキーワームは在庫切れ。いつもならそろそろ帰ってくる頃なんだけどな。



「ソラ、おなかすいた?」


「あぁ、ジョニーも腹減ったろ?」


「うん、はらぺこ……」



 いつもよりというか、ある意味いつものようにトーンダウンしているジョニーの頭をぽふぽふと撫でながら、いつもママ鳥が帰ってくる方角を眺める。あの雲とか旨そうな形だな……



「なんだ。お腹が空いたのか、ふたりとも。お腹が空いたのか?ううん?」


「ごめんメアリー。お前に構う体力もないんだ」



 うざったいくらいにぴよぴよと視界をうろつくメアリーに溜め息を吐いて、ごろりとうつ伏せに寝る。いっそ寝るのもありか。



「やれやれ、仕方ない弟達だな。本当に仕方ない。そこで、私が餌を取ってやろうじゃないか」


「メア、できるのっ!?」



 少なくともメアリーが餌を取った所を一度も見たことのない俺はさておき、単じゅ……素直なジョニーは驚いて目を見張る。おいおい、そんな反応をしたら――



「任せてもらおうか。ただし、ご飯の後にまた私に付き合ってもら――」


「ソラ、ママおそいねー」



 本当だね。キミは本当にいい子に育ってるよジョニー。余程つまらなかったんだな。



「くっ、わかった。まずは昼食、交渉はそれからだ」


「というか、餌取れるのかよ」


「愚問だな」



 そもそもの問題を指摘するとメアリーは、ぴよっと鼻を鳴らす。かわいい鼻息だけどなんか腹立つ。そして、明後日の方向にクチバシを向けて身体を揺らし始めた。



「この辺りだな」



 いったい何を。それを言うより早く、頭ごと振りかぶってメアリーのクチバシが巣に突き刺さる。


 大方、ミルキーワームを掘るママ鳥の真似事だろう。なんでか百発百中で掘り当てるなんてママ鳥が凄いのだ。メアリーなんかに出来る訳が――



「お……」


「うん?」



 クチバシを突き刺したままの状態で何かを察知したのか。メアリーは右に左に頭を振ってみせる。さながら大物を釣りあげようとする釣り人の如き挙動である。



 すると、徐々にメアリーのクチバシに挟まれた物が姿を現す。



 煌びやかな金で装飾を施された柄。羽ばたく鳥の翼のように広がる鍔。磨き抜かれた鏡のように光る刀身。



「メア。これ、ごはんじゃない。おいしくなさそう」


「ほらな、餌なんか取れないだろ?」


「い、いや、これは練習だ!! 次は上手くやるさ!!」



 抜き出した長剣を、その辺にペいッと吐き出し、再びクチバシをレーダーのように動かす。まったく、いったい何してんだか。



「…………いや、待て。今、相当おかしい事が起きたぞ」


「……うむ、私も普通に考え直したが、どう考えてもおかしいな」



 新事実、ママ鳥の巣からは剣が産出される。


 結局、誰も装備出来ないから突き立てて鏡として利用する事にした。うーん、俺って本当にペンギンなんだな。ぷりちー。

二章タイトルは後程追加します。


 名前:ソラ

 種族:ミニペンギー

 レベル:2


 アビリティ

 【ふわふわボディ】

 【格闘の心得】

 【種】

 【タフネス】

 【滑空】

new【水泳】

new【水中機動】


 スキル

 【逆水平チョップ<T 2nd>】

 【ビーク<T>】

new【水中機動<T>】


 称号

 【神*呪%>◎℃】

 【神の悪戯】

 【凶極鳥の寵愛】

 【ペテンペンギン】

  【チョッパーロード】

  【無謀なペンギン】

new【泳ぐ者】


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