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パタつかせてペン生~異世界ペンギンの軌跡~  作者: あげいんすと
第二章 ペンずる者は掬われる
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パタつかせて遭遇

わびさび更新2話目

 

 グサッ、グイッ。ポイッ。


 メアリー は 金貨 を 掘り出した !!



 グサッ、グイッ。パサッ。


 メアリー は 網タイツ を 掘り出した !!



 グサッ、グイッ。ポイッ。


 メアリー は ドアノブ を 掘り出した !!



 グサッ、グイッ。ドサッ。


 ジョニー は おじいちゃん を 掘り出した !!



 グサッ、グイッ。びたん。びたんびたん。


 メアリー は ミルキーワーム を 掘り出した !!



「おぉぉぉっ!! ようやく出たぁぁぁっ!!」



 歓喜に叫ぶメアリー。しかし直後に死ぬミルキーワーム。いやはや、本当に色んな物が埋まってる巣だな。ドアノブとか網タイツ、果てはおじいちゃんまで。



 …………おい。


「メア!! ソラ!! ごはんみたいなのとれた!!」


「ほほう、ジョニーも取れ、た……か……?」



 歓喜に叫ぶジョニーを見やるメアリーも常軌(じょうき)を逸した光景に硬直する。



「ジョニィィィッ!? 待った!! それは食べ物じゃない!! つつくな、ストップ!!」


「ダメよ、ジョニー!! おじいちゃんが死んじゃう!! ……生きてるよね?」



 ズビシ!! ズビシ!! と、おじいちゃんの頭をつつくジョニーを全力で止める俺達。懸命な静止の声に、ぴよ? とジョニーは首を傾げて止まってくれた。



「タイム!! メアリー、作戦会議!!」


「わ、わかった!! ほら、ジョニーはそこのミルキーワームを食べて待ってて」


「ほんと!?おっけー!!」



 一応は人の知性を持ってるメアリーを呼び立てて、ふたりでおじいちゃんを挟む形で話し合いが始まった。



「ど、どうするの。おじいちゃん。ソラさんが出てきたんですけど」


「落ち着け、頼むから。まずは冷静になるんだ。それと素が出てるぞ」



 目を回す程に動揺しているメアリーを見ている俺も些か冷静さを欠いていたが、むしろ驚きが一周して落ち着く事が出来た。



 うん、どう見ても"人間"のおじいちゃんだ。



 着流し姿で白髪混じりの黒髪、額が赤くなってるけど……人間だ。ジョニーにつつかれたのに頑丈だなこの人。違う違う、重要なのは生死確認、か?



「……脈はあるな。呼吸もしてる」


「生きてる、の……? 巣の中にいたのに……?」


 それな。いや、今は過程を気にしている余裕はない。どうする。この場合、正しい行動は。



 見なかった事にして埋める。


 見なかった事にして巣から捨てる。



 流石に前世と同じ生き物への対応ではない。却下。どうやら俺もまだどこか冷静じゃないらしい。



 ママ鳥はいない。他の鳥もいない。ひよことペンギンとひよこしかいない。いかん、落ち着け。少なくとも救命活動の必要が無い事は確かだ。



「ねぇ、メア。ごはん、もうないの?」


「ちょっと待ってねジョニー。今ちょっと忙しくて……」


「あぁ、すまないが少しの間待ってられるか?」


「……うん」



 渋々と引き下がるジョニーに罪悪感を覚え、その後ろ姿を見つめる。この一件が終わったら目一杯遊んでやろう。そうだな、縄跳びとかして遊んでやろう。



 だから、だから……



「メアリィィッ!! また掘ろうとしてるジョニーを止めてぇぇ!!」


「ジョニィィッ!? 私が遊んであげるからぁぁっ!!」



 阿鼻叫喚、阿鼻叫喚である。


 そんな事をしていたせいか。


 まともな作戦が立たない内に状況が変わった。



「……なんじゃ、ぴよぴよと騒がしいのぉ」


「っ!?」



 突如、むくりと起き上がるおじいちゃんに俺は思わず飛び退く。


ついに、目覚めたか。


なんかさっきのごっこ遊びの焼き増しみたいになったな。


 むにゃむにゃと口を動かし、微睡む目元を擦る。考える時間は、もうない。



「なんじゃ、ここ、は……」


「…………」


 周囲を見回そうとするおじいちゃんの視線と俺の視線が交差する。



 なぜだろうか。どうしてかは判らない。


 いや、俺も大分テンパっていたらしい。



「うん?お前はいったい――」



 巣を滑るように進む足。


 右翼は胸の前。力を込めずに力を溜める。


 前進の勢いまでを利用し、渾身の速度をもって翼を振るう。



「シャァコラッ!!」


「へぶっ!!」



 そう、逆水平チョップである。


 すぺーん!!と音を響かせるクリーンヒット、いっそ清々しいまでのクリーンヒットである。


 上体を起こしたおじいちゃんの胸に吸い込まれるように叩き込まれたチョップは、おじいちゃんの身体を再び(マット)に沈める事に成功したのだ。よしっ。



「ソラさん、なにしちゃってるのー!?」



 ぴよー!? と仰天するメアリーの声が響き渡って我に帰った。はっ、俺はいったい何を……



「うぐ……ぅ……」


「よかった。気絶してるようだ」



 つまり、まだ考える時間が出来たわけだ。うむ、結果オーライ。


※老人虐待はダメ絶対


ここまでお読みいただきありがとうございます。


暑い日が続きますが、どうぞ身体を崩されませぬように、ぺんぺん。

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