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後編



「ドレスを伸縮性があるものにしておいて良かったな。そうでなければ破けて全裸になっていたぞ」

「え、それは嫌ですね」


ゴリ押しでこの筋肉マッチョが本来の姿だと言い張って袖に下がるとそのまま別室に案内されることになった。王家からお話があるらしい。

私を頭から爪先まで見ながらレインが自分の機転を自画自賛しているとそれを聞いていたらしいピッグテーヌが金切り声で叫んだ。


「最初からそのつもりだったのね?!どうして?!あんなに可愛かったのに!戻ってよ!わたくしの可愛いレブリックに戻してよおぉぉっ!!」


「コールスマン侯爵令嬢、」

声まで変わってしまったのか野太い声に自分も驚いたがピッグテーヌもビクッと肩を揺らしポロポロと泣いた。


「私は男です。見た目はあなたの目にかなうものだったかもしれませんが着せ替え人形も可愛いという褒め言葉もまったく嬉しくありませんでした」

「そんなことないわ。あなただって綺麗に着飾ってもらって喜んでいたじゃない!」

「それをあなたが望んだからそうせざるえなかっただけです」


私は伯爵家の次男ですから。と言えばピッグテーヌは押し黙った。自分のほうが上位だから爵位を盾に言うことを聞かせていた自覚があったのだろう。



別室に移ると父と兄が待っていた。

「…本当にレブリックなのか?」

「はい」

「うわ。キモ。つーかもう別人じゃん」

「ぶっさいくよね」


兄弟だと思われたくないわぁ、と兄姉のヒソヒソ声が聞こえたがこの体になったら気にならなくなった。体の大きさと心の余裕は比例するのだろうか?


それからコールスマン侯爵とピッグテーヌ、国王と第一王子、エイマール、そしてレインが揃ったところでそれぞれ着席した。


王妃は入れ替わってパーティーを仕切るらしい。それだけエイマールを見たくないのだそうだ。見たら間違いなく殴るとわかっているので。

そう言われたエイマールは絶望した顔で肩を落としていた。


「この度は愚息エイマールが申し訳なかった」


頭を下げる国王に恐縮したが理由を聞いて納得もした。エイマールの嘘に気づきながらもわざと見過ごしていたのだ。


エイマールはレインがまだ実験段階の魔法薬を盗み出し成分をよく理解しないまま無理やりレブリックに飲ませた。

毒だったらもっと本気で止めてくるだろうがそうではなかったので飲ませても死なないだろう。そんな軽率な考えで行動を起こしたそうだ。


しかし死ななかったが性転換したことに驚愕し多少なり悪いとは思っていたらしい。だから途中まではレブリックを側近候補から外さないと豪語していた。

ただ思ったよりも魔法薬の窃盗が重くなりそうな事態を察知し怒られることを恐れたエイマールはピッグテーヌと結託して国王らに『レブリックが誤って飲んでしまった』のだと報告していた。


魔法薬もレインが自慢げに見せてきて『その者が気に食わないのならこれを飲ませて身の程をわからせてやればいい』と言って押しつけてきたのだと言ったのだそうだ。


「だから何度も申し上げたんです。あの魔法薬は盗まれたのだと。それをあなた方は害がなかったのだから問題はないと言っていた。その結果がこれです」


実験室に侵入しただけでなく実験段階の魔法薬を盗んだことを重く受け止めるべきだと訴えたが被害はなかったとして鍵を変える程度しかしなかった。


エイマールの言葉を王家は鵜呑みにはしなかったがレブリックに配慮するという体で内々に処理されたものの実際は王家の醜聞隠しをしただけでエイマールの側近候補維持以外の配慮はとくになかった。


伯爵家の扱いなどそんなものだと父も言っていたしエイマールの口約束もあったので耐えるしかないかと思っていたがレインは違った。


盗難事件後、盗まれやすい杜撰な保管の仕方をしていたとか、エイマールが盗みやすいように見せていたのでは?と揶揄する者が現れ、それを王家に訴えてもなしの礫だった。

その対応に怒ったレインは王宮にあった自分の実験室を閉鎖し王宮魔術師を返上、つい最近まで実家に引き篭もっていたという。


「用があってこちらに来てみれば、被害者のレブリックが今にも死にそうな顔で護衛もつけずに一人黄昏れていた。離れた場所に護衛はいたようだがあれでは誘拐してくれと言っているようなものだった。

たしかに目を瞠る美貌だがあれは魔性の類と同じだ。見慣れている家族や普段からそういったものに触れる機会の多い貴族ならともかく、そういう耐性のない者、とくに平民の中には拐って金にしようと考える者がいるでしょう。

これだけの美貌でどこぞの高位貴族が戯れに与えた華美なドレスを纏っていたんだ。どれだけの金貨が舞い込んでくるか涎を垂らして見ていてもおかしくはない。

コールスマン侯爵令嬢、エイマール第二王子。あなた方二人はレブリックを気に入っていると言いながらなぜそのような手抜きをしていたんですか?なぜちゃんと守ろうとしなかったんですか。

彼はあなた方のせいで知らなくてもいい危険に身を晒していたのですよ」


女性ならばその恐怖は言わずともわかるはず。男性であっても同じだと、都合のいい時だけレブリックを男扱いし手を抜くのは間違っている。と指摘され二人はバツが悪そうに俯いた。


「極めつけは学園での素行だ。エイマールよ。何を思ってレブリックがふしだらな令嬢に見えるような行動をしていた?」

「そ、そんなつもりは…」


「影からの報告では学園では日常的にピッグテーヌ嬢といがみ合い他の生徒がいる前で暴言も吐いていたそうだな。

また必要以上にレブリックに接触し自分のもののように主張し果ては娼婦のように扱っていたとか。儂はレブリックを側近候補として置きたいと言うから許していたんだ。学園の風紀を乱せとは言っておらん」


中身が男とはいえ女性をそのように扱うなど誰に習ったんだ。この件も王妃及びお前の乳母がカンカンに怒っているから覚悟しておけ、と言われエイマールは一人氷の世界にいるかのような真っ青な顔で震えていた。


「そしてだ。それを忠言したピッグテーヌ嬢を無碍に扱い罵るような発言もしていたとある。なぜこのようなことをしたのか言ってみろ」


「いや、あの……」

国王の言葉にエイマールが目を泳がす。まさか、と思いながらも国王に発言の許可をもらった。


「第一王子殿下を立太子させるためにわざとご自分の価値を下げているのだとお聞きしたのですが」

「おいエイマール。それは本当か?私はお前にそんなことをしてもらわないと立太子できないような情けない男だったのか?」

「…いえ、あの、その…」


私の言葉に第一王子は王妃様そっくりの顔で目を吊り上げ益々エイマールは身を縮ませた。


「心配しなくても貴様に王位は巡って来ぬわ。いっそ凍結してしまおうか。それでもよいか?コールスマン侯爵」

「はい。我が家も娘を甘やかしていたようです。レブリック殿。何年も苦しめてしまい申し訳なかった」


侯爵もあえて見て見ぬフリをしていただろうから茶番でしかないが、上位貴族に頭を下げることはもっとありえないことなので恐縮しながらも受け取った。


「お父様!そんな!レブリックは本当に喜んでドレスを着て」

「それはお前の妄想か目の錯覚だバカ娘。私がお前や妻のドレスを着てみたいと一度でも言ったことがあったか?」

「あ、ありませんわ…」

「似合う似合わないの話ではないんだ。まったく、普段真面目に過ごしているからガス抜きは必要だろうとお前を信じ任せていたのが一番の間違いだった」


よもやまさかここまで愚かだったとは、と侯爵が頭を押さえピッグテーヌが真っ青になった。


「本音としては修道院に送りつけたいところですがそれではこの癖は直らないでしょう」


むしろ修道院に迷惑をかけてしまうやもしれません。と溜め息を吐いたところでレインが新たなゴブレットを二つ用意した。


「お二人にはレブリックが飲んだ魔法薬を飲んでもらいます。性転換は勿論見た目が醜悪になる毒も追加で入れてあります。

新薬の実験でもあるので陛下の許しがない限り元の体に戻すことはありません」


「我々に嘘をつきレブリックを辱めていたのだ。その程度の屈辱は味わって当然だろう。心の底から反省するまでは戻れないと思え」


やれ、と王が命令すると控えていた騎士達がエイマールとピッグテーヌを拘束し別室へと引っ立てた。


「いや!嫌よ!いやーーーっ」

「たす、助けてくれ!レプリカ!レプリカーー!!」


「…まだわかっていないようだな。名前を変えて呼んでやればレブリックの矜持が守られるとでも思ったか?早く元の体に戻りたい彼がペットのように勝手に名付けられて喜ぶとでも?」


レインがこちらを見たのでエイマールに顔を向けると情けない表情の彼がへらりと笑った。


「私はあなたの側近候補だったから侍っていただけでそうでなければ近寄りたくもありませんでした。

他の側近候補達も私の扱いに困惑していましたよ。女なら側近候補を降りればいいのに、婚約者がいる御方に擦り寄ろうなど命知らずな阿婆擦れとも揶揄されました。

それらを報告し側近候補を辞退しようとしても殿下はお許しになりませんでしたよね?いずれは元の体に戻るのだからと。

それを信じて耐えてきましたがさすがに愛人になれは吐き気を催しました。

陛下。身の危険を感じたという理由で側近候補を辞退することは可能でしょうか?」


「うむ。勿論だとも。そこの両名にそなたへの接近を禁止すると誓おう」


了承する国王に頷くと再びエイマールと向き合った。


「私はレプリカという名前ではありません。あなたにそんな名前をつけられ軽んじられ続けた日々を屈辱に感じることはあっても喜んだことはありませんでした。

すべてはあなたが王子であり仕える相手だったからです。それ以外の感情は髪の毛一本もありません。

コールスマン侯爵令嬢も殿下の婚約者だからお相手していただけで、ご令嬢の使用人になりたかったわけでも着せ替え人形になりたかったわけでもありません。

あんな屈辱な日々は二度とごめんです。私は意思を持った人間です。あなた方のオモチャではない」


まっすぐ二人を見て伝えれば泣き叫ぶこともなく放心した顔で部屋を出て行った。



二人の今後だが、エイマールは無期限の休学(退学)となった。王子教育や王宮の家庭教師から学んでいるので学園には貴族派閥の把握と管理、交流のために来ていたので休学でも退学でも問題はない。


ただ王妃様にメンタルが瀕死になるまでボコ殴りされ、婚約したままこの国で一番厳しい男子修道院に放り込まれたそうだ。

そこは女人禁制は勿論のこと自給自足で外との交流も殆どなく規則も他の修道院より三十項目も多いらしい。

後々聞いた噂では寄宿学校よりも密な関係になりやすい場所たとか。元の姿だったらかなり危なかっただろう。


ピッグテーヌは他国に留学したが婚約者(王子)がいるため火遊びすら許されず人形遊びもそれに連なる交流も一切禁止されたそうだ。

もし破れば廃嫡どころか親子の縁を切ると言われたので泣く泣く守っているらしい。


帰国後レブリックに連絡しようとしたが父侯爵直々に手紙を検分され目の前で燃やされている。エイマールが出所…還俗したら晴れて結婚できるのでそれを待ちながら父侯爵の手伝いをする日々を送ることになる。




「さて伯爵。なぜここに呼ばれたかわかるか?」


エイマールとピッグテーヌが出て行き、静かになったところで国王がクヴェルテュール伯爵に話しかけた。


「レブリック以外で、ですか?」

「そうだ。この件を外部に漏らすなと王家から伝達があったのを覚えているな?」

「はい。………っまさか」


父がハッとした顔で国王を見返した。


「そのまさかだ。そなたの子、カストルとアルペナ両名がサルマージュ子爵令嬢にこの機密を漏らしている」

「では、あの婚約破棄は…」


驚愕の顔を双子の兄姉に向けると二人は同時に顔を背けた。


「だ、だってレプリカが女の子になったのって呪いだと思ってましたし、一生あのままなら早めに教えてあげないとブリジットがかわいそうじゃない?っと思って…」

「そうですよ。それに私が責任を取ってブリジットと婚約し直してやったんだからなんの問題もなぃ…」


「問題ないわけないだろう?!このバカ者が!!」


雷でも落ちたような父の咆哮に双子の兄姉は椅子から飛び上がるほど体が跳ねた。


「ええ?じゃあまたレブリックに戻すんですか?ブリジットもこんなむさ苦しい熊みたいなおっさんじゃ嫌だと思いますよ?」

「そういう話ではないわ!」


頭を抱えた父に私も嘆息を吐く。話が進まないと思ったのか国王が口を開いた。


「カストル・クヴェルテュール。アルペナ・クヴェルテュールの両名は王命に逆らったとして三ヶ月の禁固刑と鞭打ち刑に処す」

「「え?」」

「その後、貴族籍を返上し修道院または労働刑に服するか伯爵位を返上し一家全員平民落ちするか選ぶがよい」

「「そんな!なんで?!」」


驚く兄姉に自分も頭を抱えたくなった。二人は自分達がどれだけ愚かな罪を犯したのかまだ理解していなかった。

二人からすればレブリックをからかっていただけなのだろう。たが子供のケンカですむ段階ではない。


二人はエイマールの側近候補となりピッグテーヌの着せ替え人形としてだがその報酬として様々なドレスや高価な品々がレブリックに与えられていたのを見て羨み嫉妬していた。


外側だけを見て勝手に妬み、弟のくせに、弟なのだから、家族なのだから少しくらい分けてもらってもいいのではないか?と二人は考えた。


内心見下していることをうまく隠せていると思って。

レプリカ呼びはその現れだと本人達だけが気づいていない。


だから安易にレブリックに縋った。レブリックが許せば刑がなくなると思って。こういう時ばかり兄弟なのだから家族を救うのは当然だろうと恩着せがましく卑しい顔で笑った。


「許しませんよ。あなた方二人が漏らさなければサルマージュ子爵令嬢はたとえ私との婚約がなくなったとしても人生を不意にするような大きな疵を負うことにはならなかった。

公の場で王家の方々に要らぬ手間と恥をかかせることもなかった。

これは私の私物や屋敷のものを奪い壊すような小さな話ではないのです。あなた方は、いえクヴェルテュール伯爵家は王家にケンカを売ったも同然の失態を犯したのですよ」


二人のせいで伯爵家は没落一歩手前なのだと言われ兄姉はぎょっとして父を見遣った。


「…カストルを廃嫡としサルマージュ子爵令嬢との婚約も白紙…お前有責で解消だな。アルペナは既に婚約を解消したが慰謝料を支払わなくてはならんから負担はあまり変わらんか」


はぁ、と盛大な溜め息を吐く父がこちらを見て家を継ぐ気はあるか?と聞いてきたので、継ぐ気はないから辞退すると返した。


「なぜだ?!」

「わたし達は兄弟でしょう?!」

「……そうだな。レブリックに継がせればこやつらは血の繋がりを理由にいつまでも寄生しようとするだろう。

ならば足りない慰謝料を労働で稼がせ完済したと同時に除籍するしかないか。陛下。ご迷惑をおかけしますがそれでよろしいでしょうか?」


肯く国王に父は深々と頭を下げたが兄姉は泣きながら縋った。それでも親かと。王家を貶めるつもりはなかったのだと。だから許してもらえるよう頼んでくれと訴えた。


「そもそもレプリカばかりいい思いをしていたのが悪いんだ!なんでコイツばっかり王子や侯爵家とかと懇意になって優遇されるんだ!こんなのおかしいだろ!依怙贔屓だ!!」

と言ったところでガン!と重厚なローテーブルから物々しい音が響く。

見ればレインが剣呑とした表情で腕を組みローテーブルに足をかけていた。どうやら彼が蹴った音らしい。


「伯爵、不愉快だ。早く終わらせてくれ」


王家の前であまりにも無礼な態度だったが彼の殺気に誰も何も言えず父は青い顔で諸々の書類にサインした。

本当はそこで終わるはずだったがレインが国王に進言し兄姉も魔法薬を飲むことになった。


「そんなに弟が羨ましいなら性別を変えてやる。彼がどんな想いをしたか身をもって知るがいい」

エイマールとピッグテーヌとは逆に美しくなる毒も入れるそうだが毒なのでどんな副作用があるかはわからないとのことだった。


「レプリカ…いえレブリック!お願いよ!お姉ちゃんを助けて!」

「そうだ。お兄ちゃんを助けてくれ!優しいお前なら助けてくれるだろう?な?な?」


「いいえ。先程承認された書類で私達は正式に兄弟ではなくなりました。それに似ていない私と兄弟などと言われたらお二人に恥をかかせてしまいます。ですのでどうか私を弟と呼ばないでください」


謝らない人を許すことはありませんので。と迫力ある顔で微笑むと兄姉は愕然とした顔になった。




◇◇◇



「ここにいたのか」

視線を下げるとレインが立っていた。


心臓破りの階段を同じ段まで登り隣に座ったレインはこちらを見てまだドレスを着ているのか?と問うた。


「さすがにこの体に合う既存の服がなかったので祖母の家に問い合わせをしているところです」


とりあえずスカート丈だけ追加してもらい見苦しくないようにしてもらったがこの見た目でドレスは見苦しいのかもしれない。


「怒っているか?」

「いいえ。お陰で自由になりましたから」


エイマールが魔法薬を用意できなかったのはレインが実家に引き篭もっていたから。

そのことを言っているのだろうけどレインが王都に残っていたとしてもエイマールは魔法薬を用意することはなかっただろう。女性の姿で何年も苦しめられたけどそれでレインを恨む気にはなれなかった。


そう思っていたらプシュン、という空気が抜けるような音がして隣を見ると先日ここで見た小さな、この体だと本当に小さな女の子がちょこんと座っていた。


「ちなみにどちらが本当の姿なんですか?」

「さぁ、どっちだと思う?」


見上げてくる目は少し悪戯っぽく見えたがよく見えなくて断りをいれてから抱きかかえ膝の上に乗せた。


するとなぜか視線がどんどん低くなり気づけば片膝に乗せられる程度だったレインが両膝で抱きかかえるくらいの大きさになった。


「ふむ。レブリックはご両親のいいとこ取りをしたようだな」


頬に手を添えられまじまじと見つめられた私は眉尻を下げた。


「ええぇ…もしかしてまた女性になってるんですか?」


そうは思ったがとくに胸が苦しいとかはなかった。それよりも股間の収まりがなんともぎこちないモニョモニョした感覚に懐かしい気持ちになる。


ということは。と思ったところで、レインがニヤリと笑った。


「安心しろ。少なくともドレスが似合わない体格になってる」

「それはそれで恥ずかしいですね」


それこそ女装してるみたいに見えるのではと肩を竦めるとさっきの姿はどうなんだ?と聞かれた。


「あちらはすべてがおおらかな気分でいられたのでまったく気になりませんでしたね」

「大柄になると気の持ちようも変わるのか?検証が必要かもしれないな」


ふむ、と顎に指をかけて考える様は真剣そのものだが見た目のせいか妙に可愛らしい。

ピッグテーヌの気持ちもこんな感じだったのだろうか?と思ったが彼女の場合度が過ぎていたので参考にはならないなと打ち切った。


「ではわたしの屋敷に行こう。魔法薬のストックがまだあったはずだ」

「えぇ?あの不味いものをまた飲むんですか?」

「そういう顔をするな。あれでも改良したのだ」

「……もっと改良する必要がありますね」


レインを抱きかかえたまま立ち上がると器用にスカートを持ち上げ階段を降りた。

近くにはメルクルディール侯爵家の馬車が控えている。それに乗って二人で向かうことになるのだろう。


うまく乗せられた気もしなくないが少なくとも嫌悪感や不安はない。まずいものを飲む覚悟はいるだろうけど。

それでも強制せず飲むか飲まないかの判断はこちらに委ねてくれるだろう。そんな気がした。


それに効果時間や変化基準、同性への変化は可能なのかが気になる。


ただ重くて動きづらいドレスを纏い魅せるために隠す努力と苦痛に苛まれながら笑うよりも、こっちのほうが面白そうだと思ったら心がスッと軽くなった。






読んでいただきありがとうございました。



――――――――――

レブリック・クヴェルテュール伯爵令息

エクストラスキルとか設定盛ったのにひとつも使わなかった。

王子の友人で側近候補だったが他の側近候補から煙たがれていたと思われ。でも高嶺の花としても見ていた。美少女ランキングがあったらダントツの1位だった。


北◯の拳とご近◯物語の掛け合わせでロー◯ンメ◯デンが生まれた謎は多分誰にも解けない。※容姿イメージの話です。



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