第十九話 モンクレール
第十九話 モンクレール
次の日早く起きた。
時間はあっても何もする事が出来ないので、出来る事を考えていた。
ギターが弾けないなら、練習も出来ないので、とりあえず出来るYouTubeを思いついた。
数学のYouTubeを、高ボンと一緒に既に一本上げているし、またやろうと高ボンにも伝えている。
しかし、数を上げないと話にならない。実際、現実的には、そんなにネタがないのであった。
何かテーマをあげるとしても、その事が完全にわかっていなければ、意味がないし、手を抜くと、自己満足するだけの数学YouTuberになってしまって、つまらないのである。
それで頑張って、前回、
『ねじれの位置』と言う、ヴィジュアルで完璧にわかる模型を使って表現したが、再生数は伸びなかった。
何が悪かったんだろうか?!
それで、昼休みなるのを待って、一緒に撮影した高ボンに電話した。
今度は「モンティホール問題をやろうか?!」
「えっ、難しいぞ!!俺もすでに、色々観たけど、どれもいっこもわからんぞ」と言い出した。
高ボンは、崖だらけの、簡単には登れない山、みたいな事を言い出した。
「大丈夫、登れる。自分が考えた、ねじれの法則のネタ良かったやん、リボンを使うなんて、誰もやって無いぞ!!」とおだてると、
「確かになぁ〜、でも、再生数、少なかったやろ、それに、ねじれは中学生やけど、モンティホールは、高校生レベル以上だろ?! 数学者も間違えるくらいだからなぁ〜?!」
「いやそんな事は無いやろ!!、なんかあるはず、とりあえず、次の週末にアイディアを持ち合おう」
高ボンは最初はやる気無かったが、何とか説得した。
えりんが日曜日に帰ってくるから、土曜日に会う事にした。それで、会う前に色々試してみた。
実際に扉を小学生の工作よろしく作ってやってみた。
「最初の選んだ扉を替えますか?!」、「替えませんか?!」
「替えます」、
「替えません」、
全然進まなかった。家で、ひとりでトライしたが、何にも思いつかなかった。
*モンティホール問題とは、アメリカのテレビショーで、閉まった3つのドアから当たりを見つけるバラエティ番組。
当たると商品が貰える。
プレーヤーが1つのドアを選んだ後に、外れのドアが1つ開けられる。
その後に、最初に選んだカードを代える事が出来る。
最初に選んだカードを代える方が、確実が上がるのか、上がらないのか、論争になった問題。
多くの数学者を巻き込んで大問題となったらしい*
木曜日にえりんが帰って来た。
「昨日離婚の話をしたわよ、すぐには無理ね、でも、離婚はしてくれるって」、
「じゃぁ、まぁ、一応ひと安心やな、でも離婚してから六カ月は、結婚できないぞ、えりんが妊娠中かもわからへんから」と言って笑うと、
「馬鹿ね」と言った。
「残りの借金いくらあんの?!」「そうねもう、三十万くらい」、
「じゃあ払ってしまおうか?!、面倒くさい」と言うと、
「あのね、利息ないんだから、ゆっくり返せば良いのよ、それよりあいつと本当に別れてね」と言われてしまった。
「利息ないって凄いなぁ〜同胞のネットワークかよ」と言うと笑っていた。
土曜日が来て、一応説明出来る方法を考え出した。
とりあえず、○✖️式だった。
当たりが○で、ハズレが✖️である。
最初の確率は、客人が選択するので、○✖️✖️で、1/3の確率だ。
その次は、胴元が必ずハズレを開けて、替えるか替えないを問うので、替えるパターンと、替えないパターンをそれぞれ一セット、合計二セット。
一セットにつき、三回ずつやって、表に書けば、確率のパターンは、○✖️でビジュアル的に現れるのだ。
結果は替えた方が2/3になり、確率は必ずあがるのだ。
これを表に現すのは、誰でも出来きて、これがまた普通で、いまいちなので、たこ焼きにピンポン玉を入れてやったら、どうかの話になった。実際にやってみた。
ピンポン球は最近オレンジの色とかあるので、当たりをオレンジ、ハズレを白にして、たこ焼き器に入れてやると、結構、面白い事がわかった。
「替えますか?!替えませんか?!」と実際に、移動させてやると、わかりやすくて面白いのだが、
「何故に?!」と言われると、なんか少しインパクトが弱かった。これはなんか改善策があるなぁ〜と思いながら、高ボンとキャバクラに行き、本番は来週にしようと言うことになった。
次の週、なんと、リョウちゃんが、
「来ちゃった」でお化けアパートにやって来てしまった。
「お、おう、と言うと」、
「ねえ、大変、あたし捕まってしまった」、
「えっ、何で?!」と言うと、ネネちゃんが、友人グループのリーダーだったが、ネネちゃんの犯行の仲間にされていまったらしい。
一応、裁判所とかで、関わりなしと、認めて貰ったらしいが、大学も辞めなきゃならなくなって、ちょっと日本に居づらくなったらしい。
「えっ、自分関係ないんやろ?!」と言うと、
「そうなんやけど、前の日本語学校の先生にも迷惑かかってしまっているの」と言う、
なので来週、中国に一旦帰るらしいが、再入国が難しくなるなるらしい。
「ちょっと勘弁してよ、大学の入学金も授業料も俺が払ったんやで、全部ぱーやん」と言うと、
「ごめんね」と言ったっきり黙ってしまった。
「まあ、でも刑務所行かんくて良いんやったら、今のうちに帰るしかないな。ネネちゃん、やっぱ悪かったんやなぁ〜」と言うと、
「ねえ、とりあえず今夜泊めて」と言う。(参ったなぁ〜えりん帰って来たら、どーすんのやろ?!)と思いながら、家にあげた。
「ご飯、どうする」って言うと、「家でしゃぶしゃぶやりたい」と言うので「買い物行くか?!」で、さんさんタウンに行った。
その頃はまだ工事中で、新しいモールは出来ていなかった。食品売り場に行くと、森熊と会った。
「おう、仕入れかと言うと」、
「おう、今日は忙しいわ」と言っていた。色々買い物したが、買い物しながら最近に出会った頃を思い出した。
昔は、食料品売り場は地下にあり、
「レジ通さなくても行けんぢゃね?!」とか、最初、リョウちゃんは、冗談か本気かわかんない事を言っていた。
そう言えば、えりんが出現する前まではは、どっぷりとリョウちゃんに浸かっていたのだ。
何でも買って上げて、何でも言う事も聞いた。浮気されても、年齢差もあるし、しゃあないな、くらいに思っていたが、結構実は、かなり傷ついていたのだ。
それで、一度、本気で問い詰めて、泣いて謝ってからは、他に男は作らないと約束したので許してあげた。
しかし、フィリピンに居る間に、一回しか連絡して来なかったのは、少し疑っていたが、警察に拘束されていたのならしょうがない。
不意に、「正ちゃん、あなた、えりんの事が好きなの?!」と言われてしまった。「いや、部屋を貸してるだけだよ」としどろもどろで言ってしまった。
「中国に遊びに来てね、それとね、えりんに気をつけてね!!」と言われてしまった。
「何故に?!と言うと、なんとなくとしか言わなかった。
家に帰って、二人でしゃぶしゃぶを食べた。そう言えば、最初のデートで、しゃぶしゃぶを食べたかも知れない。本当に居なくなると、寂しい気持ちになった。二人の最後の晩餐会だった。
なので、結局、朝までやりまくってしまった。えりんより身体が大きいし、ダイナミックだった。
「中国に帰る日は、送っていくよ」と言うと、
「良いよ、いつになるかわかんないし、それより必ず中国に会いに来てね」と言われ、抱きしめてキスをした。
次の日、えりんのコートが来た。えりんの部屋の中に入れて置いた。
土曜日に帰って来て、コートの糸がほつれていると言う、
「ホンマかいな」と言うと、緑色のコートを見せてくれたが、男ならそれほど気になるほどでは無かった。で、
「返品しようかな」と言うので、好きにすればと言った。
次の日、日曜日早速、コートを返しに行った。その後、色々行ったけど、気に入ったコートは見つからなかった。
次の週もコート探しになった。
何故に、決めれないのよと言いながら、港の方まで来ていた。まさか、モンクレールの店の前まで来てしまっていた。
「おまえ計画的やろ?!」と言うと、
「やっぱり良いのが欲しい」と言い出した。当時、モンクレールのコートは三十万した。
「ちょっと買えないやろ?!」と言うと、「もう今日は帰るわ」と言って仕事に行った。
三宮から、塚口に帰って来て、『森熊』に行き、その事を話すと、一斉に「阿保ちゃう、やられてるやん」と全員から返事が返って来た。
モンクレールは保留になってしまった。
続く〜




