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お友達終わりました。

卒業を控えた四年目。しばらくしてミルクちゃんが子猫を生んだ。8匹とも母子共に健康だ。ご飯が食べられるようになってから知り合いの人達に四匹以外が貰われた。


今日は最後の貰い手である。ゆらめちゃんが来ていた。うちに残るのはミルクちゃんと『ラテ』と『モカ』と名付けられた二匹だ。


「え?お兄ちゃん普通に付き合ってもすぐに彼女より妹取って別れてたし紹介もされてないし婚約とか付き合うイコール結婚なんて初めて聞いたよ?」


縁側でのゆらめちゃんの爆弾発言に驚いてしまう。真面目な彼の事だから本気だと思ってたが違うらしい。


「同棲も家族挨拶も婚姻届に先にサインも婚約指輪も?」


「ないない!正直お兄ちゃん付き合いはあくまでも浅くな感じだったよ?」


新たな家族の子猫の『モカ』『ラテ』を膝に乗せここ最近の怒涛の日々を振り返る。まさに怒涛の日々。

バレンタイン事件の後に私の家族に婚約挨拶。次はハワイのご両親呼び出して婚約挨拶したと思ったら必要な荷物を持っていけといらん物は捨てると笑顔で脅した。


ちなみにゆらめちゃんの荷物は必要な物は送ってあげて他は倉庫に預けてあげるらしい。相変らず彼女には甘い人だ。


「おばあちゃんは知ってたみたいだけど友子ちゃんと付き合ってるって言われた時は驚いたよ」


去年の冬まで付き合ってるなんて私も知らなかったと言えば「お兄ちゃんて言葉がいつも足りないからね」と笑う。


「結婚の話にもかなり驚いたけどね?」


「……それは私も驚いたよ」


大学卒業して入籍して私の在宅の仕事に馴れた頃に結婚式予定だと私も知らない予定を話されている。どんどん進む話に未だについていけていない。


「あのさ……」


言おうか止めようかと考えるてたみたいだが、ゆらめちゃんがミルクちゃんを撫でるのを止めてゆっくりと口を開く。


「お兄ちゃんは一度決めたら本気でやるよ。優先するべき対象に一点集中する。……怖いくらいにね?」


ゆらめちゃんは語る。彼女が出来ても自分が優先されてしまっていて「駄目だよ。悪いから止めて」と言っても「ゆらめの方が大事だから」と聞いてくれない。両親の事もどうでも良いみたいで優先はゆらめちゃん。ゆらめちゃんが失恋したと勘違いした時の行動は早く両親を言葉巧みにハワイに永住させ家を購入。猫も貰ってきた。


気付けば逃げられ無い場所まで来てて、もういっそ二人で死ぬまで暮らしても良いのでは?と混乱した脳で考えてたら、今の彼氏さんが女装止めてプロポーズ。夢から覚めたみたいに兄に住めないと彼が居ると断った。


それからの事は私も知っている。キャラ崩壊するくらいにキレたと思えば泣きそうな顔でゆらめちゃんを想ってた。他者への興味の無さと、あの拒絶。


「彼と居ても連絡がかなりきてていつ帰るの?とか、しょっちゅう聞かれてたの」


諦める事が無さそうな彼は連絡を続け、断れば食も抜くくらいに弱った。心配だったけど、戻ればまた同じ事になりそうで私に様子を見る様に頼んだらしい。私だけが唯一家に呼んでも帰されなかったからだ。


「だけど、いつからか連絡の数が減ったの。どうしたのかって聞いたらさ。どうもしないよ?って……いつ帰ってくる?って聞くんだけど何か帰らなくてもあんまり残念そうじゃないのよ」


女の感で女が出来たと思ってたけど実際は家に来たのは友達の友子だけだった。いつしか会話が友子の話だけになった頃に兄から大切な人が出来たからクリスマスと正月は来ないでくれると嬉しい。そんなことを言われた。


「誰かって聞けば『全部が終わったら会わせる』っ言われて、会ったら友子ちゃんで本当に驚いたよ」


リビングでお兄さんとゆらめちゃんの彼氏の声が聞こえる。一時期は険悪で笑顔でいかにゆらめちゃんが自分を好きかと言う会話しかしてなかったのに穏やかに話していた。


「……私は止めてくれた人が居たけど友子は()()()()()()()()ね?」


いつの間にか正面に立っていた彼女がそんな怖い台詞を吐く。息を飲んでぐっと固まっていれば彼女はにっこり笑う。その姿に何だか怖くなり怯んで身体を引けば抱き締められた。


「でも、大親友と家族なんてほんとーに!幸せだよ」


私も幸せだ。幸せでいいんだよね?麻痺してるかもしれない。


「ゆらめちゃんは幸せ?」


毎日が怖いくらいにキラキラしている。


「うん!わたしは凄く幸せ者だよ!」


そう言った彼女は変わらずキラキラしていた。あのばかでかい星のアクセサリーをしてなくても彼女は一番の星だ。






「それにしても⋯⋯諦めないで愛してくれてって言ったから、最初のは勘違いでフラれたんだと思ってました」


私の言葉にゆらぎさんは言いにくそうに笑う。


「……釘を刺すつもりだったんだ。君にはゆらめの親友でいて欲しかったから、惚れてくれるなよって」


裸で布団に二人でくるまりながら、ゆらぎさんが語ってくれた。どうやら勘違いはしてなかったらしい。彼はモテ過ぎてしまう人だから先手を打った。


「でも君は健気にもゆらめの為に僕の所に来てくれた。あんな酷い事を言ったのに……」


妹の親友から人が良すぎて心配な友人に変わる。ある日。サークルで後輩に聞かれた。友子は彼氏がいるか?の質問に無意識に「いないけど気になる人がいるっぽい」って嘘をついてしまった時に思ったらしい。


もしかしたら、ゆらめ以外に自分の狭い心の範囲の居れたい範囲内にいて欲しい人間なんじゃないか?と。思えば高校時代から実家に連れて行くのについて来るのも嫌ではなかったし、家に来ても追い出す事はしなかった。


「大学でも離れてても目につくし、愛しくなってきたんだ」


気付けばゆらめ以上に過保護になっていく自分がいる。可愛い。心配だ。可愛すぎて心配なのに周りは可愛いけど普通な子だと言う。


あの後輩も普通だから簡単に付き合えそうだなんて言っていたと聞いた。誰でも良いと変わってる子じゃなければ普通だったら誰でもいいらしい。あんなに可愛いのに?普通だなんで馬鹿だ。


そしてあの日。バレンタインに事故でキスをした日に「災難」と言われて腹が立った。こんなに愛しいのに分かって貰えない。可愛い自覚がないと後ろに見えた女が居たけど邪魔すんなと見せ付けるようにキスした。


「じゃあ、諦めないでくれてっておかしくないですか?」


「気付いてないみたいだけど二年目あたりから……ちょっと好きだったでしょ?そこからは全力で口説きにかかってたけど君は自分からあっさり関係を切れるタイプだから、無自覚でも諦めないでくれて嬉しかった」


自覚はない。だけど元気になったのに通ってたのは強く拒否できなかったのは全部。


「……耳。真っ赤」


「っ!」


後から耳に囁かれて「もう!」って怒ってベッドから降りた。いつの間にか慣れた洗面台。で先に歯を磨きながら、猫達にご飯をあげていく。歯を磨いて顔をたっぷり泡立てた泡で洗ってる途中で歯を磨く彼に場所をちょっと譲る。ああもう、休みだからって体をくっつけて朝からイチャイチャしたい空気出さないで!


泡を落とし化粧水をつけながら首を見ればキスマーク。ゆらぎさんを怒ってやろうと鏡を睨めばある事に気付いた。


「……キラキラしてる!?」


キラキラが周りに居すぎて気付かなかったが私もキラキラしている。いつからだ?


「あ」


そういえばゆらぎさんが妙な事を言ってた。離れてても目につくし……と!


「だから、婚約者居るって言ってたのにモテてきたのか!納得だわ!」


そう言って笑う私の肩がぽんと叩かれる。冷たい空気にぞっとしたがもう遅い。


「その話。……詳しく」


「ひっ!?」


その後。卒業を待たずして入籍。は周りから流石に止められて婚約披露パーティーを開く事になった。


私は卒業後に『星野』になったのだがモテ期はなかなか終わらず困っている。


なぜキラキラし出したか?


そのヒントは近くにあった。たまたま実家に帰ってきた時に見た祖母は良く見たら少しキラキラしてる。そういえばと祖父を見れば良く見ればキラキラがある気がした。


気になってアルバムを見れば若かりし祖父キラキラしまくりな人だ。振り返ると祖母はサムズアップしている。今更ながら蜜はこの事だと気付いた。祖母も昔、キラキラな人と恋をしてキラキラが移ったんだ。


喜べないモテ期とヤキモチ焼きすぎる旦那への対応。とうとう夫婦の寝室に付けられた外からかけれて旦那しか持ってない鍵の存在。


未来に生まれるかもしれない子供はどんな子になるのかな?キラキラでもそうでなくても幸せであれと思う。まあ……友達は大切にね?と言っておこうかな。

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