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-78- 考える葦(あし)

 パスカルは、━ 人間は考えるあしである ━ だとかなんとか、小難こむずかしいことを言ったそうだ。本人から直接、聞いた訳でもないから詳しい意図は分からないが、別に葦ではなく、水草でもいいようには思える。物事を理解して、新しい発想で事物を作り、発展させることの出来る最たるものは、確かに人間である。ただ、逆転して、この能力は毒にも薬にもなり、危険この上ない代物しろものだ。たとえば多くの生物を絶滅させたり、地球破壊兵器を作ったり・・と、枚挙まいきょいとまがない。

 閉店が近づいた、とある店である。

「今日はもういいですよ、霧川きりかわさん」

「そうですか? じゃあ、お先に、あがらせてもらいます…」

 熟練店員の霧川は店長の霜林しもばやしにそう言うと店奥へスゥ~っと消えた。いつもよりは数十分、早かったから、この時間をどうしたものか…と霜林は考えなくてもいいのに考える葦のように考えた。すると、やっておきたい買物があったことを、ふと思い出した。霜林は着替えて店を出ると、ソソクサと目的の店へと向かった。

「いやぁ~、昨日まではあったんですがねぇ~。売れちまったんですよ。どうします?」

「どうします? って、無いものは買えないでしょうが…」

 霜林は少し怒り口調で返した。

「いやっ、そうじゃなくって! お取り寄せしますか?」

「出来るのっ?」

「ええ、まあ…。出来るような出来ないような…」

「煮え切らない! どちらなんですっ!」

「ええ、ですから、あればっ! の話です。たぶん、ないとは存じますが…」

「もう、いいですっ!」

 霜林は店をあとにしていた。早くあがった数十分は、うに過ぎ、霜林は考える水草のようにプカプカ街頭を歩いていた。

 考える葦も逆転して考えれば、大した存在ではない訳だ。


                   完

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