表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/100

-20- 暑くもなく寒くもなく

 人とは勝手なもので、夏の猛暑が続けば、深深と降り積もる極寒ごくかんの雪を恋しく思い、こおりつくような寒さの日々が続けば、燦燦さんさんと降りそそぐ真夏の烈日が逆転して懐かしくなる・・といった誠に勝手な生き物なのである。暑くもなく寒くもなく・・といった頃合いの気候は、あたかも、いい湯加減にかる浴槽の気分にも似ている。

「ああ…いい湯加減ですなぁ~」

 湯気ゆげが霧のようにただよ禿乃湯はげのゆの浴槽である。この銭湯の歴史は古く、江戸初期の寛永年間にはすでに創業されていたというから、ダジャレでいう驚き、桃の木、山椒さんしょの木である。

「そうですなあ~。これくらいが調度、いいんですよっ!」

「そうそう! 熱めのお湯を売り物にしている隣町の鬘湯かつらゆ、アレはいけません!」

「はいはい! アレはいけません! 熱中症になります」

「んっ? まあ、熱中症にはならんでしょうが、浸かり心地は大事です。ははは…」

「ははは…。それにしても夏から冬が近くなりましたな…」

「そうそう! 秋が短い。冬から夏も早くなりましたよ」

「ですなっ! 暑くもなく寒くもなく・・この湯のように長く浸かれないと…」

 二人の顔は、長湯で茹蛸ゆでだこのように赤くなっていた。適度がこの世には大事だということだろうか。


                   完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ