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週末は異世界で~俺的伝説の作り方~  作者: 三毛猫
第二話「異世界を歩こう」
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 2、「世界を創る魔法」

 ロナが作り出した巨大なクレーターを前に、ちみっこどもがぽかぽかとロナを叩く。

「ロラさんやりすぎ!」

「れっどかーどなの!」

「あー、ごめんねぇ」

 頭をかいてロナがごまかすが、あんまり反省しているようには見えなかった。

「流石に地形変えちゃうのはやりすぎだと思うです」

 みぃちゃんも声を上げるが、ロナはちょっと困ったように笑うばかり。

「いや、でもどうしようもないよね、やっちゃったものは。あたし壊す方専門だし?」

 確かになんていうかすごすぎだったけれど、確かに元に戻すなんてことが出来るはずも。

「……これはさすがに看過できないわ」

「地域げんていでまきもどすの!」

 ちみっこどもがむふーと鼻息荒く両手を上げた。

「……お前らどうにかできるのか?」

 見つめると、ちみっこどもはそろってにっこり微笑んだ。

「だてにめがみは名乗ってないの!」

「わたしたちにできないことなんかないの!」

 言いつつレラが空中をさっと手でなでるようにすると、そこに光るキーボードのようなものが現れた。楽器の方ではなくて、JIS配列の、パソコンなんかについてる文字入力装置の方だ。

 ルラが同様に空中をひとなですると、空中に光るウィンドウが現れた。

「せかいつくーるVer2.01 しすてむこんそーる?」

 ウィンドウの上部にはそんな文字が書かれており、どうやらテキストベースでコマンドを実行できる類のインターフェースのようだ。空中に光るウィンドウとかなのにテキストベースとかなんか微妙に古臭い。

「しすてむこんそーるなの!」

「略してしすこんなの!」

 手が小さくてキーボードを押し難いのか、親指と人差し指だけをつかってルラとレラがカタカタとコマンドを打ち込んでいく。

「いや、姉や妹が大好きでしょうがない病気の人みたいな略し方はやめなさい」

 ……とりあえず突っ込んでおくが、ワザとなんだろうなこいつら。

 見ている間に次々といくつもウィンドウが空中に開いてゆき、地形をポリゴンで表示したようなものだとか、コマンド一覧だとかなんかごちゃごちゃしてきている。

「おんせいにゅうりょくもかのう!」

「でーたをちょくせつさわることもできるの!」

 レラがウィンドウに手を突っ込んで何かを引っ張り出すと、両手でこね始める。

「はんいしていおっけーなの」

「十五分前のばっくあっぷから、こぴぺするの!」

 レラがこねこねしていたデータを、クレーターになっていた地形データのポリゴンにぺたりと貼り付ける。

 すると。

「うお」

 音も無く、何の脈絡も無く、周りのクレーターが消えた。つい先ほどまでと同じような見渡す限りの草原に戻ってしまった。

「……なんかすごいな。初めてお前らを女神っぽいとか思ったかも」

「これは中からセカイを操作するためのしすてむなの」

「そとからだったらもっとかんたんにいじれるの」

 ルラとレラがえへんと胸を張ったので、よくやったとばかりに頭をなでてやると、くすぐったそうに身体をくねらせた。

「……へぇ、創世魔法ってこんなのだったのね」

 ロナがふむふむとなにやらうなずいている。

「創世魔法って、これも魔法の一種なんですか?」

 尋ねると、ロナは曖昧に小さく首を横に振った。

「あたしは専ら他人の世界を遊ぶのが専門で自分で世界を創ったことがないからあんまり良く知らないんだけどね。創世魔法っていうのは神が世界を創るときに使用されたって言われてる魔法。でも魔法と呼ばれてるだけで実際には世界を創るためのただのシステム」

「このセカイそのものをなりたたせているしくみなの」

「ちなみにこのけーたい電話に入ってるアプリなの」

 いつものポシェットから携帯電話を取り出してちみっこどもが胸を張る。

 なにそのアプリすっげー。

 俺もスマホに入れたら、創世神になれちゃったりするんだろうか。そういや掲示板で寧子さんがそんなこと書いてたっけ。あれ女神が宇宙人とか書いてたけど、どこまで本当なんだろう……?

「あ、ついでにせっていちょっといじっちゃうの」

「おにいちゃんの希望にそってみるの」

 ルラとレラがまだ開きっぱなしだったシステムコンソール略してシスコンを何度か叩くと、別窓で開いたウィンドウからぽろりと何かが出てきた。

「ぽぺぽぺん、すかうたー」

「おにいちゃんにしんてーなの!」

 差し出されたそれは、スキーなどで使うゴーグルを真ん中ら縦半分に割ったようなシロモノだった。顔に装着するものだろうか。某野菜人が持っていた強さを測れる道具にそっくりだ。

「このセカイはゲームじゃないんだけれど」

「おにいちゃんゲームみたいなのがいいみたいだから」

「それっぽくみえる道具をつくってみたの!」

「おにいちゃん専用装備なの!」

「おおー。名前からして、もしかして相手の強さとか見られる道具だと思っていいのか?」

 俺がよくあるVRMMOモノのように、ステータスを見られるウィンドウとか無いのかと聞いたのを覚えていたらしい。さっそく受け取って装着してみる。どういう構造になっているのか左耳にかるくかけるようにするとぴたりくっついて、左目の前のディスプレイ部分がちかちかと瞬いた。

「どれどれ、ルラとレラは……と」

 ルラとレラを見つめると、ディスプレイに自動的にターゲットが現れてルラとレラをマークした。ルラとレラがキラキラした眼差しで、じっと見つめ返してくる。

 えーっと、耳のとこなんかボタンあるな。こっちが選択で、こっちが決定ボタンか。




  なまえ    :ルラ

  しょくぎょう :創世の女神の半身

  れべる    :-

  せんとうりょく:∞

  こうかんど  :120%


  ちから    :とってもひりき

  かしこさ   :いがいとかしこい

  みりょく   :ちょーかわいい


  ぎのう    :創世魔法Lv3


  しょうごう  :「洋風幼女」

          「ぱんつはいてない」

          「無限の白エタニティ・イノセンス


  こめんと   :おりょうりがとくいなの。

          洋風幼女ちゃんってよばれることもあるけど、

          和食だってばっちりなの。

          いがいと尽くすたいぷ。




  なまえ    :レラ

  しょくぎょう :創世の女神の半身

  れべる    :-

  せんとうりょく:∞

  こうかんど  :120%


  ちから    :じつはひりき

  かしこさ   :いがいとずるがしこい

  みりょく   :めっちゃかわいい


  ぎのう    :創世魔法Lv3


  しょうごう  :「和服幼女」

          「ぱんつはいてない」

          「常夜とこよ神籬ひもろぎ


  こめんと   :わたし意外と中身はしろいのよ?

          おにいちゃんをからかったりするのは、

          好きな子にいじわるしたくなる心理なのかも?

          冷やし中華はじめました。




「……ごめん、どこから突っ込んでいいのかわからない」

 戦闘力ってなんだ。好感度ってなんだ。中二っぽい称号はなんだ。こめんとってルラとレラが書いてるのか?

「あくまでふんいきだから、深くかんがえるひつようはないの」

「それっぽく見えるだけなの」

「……これ、自分のステータスとかも見られるのか?」

「ボタンなんどかおすのー」

「切り替えるのー」

 カチカチと選択ボタンを何度か押すと、ターゲットが自分になったようでディスプレイの表示が切り替わった。




  名前  :鈴里すずさと太郎たろう

  種族  :人間(男)

  職業  :伝説の勇者(になる予定)

  レベル :24

  HP  :124/124

  MP  :10/10

  戦闘力 :55


  力   :8

  知恵  :8

  信仰心 :5

  生命力 :9

  素早さ :8

  運   :15


  装備  :E破魔の剣ソディア

        ひのきのぼう

       Eおなべのふた

       E布の服


  スキル :なし


  称号  :「女神のお気に入り」

       「ケモナー」

       「週末勇者」


  コメント:創世の女神ふたりに同時に選ばれた、

       ちょーラッキーなおにいちゃん。

       まだまだたよりないけれど、

       いつかでんせつのゆーしゃさまになってね!




 なんか表示形式違うし。

 レベルが最初から24なのはちょっと驚きだけど、ステータスひっくいなぁ。

「さっきから何してるです? その顔につけてる変なのは何です?」

「あ、みぃちゃん」

 そういえばみぃちゃんとかどんなだろう。

 ターゲットを切り替えてみぃちゃんのステータスを表示させる。


  名前  :ミィ・ミ・リュン・ディ・リュクス

  種族  :@¥$&#(女)

  職業  :~%‘へ獣

  レベル :15342

  戦闘力 :25986667

  好感度 :90%


  称号  :「ねこみみさん」

       「界渡り」

       「永遠の孤独さいごのひとり


  コメント:動体視力を生かしてじゃんけんに勝ちまくる悪いにゃんこ。

       おにいちゃんのお膝をひとりじめするのはずるいのー。

       でもときどきわざと負けてくれるから許してあげるの。

       つんねこさんなの。




「……あれ、身体能力とかのステータスでないんだ。それになんか種族のとことかバグってるし」

 それになんだレベルとか、戦闘力とか、滅茶苦茶じゃねーか。

 ……バグ、だよな?

 それに名前も前聞いたのとちょっと違う気がする。ミィ・ミーア・ディストとか名乗らなかったっけ?

「……何かいやな感じがするです。なんだか不快なのです」

 みぃちゃんがねこみみをへにゃらせてじっと俺をみつめてくる。もしかしたら俺がスカウターで調べているのを不快に感じられたのかもしれない。

「ああ、ごめんね」

 慌てて表示を閉じると落ち着いたようで、みぃちゃんのお耳がぴこんと立った。

「タロー、断り無しに乙女の秘密すてーたすを覗き見るのはあまりいい趣味じゃないよ」

 ロナは、いつの間にかロアの状態に戻っていた。




  名前  :ロア

  職業  :はぐれ女神

  レベル :65535

  戦闘力 :999999999999

  好感度 :45%


  称号  :「伝説の破壊神」

       「世界を統べる者」

       「永遠の旅人」


  コメント:あとがこわいのでのーこめんとなの。




 ロアもやっぱりレベルとか戦闘力がおかしい。数値的になんかカンストしてるっぽい感じだ。

 しかもはぐれ女神ってなんだ。経験値いっぱいもらえるのか?

「……タロー、今言ったばかりなのに」

 うわ。表示が勝手に閉じた。閉じる直前に好感度が40%に下がったように見えたけど、ってことはやっぱり表示あってるのか?

 そうだ、アイテムとかのステータス表示はできないんだろうか。

 手元の破魔の剣ソディアを見つめる。




  名前  :ソディア

  職業  :破魔の剣

  レベル :800

  戦闘力 :50000

  好感度 :65%


  称号  :「アーティファクト№074」

       「切り裂くもの」

       「次元断」


  コメント:セラおねえちゃんの世界のあーてぃふぁくとなの。

       成長する剣だったんだけど、もう成長限界

       ちょっと残念ね。

       人型になるとちょっと古風なおねえさんなの。

       あーてぃふぁくとは他にもいっぱいあるわ。探してみてね!




 むぅ、意外と現実的な数字でちょっとびっくり。戦闘力五万の剣もってる俺が戦闘力五十五ってことは、全然使いこなせてないってことだよな……。

 しかし、そうするとみぃちゃんとかロアの表示もバグじゃなくて正しいってことなのか? 

みぃちゃんの種族とかはどうみてもバグってたけど。

「こら、タローってば、聞いてるの?」

 気がつくと、ロアが怖い顔で俺を睨んでいた。

「え、ごめんなさい、なんですか? あ、そだ。変身してもらったらステータスって変わるもんなんですかね?」

「タローのおばか」

 ロアにごちんと拳骨をされてしまった。

「はんせいするのー」

「おにいちゃんがわるいのー」

「勝手にみちゃだめなのー」

「おにいちゃんのえっちー」


 せっかくのスカウターだったのに、ロアに取り上げられてしまった。

 いったい何が悪かったって言うんだろう?

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