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やったれ魔法少女  作者: 千園参
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なんか勿体ないな

ここに来ての新キャラ回。こんなに話広げて大丈夫なのかと不安になったりもしますが、安心してください!確実に最終回に向かっています!

それでは楽しんでいってください!よろしくお願いします!

「寛人!?」


「え!?やっぱり知り合いなの!?」


「えーっとなんて説明したらいいかしらね」


木山が俺への説明に迷っていると、イケメンお兄さんがこっちに近づき、木山に話しかけ始めた。


「ようやく見つけたぞ!玲奈!こんなところで何をしてるんだ?その男は誰なんだ?早くチームに戻ろう!」


チーム?何の話をしているのか俺にはさっぱりであった。すると、木山は俺の手を引っ張り走り出した。


「いくわよ!」


「っておい!いいのかよ」


「いいのよ!早く走って!」


俺と木山はその場を全力疾走で離れ、寛人と呼ばれるイケメンお兄さんを撒くことに成功した。息を切らしながら、俺は木山に尋ねる。


「はぁはぁ、あの男は誰なんだよ?元カレか何かか」


すると、俺の問いかけに対して、木山は息切れが途端に止まり―――


「アンタこの世から消えてなくなりたいの?」


「す、すいませんでした……」


さっき話を聞いた時はちんぷんかんぷんであったが、今になってみると少し話が見えてきた気がする。


「アイツは真壁寛人。私がダンスをやっていた頃のチームメイトなの。でも、怪我をしてからはダンスに打ち込む気力がなくなっちゃって、そのままチームを抜けたの。でも、それは私が中学生の頃の話。まさか今になってまた来るなんてね。驚いちゃった」


やはりそういうことであった。以前松浦からダンスをやっていることは聞いていたので、チームというのはダンスチームであることが予測できた。


「木山はダンスに未練はないのか?」


「未練?ないことはないけど、もう昔みたいに表現できないかなって思ってるわ」


「そう…なのか。なんか勿体ないな」


「何がよ?」


「だって俺にはそんなに夢中で打ち込めることがないんだ。でも、木山にはそれがあったわけだろ?そういうのってやりたくたってそんな簡単にできることでもないし、まして誰かに必要とされほどの実力もあるときたもんだ。尚のこと勿体ないと思うんだよなー」


俺の言葉に対して木山は俯いたまま何も言葉を返さなかった。


「でも、そのキーホルダーにしろ。魔法少女にしろ。ダンスよりもやりたいことがお前にだってあるのかもしれないな」


「藤崎……」


「どうするかはお前が決めることだ」


そんな話をしていると木山の家の前に到着した。


「じゃあな、俺は帰るぜ」


「うん。また明日ね」


「おう」


こうして木山と分かれた。再び夜道を歩き出すと、遠目からさっきのフード野郎の真壁を確認することができた。


「げっ!まだいんのかよ」


俺は真壁に気づかれないように、こっそりと道を変えて歩き始めた。しかし、向こうが俺に気づいてしまったようだった。


「お前は!さっきの!」


最悪である。今一番関わりを持ちたくない男に絡まれてしまった。


「あの俺に何か用ですか?」


「お前は玲奈のなんなんだ!まさか、彼氏なのか!?」


「ちがーう!!それはちがーう!!!」


俺の猛烈な抗議に真壁は圧倒されていた。


「あ、え、そうなのか。それはすまなかった」


「俺はただのクラスメイトだよ。それにアイツは別に好きな奴がいるしな」


「え!?そうなのか!?それは誰だ?俺か?」


いや、どう考えてもお前ではなかっただろう。逃げられている時点で自分ではないということを悟れないのだろうか。馬鹿なんだな。もしかしなくて馬鹿なんだなこの人は。


「君なぜそんな哀れみの目で俺を見るんだ」


「あ、いや、ごめん。つい哀れんでしまったよ」


「君、今の発言は失礼じゃないかな?」


「あー、ごめんごめん」


「もういい。で?誰なんだ、玲奈が好きな男は」


真壁はきっと木山のことが好きなのだろう。ダンスのチームに戻ってきて欲しいという気持ちもあることにはあるのだろうが、それよりも木山が好きだという気持ちの方が勝っているように見える。


「俺や木山と同じ賀晴高校の築村ってやつだよ。木山はそいつにゾッコンだから多分アンタじゃ無理だぜ?」


「なんだと!?」


受け入れ難い事実に真壁は少しイライラしているようであった。しかし、事実なのだからどうしようもないのだ。


「それよりアンタは木山をどうしたいんだ?ダンスをさせたいのか?それとも自分の恋人にしたいだけなのか?どっちだ?」


「そ、それは……」


図星を突かれた真壁は黙り込んでしまった。


「木山がどうしようと俺には関係ない。あとはお前らで解決しろよ」


この言葉を最後に俺はその場から立ち去った。真壁は俺が立ち去った後も、項垂れたまま動かなかった。このまま諦めてくれればいいのだが、きっと円満解決というわけではないような気がしていた。


翌朝―――登校中。俺の予感は的中することになった。校門の前に真壁が立っていたのである。昨日の項垂れから一体何があれば校門で待ち構えるという発想にあたるのであろうか。やはり馬鹿なのか。もしかしなくても馬鹿なんだ。


「築村ってのはどこにいるんだ!出てこい!」


真壁は木山ではなく、築村を探し始めたようだった。これは面倒くさいことになってしまった。しかし、築村を探し出して一体どうするつもりなのだろうか。木山をかけて勝負ということになるのだろうか。


「築村!俺と勝負しろ!!築村!!!」


やはりそうきたか。真壁寛人という男は本当にどうしようもない程に馬鹿であった。


続く

綾二くんと玲奈さんのコンビを書くのは個人的にとても好きなんですよねぇ(笑)

この2人を書いてるともうこの2人をくっつけた方が全て上手くいきそうな気がしてくるんですよね(笑)

そんなこんなで今回も読んでいただきありがとうございました!次回をお楽しみに!!

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