表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やったれ魔法少女  作者: 千園参
29/65

今のあいつには誰の言葉も届かない

ついに築村の過去が明かされます。なぜ、梅西隼という男に復讐したいのかその想いが詰まった1話になっているはずなので、よろしくお願いします!

それでは楽しんでいってください!

「俺には2人の親友がいた。1人は森川杏という女の子。そしてもう1人がお前たちも見たあの男、梅西隼だ」


築村から衝撃の真実が発せられた。築村と梅西が親友!?


「え〜?どういうこと〜?ツッキーはあいつに復讐するって」


相田が混乱しているのに対し、築村は続けた。


「話は最後まで聞け。俺たちは幼い頃からずっと一緒だった。隼はリーダー的存在でいつも俺たちを引っ張り上げてくれる頼りになる奴だった。隼と杏は元々幼馴染で俺は途中で入れてもらってな。仲を取り持ってくれたり、色んな気遣いができる、杏はとても優しい女の子だった。だから、何をするにもずっと一緒。俺たち3人揃えばできないことはない。そしてこの絆は永遠なんだとそう思ってた。だけど、俺たちの絆が崩れ去る日は突然訪れた。それは俺たちが中学3年の頃だった。ある日、俺は怪獣に襲われることになった。初めて見る化け物に恐怖で動けなくなっていた。そんな時、俺を助けてくれたのは杏だった。杏は魔法少女だったんだ。俺はその時初めて知った。杏が魔法少女であることを。そして杏は俺に遅くなってごめんねとそう言って怪獣をやっつけてくれた。助かったと思ったのは一瞬だけだった。その後すぐに杏は紫色の魔法少女に襲われることになった。なぜ魔法少女同士が戦っているのか理解が追いつかなかった。だけど、混乱しているうちに、杏は命を奪われてしまった……。俺は杏に駆け寄ったが二度と目を開けることはなかった。当然だ。死んでいるんだからな。そうして紫色の魔法少女は変身を解除した。現れたのはずっと親友だと思っていた隼だったんだ。隼は俺に言った。『俺を憎め……』なぜこんなことになってしまったのか全くわからなかったが、俺は決めたんだ。杏の仇を討つと」


「そう…だったのか……」


築村の想像を絶する過去に思わず言葉を失った。だが、築村から思いもよらない言葉が出てきた。


「俺は杏を殺したあいつが憎い!殺してやりたいとも思う!だけど、俺はあいつと並び立って確かめたいんだ!どうしてあの日、幼馴染の2人が殺し合わなければならなかったのか!確認しようにも今のあいつには誰の言葉も届かない。だから、力が必要なんだ!!ちゃんと確認して確認した上でぶち殺す!」


「そうか、ありがとな」


「はぁ?」


「話してくれてありがとな!お前がそんな辛いことを背負ってたなんて思いもしなかった。お前の口からその事が聞けてよかったよ。さぁ!撤収だ!」


俺は木山を連れて病室を後にした。


「あんた何でそんなに上機嫌なのよ」


「ん?だって嬉しいじゃないか。ずっと黙ってたことを話してくれたんだぜ?少しだけ信頼が深まったってことだろ?」


「あんたってかなりプラス思考ね……」


「まぁな。あとは梅西をどうやって倒すかだな」


次の日。


「綾二くん、その怪我どうしたの!?」


「あーえーっと、階段から落ちた」


「最近階段から落ちる人多すぎじゃない!?」


真央がとても心配そうに言う。心配してくれているなんてなんて神なんだ。


「って階段から落ちる人多すぎって他に誰か、落ちたのか?」


「別のクラスの相田くんと築村くん!その前は玉置先生も階段から落ちてたし!」


あいつらも階段から落ちたことにしたのか。そういや玉置も階段って言ってたな。俺たち階段好きすぎるな。苦笑いを浮かべた。


その日の放課後、隣町の3人がやってきた。


「決戦の時ってやつじゃないか!?」


仲本が言い出した。


「いや、今日からしばらくあいつとは戦わない」


「戦わんのかい!!戦う流れだったじゃん!物語の展開的に決戦の流れだったじゃん!」


「物語の展開ってメタいこと言うなよ」


「でも、何でなんすか?せっかく戦う気でここまで来たのに」


「築村を待とうと思うんだ。これはあいつの戦いだ。築村を除いて俺たちだけで力を合わせて、仮に倒せたとしてもそこに意味はないだろ?」


「藤崎……」


木山は俺の言葉に感銘を受けてくれたようだ。これで少しはこいつの俺に対する好感度が上がったかな。


「それに俺も築村も今のままじゃ、あいつには勝てないと思うんだ。だから、もっと強くなって今度あいつと遭う時は確実に倒せるように準備しておきたい」


「なるほどな!じゃあ、仕方ねぇな!おい!上野、松本、帰るぞ!」


「うむ。承知した」


「えっ兄貴帰るんすか?」


「あのドラゴン野郎が帰ってきて、決戦の日が来たら、その時は必ず呼べよな!俺様たち抜きでおっ始めやがったら………」


「兄貴!何も浮かんでないなら言わなくていいっすよ!」


上野が小声で耳打ちする。


「うるせぇな!さっさと行くぞオラ!」


そう言って3人は帰っていった。賑やかな人たちだ。でも、とても心強い。反撃の時が楽しみになってきたな。




一方その頃。


「はぁはぁ……!助けてダーリン!私なんでまた怪人に追われてるわけぇええええ!!!」


松浦は再び怪人に追われることになっていた。物陰に隠れ、何とかやり過ごすことに成功した。


「何で私ばっかり狙われるのよ〜!!!」


続く

今回で一旦梅西編完結です。今後この2人がどうなっていくのか勿体ぶらせていただきます。一丁前にすいません。ただこのまま話を進めちゃうと一気に最終回に向かって突き進んでしまうので待ってもらえると嬉しいです。

今回も読んでいただきありがとうございました!次回をお楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ